少女は瓦礫の道をゆく 2.競馬場
年末の競馬場前は、冷たい風が吹いているにもかかわらず大勢の人でごった返していた。
見るからに風采の上がらない二人の男が、寒さに足踏みしながら入場待ちの列に並んでいる。
「相変わらずすごい人だな」黒っぽいジャンパーを着た男が言った。
「“アリマ良ければすべてよし”って言うだろ。みんなこの日に賭けてるわけよ」両手をパーカーのポケットに突っ込み、キャップをかぶった男が応じた。「まあ、ここでスっちまったら、正月も寂しく迎えることになるけどな」
「どうせはした金だ。持ってたってすぐ