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つけ麺「フジヤマ55」がバンコクで一番いいラーメン

 バンコクは、和食ブームやタイ人の日本旅行ブーム、在住日本人の急増が重なって、いつの間にか東京の環七並みにラーメン激戦区になったと思う。今は少し落ち着いたけれども、一時期はこれでもかと進出してきていた。それまでのバンコクのラーメンがひどすぎた一方で、ない中で成り立っていた面もあって、それはそれでよかった。なにより海外で馴染みのある料理を楽しめるというのは、ありがたい話である。とくに不便な時代だったかつては。

 当時のラーメンは今と比べればずっと安かった。バンコク・ラーメンブームでたくさんの有名店がタイに進出してきて、日本全国のラーメンがバンコクで楽しめるくらい環境が整ったが値段も高くなり、それ以前からあったラーメン店の倍以上はするようになってしまった。ここまで高いと日本とほぼ同じ、あるいは少し高いくらいで、そうなると正直、客側としてはありがたいとはいえ味の評価が厳しくなる。そのため、「値段のわりに・・・・・・」という店もいくつかあった。

 そんな日本のラーメン店の登場の中で、初めて行ったときからビンビンに響いてきた店があった。それが「フジヤマ55(ゴーゴー)」だ。あまりにも好きになりすぎて、経営者にアポを取って取材に行ったほどである。

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「フジヤマ55」はつけ麺を中心にした店で、濃厚な魚介系スープというのだろうか、禁断症状が出てしまうほどにクセになるスープが特徴だ。麺も極太でボク好みだった。基本は冷や盛りなので、デメリットとしてスープがすぐに冷めてしまう。しかし、テーブルにはIHヒーターがセットされているので、常にアツアツの状態で楽しむことができる。こちらが望むものがすべて揃っているような店なのだ。

 濃いスープと極太麺はボクが最も好きなラーメンのタイプなので、バンコクでここまでのラーメンにそれ以前、そしてその後も出会っていない。むしろ日本でも出会っていない。つけ麺の元祖ともいわれる大勝軒もいいが、それを越えてきているのがフジヤマ55だ。

 日本では名古屋に本店があるようだ。

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 そもそも魚粉の入ったスープというのは昔からあったものではないと思うのだけれども。ボクは1998年から年間の大半をタイで過ごし、2000年に1年間、そして2002年からはタイにいるので、全然知らなかった。大勝軒のスープも魚粉が入っているような気がするけれども、そもそも「魚粉」というのを聞いたことがなかった。

 これを見ると2000年に魚粉を使ったつけ麺が登場しているので、おそらくこれ以降に一般的になったのでしょう。知らないわけである。その分、この魚粉にバッチリとハマったからこそ、フジヤマ55の虜になったのかもしれない。

 日本のテレビで新橋のラーメン店を勧めているのを観たことがある。たぶんもうなくなっているのだが、泪橋という店で、そこも太麺でおいしかった。その店も魚粉があって、痺れたものだ。たぶんこのときが初めて「魚粉」という食材を認識しての体験で、その後バンコクのフジヤマ55で再会して、完全に虜になったと言える。

 そしてあまりにも好きになってしまい、下記のように取材までさせてもらった。

 なぜかタイに来た飲食店、あるいはラーメン店はタイ料理をアレンジしたようなメニューを作りたがる。ラーメン店でよくあるのがトムヤムスープを使ったラーメンだ。アイデアが凡庸すぎて失笑ものだが、さすがにフジヤマ55のタイの社長はそんなことはしなかった。

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 ここ最近フジヤマ55に行けていないのが残念だ。BTSプラカノン駅近くにもできているし、妻の実家があるナコンラチャシマーにもたしか支店があるはず。

 移転してしまったがスクムビット通りソイ39の店は昼時は食後におじやセットも無料で注文できた。余ったつけ麺スープにご飯と生卵を投入し、IHで温めて食べる。もう腹一杯である。

 途中からはこの杏仁豆腐もラインナップに加わったりで、なんというかバンコクのフジヤマ55は「ちゃんとわかっている」店という感じで素晴らしいのだ。


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