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2019年の振り返りと2020年の展望(東南アジアスタートアップ編)

2019年もお疲れ様でした!

東南アジアのスタートアップシーンで個人的にインパクトが大きいと感じているポイントに絞って(データとかなく申し訳ないです)、簡単な振り返りと2020年の展望をこのタイミングで纏めておきたいと思います。

2019年振り返り

まず始めにファンドとしての活動を振り返りたいと思います。

昨年末に組成した2号ファンドより、2019年に新たに東南アジアで投資実行をした件数は、ステルス先も含めて8社(インドネシア5社 / ベトナム 3社)となり、1号ファンドと合わせて16社支援させて頂いています。

なお、2019年は1号ファンドから出資している7社の内、4社への追加投資を実行しており、各支援先が順調にアップラウンドに進んでおります。

続いて、
東南アジアのスタートアップシーン全体の大きな流れとしては、
・東南アジア域内の投資家以外に新たに様々な地域を拠点(インド、韓国、中国など)とするVC資金が流入し始めた

・先行指標であるトップラインの成長だけを追求しているスタートアップの資金調達が徐々に難しい局面になりつつある

・2019年9月頃まではSoftbank Vision Fundの話しを東南アジアのスタートアップの色々なところから聞いていたが、後半はパタリと聞かなくなった

・インドネシアに次ぐ東南アジア有望市場として、ベトナムが急速に投資家からの注目が集まった

があげられます。

また個人的にインパクトが大きかった上記と関係するポイントとしては2点。

1. Sequoia IndiaがPre A Round(中にはSeedも)でクイックに投資を可能とするアクセラレーションプログラム Surgeを2019年3月より開始
→以前は、Sequoiaは東南アジアシリーズA以降への投資が中心でしたが、Surge Programを開始し、1.5-2M USDをクイックに意思決定し、よりアーリーステージに参入してきたことが非常にインパクトが大きかったです。

通常のアクセラレーションと違いすでにプロダクトがある企業が中心となっており、強い組織作り、急速なグロースの作り方などSequoiaの世界中の支援先(東南アジアだけではなくインド、中国、USも)を巻き込んで、起業家をメンタリングするプログラムとなっています。
プログラム最終日にはSequoiaとコネクションがある東南アジア域内、東南アジアでまだ投資実績がない著名ファンドのパートナークラスを集めたDemo Dayが開催され、そこで5M USD以上の増資がガンガン決まって行きます。

我々の支援先も複数採択され、東南アジアで投資実績がない超著名な投資家からの増資が決まっています。

東南アジアのスタートアップエコシステムの厚みを作る意味で物凄いインパクトがあり、同じステージで投資をする投資家からすると脅威以外の何者でもない取り組みだったりします………苦笑
我々は、幸いなことに複数共同投資を行うなど良い連携させて頂いております。

またSequoia以外にもAccel Partnersや、米系のグローバルで著名なVCのインドファンドがインドネシアを中心に東南アジアへのアロケーションを徐々に増やしつつある動きがあった1年でもありました。

2. 韓国系VCの存在感が急速に高まる
→韓国は政府系ファンドがVCのファンド資金に対して、大きく投資するのが特徴であるが、政府系ファンドの意向もあり2018年後半から東南アジアへの投資が加速しています。

韓国最大手VCである、Korea Investment PartnersKB InvestmentSoftbank Ventures Asiaは東南アジア向けのファンド組成や、予算を作っており、1回辺りの出資で3-5M USDを投資し始めており、また各社ファンド予算100M USDほどあると言われています。

またその他VCファンドもシード、シリーズA共に多く参入してきており、特にベトナムへの参入が加熱しており、ベトナムのスタートアップの足元の時価総額は高騰しつつあります。

2020年の展望

上述の通り、新たな投資家が東南アジアへ参入してきている、かつファンドサイズが大型化し、スタートアップ にとってはリスクマネーを投じるプレイヤーが増えている状況となっています。

一方で、デカコーン企業であるGojek、Grab。ユニコーン企業であるBukalapakなどが選択と集中の関係もあり事業を縮小したり、人員を減らし、筋肉質な体制に急速にシフトする動きが見られます。

以前は、トップラインを伸ばし続けることで市場を独占する、トッププレイヤーになることで将来的に高い時価総額を正当化出来るという判断で投資が集まっていたが、Uberの上場、Weworkのスキャンダルなども相まって、投資家からの圧力もありユニットエコノミクスを重視する流れが始まりつつあります。

これらの動きは、ユニコーンクラスのスタートアップに限らず、シリーズAでの増資にも大きな影響があると考えています。

私自身の経験としては、確か2014-2015年くらいに世界中でユニコーン企業が急速に増え、その後、「いつ黒字化するの?」と言う論調が巻き起こり、急速にユニットエコノミクス重視になった時と既視感を覚える状況となっております。
(気付いたら、ここ2年ほどユニットエコノミクスを無視した成長を追い求めるスタートアップ が増え、それに投資をする投資家が増えているので歴史はいつでも繰り返すのだな……と身をもって体感しております)

このような状況になると、目先の数字成長ではなく、本質的な事業創りと向き合えているスタートアップ、起業家が強いです。

幸い、私自身も数年前に経験している為、我々の支援先は骨太で筋肉質な事業を創りつつあります。

2020年は、ガンガン新規投資!と言う感じではなく、支援先各社と冬に備えて、本質的な事業創りのサポートに注力しつつ、資金調達をアシストし、着実にアップラウンドを実現させて行きたいと考えています。

簡単な振り返りのつもりが気付いたら長文に………苦笑
おそらくこれが年内最後のnoteになります。

それでは、みなさま、良いお年を!!

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