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「旅の賢人たちがつくった 海外グルメ旅 最強ナビ」

 辰巳出版の、主に海外旅行のマニアックな情報を提供する『最強ナビ』シリーズに新刊が登場した。その名も「旅の賢人たちがつくった 海外グルメ旅 最強ナビ」。

 旅の醍醐味で最も重要なポイントは食だとボクは思っている。どんなに印象の悪い国でも食事がおいしければ、結果的にいい思い出になる。それくらい重要な要素だと思う。

 この本はそんな海外のグルメに特化したガイドブックであり、読み物だ。普通ならそんなものを食べないであろう現地の底辺にあるローカル食から、王道の現地グルメまでを網羅している。ある意味でもこのシリーズが行き着くところに来たのではないだろうか。ボク自身もいくつか記事を寄稿させてもらった。

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 書籍自体は12月24日発売なので、すでに日本国内の書店に並んでいることでしょう。装丁はこれまで同様、ソフトカバーで、デザインもシリーズのものを踏襲している。帯には、この書籍の監修と編集、すべてのライターのまとめ役でもある丸山ゴンザレスさんの横顔がある。

【構成】
1章◉世界の料理
2章◉食べるために旅をする
3章◉味の秘境地帯で食べる
4章◉グルメHigh&Low
5章◉魅惑のストリート& ジャンクフード
6章◉世界で食べる日本の味
7章◉ちょっとブラックなフード体験
8章◉あの味を忘れない

 アマゾンでも購入できるので、近くの書店にない場合はネット通販がいい。最近は初版数が必ずしも多くないので、全国の書店に行き渡らないことも多々ある。だから、さくっとネットで買うのも手でしょう。

 電子書籍版はあるのかな? それは聞いてないのでちょっとわからない。

 今回も執筆陣がすごい。今回は特にタイ料理は西尾康晴さんが多く執筆しているので注目したい。あと、個人的にはタイ在住でインド旅行に最近よく行かれるという平原千波さんの記事もおもしろい。あとは、やっぱりここのところ日本国内のマイノリティーな外国人を取材・執筆させたら右に出る者がいない室橋裕和さんの記事も興味深い。

 とにかく、執筆陣の顔ぶれは素晴らしい。「旅の賢人たち」というタイトルにもふさわしい人物たちである。そこにボクがいるのがおこがましいというか。それくらい、旅関係のライターやブロガーの一線級が揃っている。

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 あまりにも一線級ばかりなので、ボクなんかは採用された記事が今回は少なめだった。そのうちの半分くらい、ベトナム料理のことを書いた気がする。

 ただ、本編での採用が少ない代わりに、ページのサイドにあるミニ情報は多くがボクのネタだ。要するにボクはしょうもないネタしか持っていないんだな。それくらい、この本はすごい人たちの濃いネタばかり。

 全般的に言えばガイドブックではある。が、一般的なガイドブックと違ってマップがない。だから、読み物でもある。こんな時世なのでなかなか海外に出かけられないわけで、そんなときのバーチャルな旅体験をこの本から得ることができると思う。

 そして、読み込めば大体その辺りに行けるという、旅の初心者を突き放した内容というわけでもないので、実際にはガイドブックの側面も失っていない。昔の、タイはカオサン通りにあった旅人ノートとか、そこで旅人同士が情報交換として交わしていた会話の延長のような、そういった懐かしいバックパッカーテイストが感じられる一冊と言えよう。

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 旅の醍醐味は食にある。人間、食わなければ生きていけない。食は生の根源であるし、同時に文化の原点でもある。現地で食べることで、より深く現地を知ることが可能だ。だから、旅先ではローカル食を大切にしなければならない。

 この本は、そんな旅先での食の思い出や情報を、参加ライターたちが惜しみなく公開している。食の楽しみを疑似体験できるので、ボクの中では最強ナビシリーズの最強版が登場したと思っている。

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 ボクなんかはこうして20年以上タイに関わってきて、タイ料理店で働いたこともあるし、タイ料理もある程度知っているつもりでいる。でも、こうして新たにいろいろな方がそれぞれの視点で描いたタイ料理という括りを読むと、改めてタイ料理が好きになる。

 ぜひ、この本を手に取ってきただき、海外グルメを改めて体感してもらいたい。普通に海外旅行ができるようになることを夢みながら。

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