時事解説:TSMC($TSM)熊本第1工場、2030年までに現地調達率60%達成へ
こんにちは!個人投資家のTAKA Chanです。
2024年4月6日、TSMCの魏哲家CEOは、熊本県菊陽町に建設された同社初の国内工場「熊本第1工場」を視察した岸田文雄首相に対し、2030年までに同工場の現地調達率を60%に引き上げる計画を発表しました。
マスコミによっては補助金などの動きも報道されています。
いくつかの記事をざっくりまとめました。
それではどうぞ!
首相、TSMC工場「日本全体に波及効果」最大1.2兆円補助
熊本県菊陽町に建設されたTSMCの半導体工場は、日本経済に大きな波及効果をもたらすことが期待されています。4月7日、岸田文雄首相は、TSMCの魏哲家CEOと会談し、熊本工場の建設に最大1.2兆円の補助金を支給することを表明しました。
首相は、TSMC工場が「日本全体のサプライチェーン強化につながり、経済活性化に大きく貢献する」と述べています。
TSMC工場の波及効果
TSMC工場の建設は、以下のような波及効果をもたらすことが期待されています。
雇用創出: 工場建設や操業によって、数千人の雇用が創出される見込み。
地域経済の活性化: 工場関連企業の進出や、観光客の増加などが期待されます。(ここは視察旅行ではないかと思いますが)
技術力の向上: TSMCとの技術交流を通じて、日本の半導体産業全体の技術力向上につながることが期待されるとの事
政府の支援
政府は、TSMC工場の建設を支援するため、以下のような取り組みを行っています。
補助金の支給: 最大1.2兆円の補助金を支給します。
インフラ整備: 工場周辺の道路や港湾などのインフラ整備を進めます。
人材育成: 半導体産業の人材育成を支援します。
現地調達率60%達成に向けた取り組み
現在、熊本第1工場の現地調達率は約20%です。今後、TSMCは以下のような取り組みを通じて、段階的に現地調達率を高めていく計画です。
地元企業とのサプライチェーン構築: 半導体製造装置や材料、部品などを供給する地元企業との連携を強化し、調達先を拡大します。
サプライヤー育成プログラム: 地元企業の技術力向上を支援するためのプログラムを実施し、TSMCの調達基準を満たせるサプライヤーを育成します。
大学や研究機関との連携: 熊本大学や九州大学などの大学や研究機関と連携し、半導体製造技術に関する研究開発を推進します。
現地調達率向上によるメリットは?
現地調達率の向上は、以下のようなメリットがありそうです。
地域経済の活性化: 地元企業への発注が増えることで、雇用創出や地域経済の活性化が期待
サプライチェーンの安定化: 地元企業との密接な連携により、サプライチェーンの安定化とリスク低減を実現できます。
コスト削減: 調達コストの削減により、半導体製造の競争力強化につながります。
一方で懸念されているデメリット
TSMC熊本工場は、日本経済に大きな波及効果をもたらすことが期待されていますが、調べてみると以下のようなデメリットも指摘されています。
1. 財政負担
最大1.2兆円の補助金支給は、国の負担となります。また、インフラ整備や人材育成にも費用がかかります。
2. 環境負荷
半導体製造は、多くのエネルギーと水を必要とするため、環境負荷が懸念されます。
3. 地域格差や雇用の偏りの懸念
熊本県への集中投資により、雇用の偏りや地域格差が拡大する可能性があります。
4. 技術流出
TSMCとの技術交流は、日本の半導体産業の技術力向上につながる可能性がある一方、外資系のため技術流出の懸念もあるとの指摘も。
5. 経済安全保障
半導体は、現代社会にとって不可欠な基幹技術です。TSMC工場への依存は、経済安全保障上のリスクとなる可能性があります。
これらの問題の政府の対応
政府は、これらのデメリットを克服するために、以下のような取り組みを行う予定だそうです。
補助金の透明性確保: 補助金の使途を透明化し、国民の理解を得られるよう努めます。
環境対策: 環境負荷低減に向けた技術開発を支援します。
人材育成: 全国各地で人材育成を推進します。
技術流出防止: 契約や法規制による技術流出防止策を講じます。
サプライチェーンの多様化: TSMC以外にも、複数の半導体メーカーとの取引を促進します。
TSMCの熊本工場への取り組みの今後
TSMCは、熊本第1工場の建設に約1兆円を投資し、5nmプロセスを用いた最先端の半導体製造ラインを導入しています。また、熊本第2工場の建設も予定されており、2025年の稼働を目指しています。
TSMCは、熊本工場への積極的な投資を通じて、日本の半導体産業の発展と地域経済の活性化に貢献することを目指しているとのことです。
今後の展望
TSMCの熊本工場は、日本の半導体産業における重要な拠点として、今後ますます重要な役割を担っていくことでしょう。
現地調達率の向上は、TSMCの競争力強化だけでなく、日本の半導体産業全体のサプライチェーン強化にも貢献するでしょう。
しかし、外資系ということを日本は忘れてはなりません。
日本はこの分野、自前で戦うことが事実上難しくなっているのです。
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