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【ベト飯】ダナンの本格麻婆豆腐に感激

 ベトナム戦争時、中部のダナンは米軍の拠点と日本では報道されていた。だから日本の70代以上の人にとって「ダナン」という響きはある意味では懐かしさとか青春時代の香りを感じるのではないか。そんなダナンは今や戦争当時の面影は市街地にほとんどない。ホーチミンとハイフォンに続く大きな港もあり、たくさんの外国企業がこの地にある。

 日本の企業も例外ではなく、ジェトロのサイトではダナン商工会議所に所属する日系企業数は100社を超えるようだ。日本料理店や日本人向けのカラオケ店も何軒かある。日本人向け飲食店の中には日本人経営も少なくない。ハノイでもホーチミンでもなく、ダナンで開業するあたりに先見の明がありそうであり、かつ肝も据わっていそうな強さを感じる。

 そんな数ある日本人経営店、あるいは日本人向け飲食店でほかと違うのは「陳めしドラゴン」(以下陳めし)だ。略称ではなく、本当にこういう名称の飲食店である。

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 この陳めしは和食ではなく、中華料理店だ。店主は日本で育ち、10年以上も東京で料理修行を積んだ台湾人だという。だからなのか、中華のほかにからあげや枝豆といった日本のおつまみ的なメニューも揃う。値段もベトナムの物価からすれば高めとはいえ、日本で同等レベルを食べると考えたら十分に安い。

 これまでボクは在住日本人やベトナム人本人たちから、ベトナム人は中国人が嫌いだ、と聞いてきた。それがダナンは様子が違っていた。ダナンは国際的な貿易都市でもあるからなのか、街中に中国語が散見される。ハノイも寺院などに漢字はあるが、ダナンの場合、一般企業の看板などにも中国語が見られる。ホーチミンは小さなチャイナタウンもあるが、ハノイには中華料理店が少ない。だから、陳めしもベトナムにおいては珍しいと感じた。

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 陳めしの店内は明るいというか、日本の中華料理店とはちょっと違っていた。きれいでカフェ的なイメージというか。居心地がよく、日本人客も多いし、ベトナム人もやってきていた。カウンター席もあって、ひとりでも入りやすい。ベトナムで発行される日本語無料誌が置いてあるので、情報収集しながら時間を潰せるのもまたいい。

 このときは最初から「麻婆豆腐」を食べることに決めていて、あとはなにを頼もうかとメニューを睨んでいた。どれもいい料理でなかなか選べなかったが、ここはシンプルに麻婆豆腐と白米とした。

 このときはベトナムにビザなし滞在の目いっぱいまであと数日と迫っていたタイミングだった。しばらく日本米の白飯を食べてなかったし、そもそも米と麻婆豆腐を同時に食するのは15年ぶりくらい。

 2002年ごろは岡山県倉敷市にあった三菱自動車の水島工場にいた。そこの社員食堂で毎週水曜だけ丼物コーナーが麻婆丼だった。このメニューが恐ろしいほどに不人気で、誰も並ばない。だから、早くゲットできるし、案外おいしかった。それ以来だったかもしれない。

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 陳めしの麻婆豆腐は本格派だった。山椒の効き具合がよかったのだ。熱くて辛くて、それを一気にビールで流す。幸せなひとときである。本当にいい店だと思った。

 サイトも見やすい。またダナンに行く機会があればまた行きたいものだ。場所は火を噴くショーで知られるドラゴン橋の近く。いわゆる旧市街側というのだろうか。近隣にバーとか人気の飲食店が多数あるので、ちょっとした流行りのエリアなのかな。

 店員の中には日本語ができる子もいて、それもまた日本人にとっての居心地のよさになっていると感じた。地方で母国語が通じるというのことは案外に大切なことなのだと思う。

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