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ベトナム大衆食堂に行きたい!

 タイもそうだが、インドシナ3国にも共通する大衆食堂は、いわゆる「ぶっかけ飯」だ。誰がこんな下品な呼び方を思いついたのか知らないが、言いえて妙な日本ネームではある。タイではカーオ・ラートゲーンとかいろいろな呼び方があるが、基本は全土で共通した名称になっている。ベトナムは「コム・ビン・ザン」というようだが、ホーチミンでは「コム・タム」と呼ばれるようだ。コム・タンって単語もあった気がするが、これはなんだったのだろう。いずれにしても、ベトナム式ぶっかけ飯は安いし、おいしいしで、毎日行きたいくらいだ。

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 タイもそうだが、ベトナム料理もわりと炒めものが多い気がする。調味料も濃いめに使用しているので、炒めものもカレーのような、スープのような感じになっている。タイ語のゲーンはまさにそういう汁物を指す。ガパオライスも炒めものではあるものの、ゲーンの要素が強い。

 だからなのか、東南アジアはぶっかけて食べる形式が多いのでしょう。アジアならどの国にもあるとは思う。日本なら丼物がそうだ。カレーライスだってまさにぶっかけ飯。

 ボクはもともとは白米におかずを載せたりかけることは好きではない。丼物があまり好きではないし、納豆もご飯に載せない。食べるなら納豆を食べて、白米を食べる。

 しかし、ぶっかけ飯はやっぱり別物だ。複数のおかずをかけることで味が混じってしまうことが難だけれども、手軽に素早く食べられるし、おいしい店も少なくない。

 ちなみにタイの場合、僧侶が托鉢で食べものを受け取って周り、それを彼らは朝食とする。昔は各家庭の料理を全部同じ鉢に入れたので、食べる段階でごちゃ混ぜになる。だから、ぶっかけ飯のように味が混じってしまうことにタイ人は抵抗がない、とあるタイ人が言っていた。確かにその説もひとつの有力説ではあるね。

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 ベトナムのコム・ビン・ザンもタイ同様にシルバーのバットがたくさん並べられて、たくさんの料理が置いてある。ぶっかけ飯がいいのは言葉ができなくても注文が容易であることだ。

 ただ、この並べ方は効率が悪い気がいつもする。ガラス戸に入っているから清潔ではある。平台に並べてある店は確実だけども、ガラス戸だと角度的に指さしだと向こうからわかりづらい食材とかある。それで、違う違うそれじゃなくて! ってやり取りが面倒くさい。

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 これはハノイのコム・ビン・ザンで3種類か4種類を注文したもの。店によっては自動的につけてくれる野菜というか漬物、付け合わせがあった気がする。この画像はそれを含んでいたかどうか。

 タイだと基本的には2種類、多くて3種類をかけるベトナムは3種類4種類が当たり前って感じかな。タイ人は1食の量が少ないから、かける量も少ないのかも。

 ベトナム人もカンボジア人同様にコメをたくさん食べるイメージがある。あと、ハノイ在住の友人に聞いた話では、会社員とかは昼など自宅に帰って食事する人も多いとか。外食文化そのものがタイとは違うようで。

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 この店はこんなスープもついていた。これは全然おいしくなかった。こういうセットでついてくるスープは、タイのカオマンガイのスープくらいでしょう、おいしいのは。

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 これはホーチミンのぶっかけ飯。ここではコム・タムと呼ぶらしく。たぶん、ここがボクの初めてのベトナム式ぶっかけ飯だったはず。だから、タイのクセで、2種類しか注文していない。なにがなんだかわからないし、訊いたところで理解できないので、わかるものを頼んだ。

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 ひとつはブロッコリーの野菜炒め。これはタイにもあって、まあどこで作っても同じような味でしょう。実際、悪くなかった。

 もうひとつは豚バラの煮込みみたいな。タイだと五香粉が入っていそうなものだけど、ここは醤油っぽい感じだった。結局、タイのぶっかけ飯もベトナムのも、中国が起源なのかなと思ったりして。実際、バンコクの中華街には創業100年を超えるぶっかけ飯屋もあるし。

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 このスープも飲んだ。無料だったのか、あとで頼んだのか憶えていない。でも、これだけちゃんとしていて無料ってことはないでしょう。

 冬瓜とニンジン、あとジャガイモっぽいのも見える。それから浮いているのはパクチーとネギかな。このスープは先の付け合わせのスープと違っておいしかった。肉は鶏肉かな。鳥のスープだったはず。

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 タイのぶっかけ飯ではボクは必ずプリック・ナンプラーを使う。ナンプラー(魚醤)にトウガラシやニンニクなどを加えたもの。ここでも同じものを探したけれどなく、たぶん白醤油みたいなものにトウガラシを入れたのかも。

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 タイのトウガラシは小さければ小さいほど辛いと言われる。一番小さいトウガラシがプリック・キーヌーで、大きなトウガラシはピーマンだ。この常識のままベトナムに行くと、このサイズのトウガラシに対して警戒心ゼロで噛みついてしまうことがある。すると、超辛い。

 ナンプラーとベトナムの魚醤ヌクマムはほぼ同じものなので、あとはトウガラシさえあればプリック・ナンプラーができると思った。が、肝心なヌクマムがなかった。この店だけなのか、ベトナムのコム・ビン・ザンでそうなのかはわからない。

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 ハノイのコム・ビン・ザンだと、こういう風に生ビールのビアホイも置いてあることがある。まあ、この場合はどう見ても生暖かい生ビールしか飲めないけれど、ビアホイこそがボクの中ではハノイの象徴なので、ついつい飲みたくなってしまう。

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 タイ同様、ベトナムでも複数人でコム・ビン・ザンに行くと、おかずをぶっかけずに個別に皿に盛ってもらうこともできるようだ。こうすれば、より多くの種類を楽しむことができる。

 ただ、タイの場合はこうした盛り方は量が違うので、値段も違う。この店はどうだったかな。ここはホーチミンの観光客が行くところではなく、現地の日本語無料誌の編集部を訪問した際に連れて行ってもらった店で、ご馳走になったこともあって値段はわからない。

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 ホーチミンではコム・ビン・ザンはコム・タムと’呼ばれる。コムが共通するが、これはご飯とか米という意味だ。ホーチミンのコム・タムのタムは砕くとかそういう意味らしい。砕いた米を炊いているのでコム・タム、というわけ。

 だから、画像のように米一粒一粒がはっきりとしていないというか。食感は正直よくなくて、おいしくない。ただ、こうすることで消化にいいので、朝とか昼によく食べられると聞いた。

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 おかずはやっぱりタイとかも同じで、ちょっと脂っこいもの、味が濃いものが多いのが、ベトナムぶっかけ飯の特徴かな。やや中華感がやっぱりある気がする。

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 これなんかはタイにある豚の煮込みに似ている。ベトナム人は嫌中が異様に多いけれども、文化や食事には多大な影響を受けていると思う。

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 こういうさっぱり系の炒めものもおいしい。こういう方が米の味も楽しめるが、コム・タムになっているともはや関係ないか。

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 タイもそうだが、ベトナムも豚肉が多い。鶏もよく食べるし。牛はタイよりも食べるけれども、日常的でないという印象がボクにはある。

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 と言いつつ、これは牛かな。

 ベトナム、特にホーチミンは部分的にロックダウンに入っているところもあるみたいで、なかなか簡単に行ける世の中にはならないね。ベトナムぶっかけ飯を食べたいけれど、しばらくはお預けかな。

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