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28.俺の後ろにいて俺を監視してた奴の顔。

起業という目標が出来た途端に何もかもが良い流れになった。ホワイト企業時代のやらされてる感、追われてる感ではなく、自ら能動的に積極的に動いている。いつもは怠そうに準備していた朝食も、着替えも、仕事の準備も、ご機嫌な鼻歌を歌いながら楽しそうにしている。

関口会計事務所での仕事も順調だった。仕事そのものは会計専門学校の講座に通うなど、まだまだ研修段階なのだが、ブラック時代からホワイト時代で、一応は営業経験を積んでいる事、さらには当時入手した名刺を元に営業を仕掛けたところ、サクサクッと3件もの依頼を獲得した。

特にZ社の求人サイトのPR営業で入手した名刺が見込み客リストとなって大いに貢献。

1件目はこんな感じだ。主に人事部の名刺なので、人事や労務を入口にして営業を仕掛けたところ、あっさり社長にまで辿り着き、結局、社長個人の節税対策に会社の税務会計顧問の仕事を獲得する事になった。

別の2件はこう。試しに、高山のアドバイスで作ったDMを10件程郵送してみた。営業時に先方から悩みを聞き出していたので、各々の悩みの即した形でDMのメッセージを微妙に変えたところ、何と1発のDMだけで2件受注。

もちろん、10件の送信先は、「ここイケそう!」というお客さんを選別しているから、こんな高い受注率になるのだが、でも逆に言えば、「ここイケそう!」というお客さんを、もっと見つける事が出来れば、DM1発でこれだけの成果を上げる事が出来る。

専門学校の勉強も、自分でも驚くくらい捗っていた。絶縁状態の母親のせいで拒否反応が出るくらい嫌いになった勉強も、自発的にやれば楽しい。どんどん自分がマトモになってる。

何だろう、この自信という感覚。それも自立した自信だ。周囲の目や周囲の評価を必要としない、俺の中だけで俺が頼る事が出来る、そんな自立した自信が芽生えているんだと思う。

もちろん昔も、特にサッカー部時代にも「自信」はあった。ただ自立はしてなかった。俺の後ろにいて俺を監視していた奴は、俺の顔ではなく他人の顔だった気がする。

いや、もちろん、今、俺の顔している奴だって、高山やハイエナコさんや本多先生の影響をモロ受けている。モロ受けているどころか99%他人製かもしれない。でも自発的に学び、自発的に消化し自分のモノにしているから俺の顔になっている。

あの時のマトモな俺は、やっぱり周囲の目の圧で作られた他人の顔した俺だったんだと思う。だから、環境が変わって周囲の目が弱まった段階で、あっさり消え去った。そして何よりも絶縁により母の目の圧が消え去ったのが大きかったんだと思う。

でも今は違う。高山、ハイエナコさん、本多先生、関口所長の支援を受けながらではあるが順調に歩み出したと言って良いと思う。

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