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妖怪が妖怪人間になった日のこと

ママのお仕事の後輩で、
『妖怪』と言うあだ名をつけられた男がいる。

ご存知の方も多いとは思うが、
『妖怪ヘイヘイ』のことだ。

実はこの『妖怪ヘイヘイ』には、
別の呼び名が存在している。

『ある意味、魔法使い』

それは…妖怪ヘイヘイが、
男としての経験がないからだ。

社会人となり、多少⁈人間らしくなった
『妖怪ヘイヘイ』
女の子とデートする機会もわりと増えてきた。

初デートの後、
『今回は90%イケる!』と、
妖怪尺度でみんなに報告をする。

暫くすると連絡が取れなくなる。
そして…
『そもそも0%でしたわ!』と報告される。

いつも妖怪ヘイヘイのお決まりのオチは、
『お金だけ取られましたわ〜!』だ。


そんな妖怪ヘイヘイに、
女の子とのお泊まりチャンスが巡ってきた。

女の子の家から出勤を果たした
妖怪ヘイヘイは…
いかにも果たしたように周りに振る舞っていた。

そしてその日の仕事中に、
『お母さん、ちょっといいですか?』と、
ママは喫茶店に呼び出された…

そこには妖怪ヘイヘイがお父さんと呼び慕う、
『おじさん』と言うあだ名のママの同期の
おじさんが居た。

『あ、あの…昨日の報告なんですけど…』と、
妖怪ヘイヘイは昨夜のことを生々しく、
赤裸々にママとおじさんに報告した。

おじさんは、ため息をついた…

ママは一言いった…
『あんたさ、そ〜ゆ〜動画観たことないの?』と…

妖怪ヘイヘイは、
女の子からキスをされ、
その後、ど〜したらいいのか?
先がわからず混乱してしまったらしい。

『ほんと、みんな、そ〜ゆ〜風に、
 してるんですか?』

妖怪ヘイヘイはびっくりし、
おじさんの顔をみて手順を確認した。

そしてまたその女の子との
お泊まりチャンスがやってきた。

『まぁまぁまぁ、今度は大丈夫っすわ!』

結果…ダメだった。


今度はおじさんから、
『精力剤ドリンク飲め!』と…
アドバイスを受けた。

結局…その女の子との
3度目のチャンスはなく、
フラれた…


そんな妖怪ヘイヘイに、
彼女ができた。

人生で初めて彼女と呼べる彼女だ。

『まぁまぁまぁ、時間の問題っすわ』

そんなことを言いながら、
3ヶ月ちょっと過ぎた。

やっと…妖怪ヘイヘイは、
魔法使いを卒業し、
妖怪から少しだけ人間に近づいた。



先日…妖怪ヘイヘイが家にきた。
僕を抱っこ紐で抱え、
近所へ散歩に連れていってくれた。

帰ってきた妖怪ヘイヘイは、
僕も結婚し、子どもが欲しいと言い出した。

子どもを抱っこして歩いていると、
地域の人が声をかけてくれ、
優しくしてもらえたと!


僕の擬似父親体験のおかげで…
調子に乗せてしまった…

まったく、調子に乗り過ぎだ。


そして…彼女に結婚を申し込み、
断られた。


やっぱり…まだまだ…
妖怪のままだった。

でもこれが、
僕のお兄ちゃんだ…

保育園のお迎え者リストにも、
両親、祖父母に加え
ファミリーサポート役で、
しっかり名前と連絡先が書かれている。

チャンチャン。


そっちゃんでした。

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