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通過点にされると云うこと

ミュージカルRENTを15年4か月と2週間ぶりに見て思った。
通過点にされると云うこと。

引っ越しや転職、もしくは趣味の移り変わりで色々なシーンの友人がいて自分ではそう思わないけど友人の出入りの多い人生らしいです。

よく言う人間関係リセット癖みたいな事を実際にしたりすることも無いけど、シーンが変われば適当に淘汰されたりあるいはそのシーンを超えて自分の人生に根付いた人たちもいます。

RENTは15年前大阪でたまたま深夜にやっていた映画の番宣で知り、映画スタート→来日コンサートの流れだったと記憶しています。
当時数年前に亡くした親友のことを引きずっている毎日で、逆に出来ない自分へのエクスキューズに亡人を使ってるような気さえして人生へのヘイトが溜まり、基本的に絶望していました。
ミュージカルの内容は、夢破れたり葛藤を抱えた若人達が本当の愛だったり希望だったりを友人の死を伴って知っていくみたいな使い古されありふれたストーリーなのですが、それが当時の自分には刺さり特に楽曲の素晴らしさで泣きっぱなしでした。

例えば:

There's only us, there's only this

Forget regret, or life is your's to miss

No other path, no other way

No day but today

(ここには私達しか居ないここにはこれしか無い
後悔を忘れ人生を往こう
他には道がないし今日しかないのだから)

とか、
一番有名なseasons of love の中の1年525600分を何で数えるかに対しての歌詞:

In truth that she learned

Or in times that he cried

In bridges he burned

Or the way that she died

It's time now to sing out

Though the story never ends

Let's celebrate remember a year in the life of friends

(彼女が知った真実か、それとも彼が泣いた数
彼が覚悟を決めた数、それとも彼女の死の事実で

今こそ歌うときだ、人生は続くのだから
祝おうこの一年は共に過ごした友人で刻むんだ)

などなど。

本題からズレてしまった。
15年ぶりにこのミュージカルを見て、適当に人生を重ね低空飛行ながらも昔ほどの危なっかしさを覚えることも少なくなった私は、どんな感想を持つのか予想していました。
・青臭い
・時代背景が合わなくなってきている
なんて事を思いながら多分微笑ましい気持ちになるだろうと。

これがまあ予想外で開園の瞬間から涙が溢れ、オープニング全く泣ける要素のない、
“お金がな〜い♪お金がな〜い♪”
みたいな曲で一人大号泣ですよ。

その時の感情としては、この15年間を振り返った後悔と当時のちっぽけながらも今よりも多少なりの全能感を持っていた自分への懺悔、そして今は思い出すことの方が少なくなってしまった親友への想いでした。

僕は勝手に当時の自分を顧みて今までの人生的なものを振り返り、
『我が人生、よくはないけど最低でもないな』
みたいな事をしたかっただけではないのかと。
当時RENTでボロ雑巾のように泣いていた自分を、少し滑稽な気持ちにでもなって思い出したかっただけなんじゃないのかと。

そこで本題。
旧知の友人が何かに触れたのか連絡してくることありませんか。
勿論ビジネスや宗教、選挙なんて話ではなくふと元気かななんて。

多分僕を通して彼ないし彼女の視点は、僕と同じ時間を過ごした当時の彼ないし彼女で結ばれているんじゃないかと。
過去のシーン、過去の平面にいる僕という通過点を通して自分の軌跡みたいなものを確かめたいんじゃないのかなと思っています。

それの良し悪しについて語りたいわけでは無くて、ふと過去のシーンの友人から連絡があった時は、そうかもう彼は次のステージに行って僕というアクセスポイントを通して過去の自分を見たくなったのかな、と言うことは多分現在の僕との関係は終わりの始まりだなと感じます。
そう感じた瞬間からこちらからの連絡も憚られてしまうから。

そんな息苦しい事を考えながら誰かと付き合ってる訳ではないけれど、
『また飲もうね』
からの本当に飲むことの方が圧倒的に少ないことに気が付かない振りしてるのもね。


以上、ミュージカルRENTで過去の自分を通過点的に見ようと思った驕りのせいで、今の自分が倍返しを食らった話

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