見出し画像

インジャスティス・コレクター

injustice:不当な扱い

これを集める人、つまり、「自分が不当に扱われた」と思った経験を集めて数え続ける人のことを「インジャスティス・コレクター」というそうです。

「発達障害のやべー奴」のように考える人も多そうだけれど、自分がみてきた限り発達障害者にも多くいるわけではないです。
というか普通に考えて、そんなにいたら社会が保たないわけでして。

ただ、発達障害のよくある症状の一つに「嫌なことばかり極度に記憶に残る」もあるため、その傾向をを強く持つ者ほどインジャスティス・コレクターになりやすい傾向はあると推測できます。けれども、それが全ての原因とはいえません。

私がこれまで見てきた診断済みの発達障害者に限っても、それっぽい人物となるとだいたい「発達障害以外の"何か"も持っていそうな人」という感触を持ちます。医学の素人なので「何か」の正体はわからず、あくまで違和感を持つだけですが…。

なお「injustice」の元となっている単語、「justice」の意味は、日本語から見ると雑で。
「公正」も「公平」も「正義」も全部この1語に収まっていることから、「injustice」には「正義がなされていないという思い」のニュアンスも含まれているように思います。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

世の中には、いつまでも愚痴が止まらない人がいます。

他人に愚痴りたいことなんて皆何かしら持っているものだと思うのですが、そのようなレベルではありません。
彼らの話を遮らないでおくと、スッキリするどころか、更にヒートアップしていきます。

聞いていてよくネタ切れしないものだと思うのですが、どうも自説を強化するためだけに記憶力を使っているようにみえます。
無駄に「その時自分が考えたこと」の説明が詳しいうえに、終わったら「この時もこうだった」「そういえばこの前…」と新情報が増えていく。

こういう人がまさに「インジャスティス・コレクター」というのでしょうね。

彼らはきっと、
世界を呪うために世界を憎んでいる」。

この場合の「世界」は「自分以外の全て」のこと。世界を憎しみ続けるための源泉とするため、他の役には立たない記憶を集めている形になっています。

他方では世界への憎しみを鈍らせる材料は全部捨て去られることになるため、語る内容は嘘や改変が多くなります。
特に嫌いな人間が絡んでいる事象においては、たとえ自分側に問題があっても自分を常に善に置いたことを言います。
(本人は、自分がその取捨選択をしていることを意識すらしていない様子です。)

そんな呪詛を聞く側は、彼らの語る言葉の信じられなさを嗅ぎ取ってしまいます。そのうえ、自分が彼らの敵対する「世界」の一部だということにも気付かされていきます。
なので、多くの人は自分への個人攻撃が始まる前に距離を取るのです。

こうして孤独を生むことも、本人にとっては「世界からの拒絶」というインジャスティスとなりますから、彼らの精神は負のスパイラルへと…。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

自分以外の全てを憎んでいる彼らを本気で救おうと思ったら、精神科医や心理士といったプロの力を借りないとならないのでしょう。

私が知るインジャスティス・コレクターは、総じて不安のレベルが高過ぎる節があります。

そして、彼らは揃って親子関係がこじれています。
親が安心を与えなかったことが彼らの「世界」への不安をより高めているようにみえます。
でも、そんな養育者に今更まともになれって言っても…だし、そこまで理解して親との関係を断てるような子供は、そもそもインジャスティス・コレクターにはならないでしょう。

記憶の使い方が自分の不快感に限られるので、多面的な見方をする材料にも欠けているようです。特に「恨まれてる人の立場なら、この言動が正しい」と判断できるケースでは愚痴(呪詛)の聞き手は共感ができませんから、「それって違わない?」って言いたくもなります。ですが、話し手が家族のように関係を続けなければならない立場なら聞き流すのが最適解のため、聞き手は苦しくなります。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

仮に聞き手が話し手に言い返すなら、キくのはたぶんこの辺だと思います。
「どうしてこういう努力しなかったの」
「環境変えればいいじゃん」
「考えが薄い、浅はか」

でも、こういう言葉に反論をしだすのもよくある話です。

呪詛の源泉は「過去」。
「過去」で頭がいっぱいになっている脳に「現在」や「未来」は入りません。
ずっと「過去」を見つめていたらできそうな「過去から学ぶこと」も、「未来」へ向けた作業なので実は不可能なのでしょう。

これには計画能力が育たないという側面もあり、「現在」で場当たり的にしか動けないので自爆を起こし、また新たな呪詛を吐き直すことに。

ツッコミへの反論には、「呪詛を吐くしか能力がない自分を認めるわけにいかない」という…人としては当然の気持ちも一緒に出るのだと思います。
これ、不都合なことは自分を「正義」ということにして批判を躱せば良い、ということにも繋がるのでしょう。そう、「justice」です。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

陰謀論を信じる人の研究(まだ始まったばかりの段階だそう)でも、インジャスティス・コレクターは挙げられています。ただ大きく分けて2種類あるうちの1つ、という説らしい。詳細は下記記事にて。

私としてはこの記事で書かれている特性はどちらも性質は意外ではないし、性格分析の方が意外性あったのですが、そこは置いておいて。

現代は生きているだけで過去の時代以上にたくさんの不安や恐怖がつきまといます。政治も経済も問題を起こしてるところがありますしね。

そのうえで「アホらしい情報に振り回されないようにすること」は重要ですが、インジャスティス・コレクターは自分から陰謀論的な世界観を作り出している側面があるといえます。

・猜疑心が強い
・思考が薄っぺらい
・学ぶ力が弱い
・友達ができにくい

なので、同じように「世界」を呪う仲間が見つかれば、彼らはその呪詛に見合う物語で繫がることができます。
陰謀論者はその物語として陰謀論を提供するだけで良い。まことにひどいです。

ちなみに、荒唐無稽な陰謀論(陰謀論そのものは本当の事にほんのり嘘を混ぜるという手法を取りますから、その嘘の部分ですね)が本当のことだとして、そういうのは頭が良い人達ほどきちんと理解していてかつハックするので、彼らのような人物は結局勝てないんですよね…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?