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目の前で人が倒れたらどうする?


「あっ」
そう声を漏らし、一歩踏み込んだ時にはもう遅かった。

”ドスッ”
っと鈍い音が聞こえた。
目の前で急に人が倒れ、頭を強く打っている。
慌てて、「大丈夫ですか?」と声をかけるも反応しない。
やばい、どうしようと不安になりながら、肩を叩き、とにかく声をかけつづけた。
すると、「うーーー」と反応があり、安心した。
それを聞いたお連れの方が、「何やってんだよー」と言いながら身体を起こそうとした。きっと転んだだけだと思ったのだろう。
頭を打っていたので、動かさないほうがいいと思った僕は「うつ伏せの状態を仰向けにしましょうか、お手伝いしますよ」と伝えた。
そして、「救急車を呼べる方いますか?」と叫びながら周りを見た。数名が人呼んできますと動いてくれた。近くのショップの店員も出てきて、救急車呼びますといってくれたのでお願いした。しかし、目の前で倒れた人を見て少し怯えている感じがした。なんだか電話をかけれるような状態ではなさそうだったので、自分でかけようと思い携帯を取り出す。ダイヤルナンバー『119』にかけた。ここで問題発生。コールが鳴る直前で不安になり、『110』へ掛け直したのだ。かけた先は警察だった。状況を説明すると、「かける相手間違ってるよ」と言われ電話を切られる。こんな時に何やってんだと反省する。掛け直そうと思っている時に、倒れた本人が「痛い、痛い」と言い始めた。まずはどこが痛いのか、目は見えているか、意識ははっきりしているのか確認した。そして、駆けつけてくれた別のスタッフに救急車をお願いした。周りにお医者さんがいないか叫んだ。傍観者は増える一方で、お医者さんは見つからない。救急車はお願いしたものの、頼んでくれたのかわからない。もう一回かけたほうがいいかなと迷う。

その場所はイベント会場だった。そこの責任者が駆けつけてきて状況を聞く。会場内にある看護師に連絡をしたが、駆けつけられないため、救急室へ移動してみてもらいましょうとなった。本人に動ける?起き上がれる?と聞いた。反応できない様子を見て担架で運ぶというのだ。頭を打っているのに動かしてもいいのかな?状況を知らないスタッフが運ぶの?と疑問ばかり。

その時、「大丈夫ですか?」と一人の女性が駆けつけた。
「私、看護師です、安心してください。どうされました?」そんな質問をしながら意識の確認、脈の確認、四肢の動作確認など手際よくやっていく。

会場の責任者 「あなたは何ですか?」
女性     「看護師です」
会場の責任者 「ここの看護師ですね」
女性     「いいえ、通りすがりです」
会場の責任者 「何しているのですか、やめてください」

その作業を会場の責任者はやめさせるのだ。
人の命がかかっている状況でそれはないだろと思った。
その後、倒れた方は救急車で運ばれた。後遺症など残ることなくよくなってねとそう願い、その場を離れた。

僕は、小学生の時から授業の一環ではあるが年に1回以上は心肺蘇生法を学んでいる。社会人になっても同様に。だからこそ、咄嗟に意識の確認ができたのかもしれない。しかし、反省すべき点は救急車を呼べなかったことである。そのとき調べていたら間違えずに済んだのにそれができなかった。他にできることはなかったのかな、もし意識がなかったらどうしたんだろう?そんなことを考えながら帰宅した。

今回の件に関して、個人の意見として残したい。
イベント会場の責任者だからこそ、守らなければいけないルールがあったのかもしれない。そのルールを守ることで失われる命もあるかもしれないという可能性を考えると絶対なんてないと思った。しかし、その判断で自身の地位がなくなるとしたら簡単にはできない選択かもしれない。

自分が看護師、医者だとしても業務外で率先して救護活動ができる人は数少ないと思う。どれだけ知識や自信があったとしても環境が整わない状況で動くにはリスクが大きく、勇気が必要なはずだ。だからこそ、今回の女性の勇気ある行動に感謝したい。

最後に、皆さんに質問です。
今回はイベント会場での出来事だったのでとにかく人が多かった。
助けてくれるよりも、ただ見ている人の方が多い。
そういう状況の中で、人の命が危ない、誰かが苦しんでいる姿を見たとき、あなたは声をかけられますか?

最後まで読んでいただきありがとうございます。


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