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不動産鑑定士試験当日&試験答案

こんにちは。不動産鑑定士の小澤です。

今回は不動産鑑定士論文試験について、H30試験当日の出来事についてお話ししようと思います。
(※年月経ってるので覚えてる範囲内の点ご了承願います)


試験概要

試験会場

場所は、TOC五反田メッセ(2022年4月末で閉業)

試験直前の会場下見にて

試験日程

以下の日程で論文試験が行われました。

2018年8月4日(土)
10:00~ 民法
13:00~ 経済学

2018年8月5日(日)
10:00~ 会計学
13:00~ 鑑定理論(論述①)

2018年8月6日(月)
10:00~ 鑑定理論(論述②)
13:00~ 鑑定理論(演習)


ちなみに、不動産鑑定士試験について、どんな職業・試験なのか、受験したきっかけ、合格までの道のり、等々については、別noteでお話してますので、よかったらご覧下さい。

(※2018年夏は、ロシアで開催された第21回FIFAワールドカップ。日本はグループ2位で決勝トーナメントへ進出で、日本中サッカーで大盛り上がり。その最中、試合を見ず過ごした試験直前期はとてもしんどかった記憶です(笑))

そんな中、1年前不合格だったリベンジを果たすべく、満を持しての論文本試験。社会人受験生として仕事をしながら1年間勉強を続けてきて、「今年絶対合格するぞ」と一層気合いも入ってました。

直前期のメモ

直前期当時のメモには以下のような内容が書いてありました。

■あまり詰めすぎない
・試験3日間に最もパフォーマンス発揮できるよう集中。睡眠、食事、勉強量をコントロール。あらかじめ勉強すると決めてるものだけやったらあとは無理しない。

■情報はシャットアウト・前を向く
・試験期間中は、終わった試験の内容は一切振り返らず、前だけ向く。
特に鑑定理論は日をまたぐから、ネガティブに陥りやすい。次の日の試験の事だけ考える!(Twitter・SNS関連は封印)

■試験当日の気持ち
『とにかくいままで頑張ってきた自分を信じる』
受験会場行くと空席も目立ってるはず。自分は準備して打席に立っている。その時点でもう勝ち始めてる。頑張ってきたんだから絶対大丈夫!と思い込む。
『何が出ても焦らない』
3日間のうちで予想外の問題(形式?内容?)が必ず出る。何が出ても焦らない。冷静に問題文を読んで問いに答える。未知の問題は皆できない。深呼吸、大丈夫。
『絶対に最後まであきらめない』
試験中どんなに心折れそうでも、逃げたくなっても、何があっても最後まであきらめない。

試験初日

いよいよ試験初日。
家を出る前に妻が小さなおむすびを作って渡してくれました。

事前に場所を確認していたため、会場までは迷わずに着きました。

TOC五反田メッセ入口入ってすぐ


会場内に入ると、ちらほら空席は目立ってました。
そして試験官のアナウンスで、答案用紙・回答用紙が配布。

2018年8月4日(土)
10:00~ 民法
13:00~ 経済学

試験最初は民法。典型論点を問うものばかりで、概ね問題なくクリア。
(ただ最初の科目だったので、答案用紙の一行目書き始めるときに、手が震えたのを覚えています。)

「大きな失敗はしていないだろう」との安心感のもとに
おにぎり食べながら、午後の経済学の資料を眺める。(当然ながら内容は頭に入ってこない)

事件その1

そして、経済学の試験開始。経済学は苦手科目で、足を引っ張らない程度に守り切ることを目標にして望みました。

問題を見渡して、大問2(マクロ経済)で時が止まる。
今まで全く問われたことのない問題。問いの意味すら分からない。答案構成しようとするがただ時間だけが過ぎ、ずっとペンは止まったまま。(『何が出ても焦らない』と言い聞かせたが、さすがにパニックで大量の汗)

まずは大問1(ミクロ経済)を、丁寧に回答しよう、と思いグラフ、計算式、説明を記述。
さあ大問2はどうするか、、「とにかく白紙よりは回答欄埋めるしかない」そう開き直って、答案用紙を埋める作業。

『回答を止めて下さい』試験官からそう合図があり、ペンを置いて自分の答案を見渡す。「これは答練ではなく本試験だよな?こんな手応えのない答案を提出するのか….」と絶望感に襲われたことを覚えています。


試験二日目

2018年8月5日(日)
10:00~ 会計学
13:00~ 鑑定理論(論述①)

午前は会計学、事前に準備していた定義、概念の暗記のおかげで、なんとか大失敗なく乗り切った。

午後は、いよいよ山場となる鑑定理論。
大問1は、建物の個別的要因、物的確認にあたり内覧省略できる場合、証券化対象不動産の個別的要因の調査、、、、
大問2は、賃料に関する問題。基準・留意事項含め準備していた部分が出題されて安心した。
ただ、他の受験生もみんな漏れなく完璧に回答してくると思い、「書き負けないようにしないと、、」という別のプレッシャーに襲われた。


試験三日目

2018年8月6日(月)
10:00~ 鑑定理論(論述②)
13:00~ 鑑定理論(演習)

試験三日目、かなり疲労度も増してきていたが、
「今日一日乗り切れば開放される。」と思い踏ん張りをきかせた。

午前は鑑定理論。
大問3は、限定価格について基本概念、その具体例、事例に則しての問いだった。大問4は、収益還元法、事業用不動産が真正面から問われた。
昨日と同じく全受験生がしっかり書いてくると思い、漏れがないよう心がけた。

事件その2

そして、午後は鑑定理論(演習)
これで3日間で最後の試験だ、やっと終わる。(そう思っていたのは私だけじゃないはず)

演習科目は、割と得意な受験生が多い反面、私は若干の苦手意識を持っており、本試験では以下の目標を課していた。
・最初の記述形式に時間を取られない
・土地建物一体の価格算出(前半部分)までは計算ミスに細心の注意を
・とにかく完走(最後の問いまで回答)を目標に
 ∵最後まで配点があるはずだと思った

回答用紙が配られて、周りがざわついた。
「差額配分法….?利回り法….?」「え、まさか継続賃料?」
しかも空欄補充式の形式ではなく、自由記入式の回答用紙。
継続賃料は4手法、それぞれ試算賃料を出す。。ということは、かなり時間不足することが予想される。そのため、できる限り急いで処理しようとスタートした記憶です。

差額配分法について、一棟の建物及びその敷地の価格を出し、基礎価格から階層別効用比に基づく配分率によって対象不動産の基礎価格出して、期待利回り乗じて、必要諸経費加算して積算賃料を求めて、併せて賃貸事例比較法により比準賃料を出して(ここでの恐ろしいミスを後で発見する)、正常実質賃料求めて、、、
何とか差額配分法による試算賃料を算出。

そして、利回り法による試算賃料、スライド法による試算賃料、と何とか回答して、賃貸事例比較法による試算賃料へ。

賃貸事例一覧から賃貸事例比較法に使う継続賃料の事例を探しながら、事例選定のミスに気付く。差額配分法での正常実質賃料を求める際の賃貸事例比較法は、新規賃料の賃貸事例を使うべきなのに、継続賃料の事例を使ってしまっていた。(継続賃料の類型だから継続賃料の事例を….と舞い上がって引っ張られた)この時点で残り時間あと10分。一気に青ざめる。しかしこのまま諦めるわけにはいかない。

賃貸事例を差し替える修正をして、計算し直してできる限り訂正し(乱雑な訂正連発)、あとは試算賃料の調整を書き殴って、何とか最後まで回答できた。

試験終了と同時に、「やってしまった、、」という思い。
でも冷静になると「いや総合得点だからまだ分からないぞ」という思い。
そんな両思いが錯綜しながら、発表までの2か月半程度を過ごしました。


合格発表

2018年10月19日。運命の論文試験発表。
午前10時にドキドキの中、社内PCで確認。

8月の試験後は結果が不安で頭から離れることはなかったです。
正直不合格でもいいから、早く開放して欲しかった。
そして10月に入ってからは情緒不安定が続き、発表日の朝は重圧で生きた心地がしていなかった。

合格者番号に自分の受験番号を見つけたときは、手が震えて何が起きたのか本当に分からなかったです。

そして、昼休みに国交省の掲示板へ。

それから長い一日が過ぎて今になってやっと合格した実感が沸いてきたのす。
『頑張ってきて本当によかった』
心からそう思えた日でした。

試験当日の出来事は以上です
当日まで色々なことがありながら、おかけで論文試験を合格することができました。

試験答案公開

合格発表後、答案開示請求をし、自分の答案が戻ってきました。
成績は以下の通りです。

民法74/100
会計学67/100
経済学38/100
鑑定理論・演習213/300(内訳非開示)
合計点392/600 
※合格者117名中84位

不動産鑑定士に興味を持ってる方、不動産鑑定士を目指している方、そんな方々へ少しでも参考になればと、試験答案を公開させて頂きます。
(※本当に必要な方に見てもらいたいので、答案だけは有料にさせてもらいます)

決して優秀な合格者の答案ではないです。字も汚いし、おかしなことも沢山書いています。上位合格者の答案を目指した方がいいに決まってます。
ただ、試験当日色んなことがあり、色々やらかした答案でも合格できているよ、そんな合格者もいるってことも参考までに伝えたいです。(僕だけが持っているより、誰か役に立ててくれる人がいたらその方がずっといいので)
何かご質問等あれば、お気軽に連絡下さい。
※試験答案は最後に掲載します。

最後に

不動産鑑定士を目指すすべての方の努力が報われますよう、心から願っております。そしてたくさんの方々と一緒にこの不動産鑑定士業界を盛り上げていきたいです。
皆さまの試験突破を心から応援しております。

最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。

小澤


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