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7月1日(水)マーケット情報〜香港国家安全法執行と米経済回復基調〜

おはようございます。

昨日のNY市場は3指数とも上昇し続伸する形となった。VIXは-1.35%の30.43。議会下院の公聴会でFRBのパウエル議長は、経済が想定よりも早く回復すると述べ株価は好感。

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為替と金利です。

消費者信頼感指数が予想よりも上昇によりドル高、DXYは上昇するも97.4前後と小幅下落、ドル円は続伸し108円に迫る。米10年債利回りは3日ぶりに上昇し+3.3%拡大し0.66%。2-10年スロープは3.3bps拡大し50.9bps、10-30年スロープも0.6bps拡大し、ベアスティープ。

10年BEIは連日で上昇し、+0.9bpの1.34%。

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消費者信頼感指数:米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表する消費者信頼感指数とは、消費者に対するアンケート調査を基礎に消費者のマインドを指数化したもの。数値が上がることは、消費者の購買意欲の高まりから、景気向上とされ、ドルは買われやすくなる。


1面:香港国家安全法が施行 中国、統制強化 一国二制度の危機

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は30日、中国政府が香港の統制を強める「香港国家安全維持法」に署名し、公布した。香港政府は同日午後11時(日本時間7月1日午前0時)施行した。香港は高度な自治を認められた「一国二制度」が崩壊しかねない歴史的な節目を迎えた。(関連記事総合1、総合2面に)

中国政府は新法に基づき、香港に治安維持機関の「国家安全維持公署」を新設し、国家安全に関わる情報の収集・分析や犯罪事件の処理を扱う。

同公署は「特定の状況」のもとで、国家の安全に危害を加える「ごく少数の犯罪に管轄権を行使する」とした。(1)外国勢力が介入し事態が複雑になった場合(2)香港政府が同法を執行できなくなるケース(3)国家の安全が脅かされていると判断した場合――を挙げた。

香港政府は行政長官をトップとする「国家安全維持委員会」を新設する。中国政府が監督し、顧問を派遣して関与する。

香港は外国籍の裁判官が多く「司法の独立」を担保してきたが、今後は国家安全にからむ事件を審理する裁判官は行政長官が指名する。外国籍の裁判官が排除され、判決が常に中国寄りになる懸念がある。

香港のほかの法律と矛盾する場合は国家安全法の規定を優先し、法律の解釈権は全人代常務委が持つと明記した。香港の憲法に相当する「香港基本法」の付属文書に例外として追加し、香港立法会(議会)の審議を経ないで施行した。

いずれも中国政府による統制を強め、香港の国際都市としての繁栄を支えてきた一国二制度を揺るがす内容だ。

7月1日の返還記念日には毎年、民主化を求める大規模なデモが起きている。7月18日には9月の立法会選挙に向けて立候補の届け出も始まる。習指導部が国際社会の反対を押し切って法制定を急いだのは、香港の抗議活動や民主派の選挙運動を抑え込む狙いがありそうだ。

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総合2:対中国、問われる結束 香港国家安全法 米、追加制裁の構え 日欧と温度差

米国が29日決めたのは香港へ軍民両用技術を輸出する際の優遇措置の撤回だ。今後は中国本土への輸出と同様の制限を課す。香港の自治の侵害に関与した中国共産党員へのビザ(査証)規制もすでに打ち出している。

米国の追加制裁の選択肢の中で最も香港にとって影響が大きいのが、香港ドルと米ドルの自由な交換の制限だ。香港ドルは値動きが米ドルに連動する「ペッグ制」を採用している。仮に米国が制限に踏み切れば、香港経済への影響は計り知れない。同時に香港に進出する米国の金融機関も被害を受けることになる。

金融分野では、米国の株式市場に上場する中国企業への投資を制限する法案や、香港の自治の侵害に関わった人物と取引関係のある海外の金融機関にも制裁を科す法案なども米議会で審議中だ。中国企業の資本調達や香港に進出する外資系企業の運営に幅広く影響する可能性を秘める。


金融経済:貸倒引当金、世界で2.3倍 国際決済銀が報告書 1~3月、9.6兆円 コロナで不良債権化警戒

コロナ危機で銀行の不良債権処理への警戒が強まっている。国際決済銀行(BIS)が30日公表した年次経済報告書によると、各国の銀行が1~3月に計上した貸倒引当金は約900億ドル(約9.6兆円)で前期の2.3倍だった。急速に広がった危機への対応を迫られたためだが、BISでは支払い能力が低下しないか注視する方針だ。

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報告書によると、将来の不良債権処理に備えた1~3月の貸倒引当金の計上額は、米国が2019年10~12月の4倍、欧州が2倍に膨らんだ。戦後最悪とされる経済の落ち込みを前に、銀行が不良債権の増加に身構えている姿が浮かぶ。

もちろん、08年の金融危機後の規制改革で銀行は自己資本を厚くし、手元資金にもある程度の余裕がある。足元で銀行の融資は増えており、今のところ「危機を増幅ではなく吸収」(報告書)する役割を果たしている。

シン氏は銀行が配当を中止して資本を厚くすることが「銀行部門を支払い不能から守ることにつながる」と述べた。同様の措置を求める米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などと足並みをそろえた。

BIS報告書ではコロナ危機の前面に立った中央銀行についても分析した。シン氏は中央銀行が民間資産購入やドル資金供給などで「金融の安定の維持に極めて重要な役割を果たした」と評価するが、報告書では「いくつかの中央銀行がかつてのレッドラインを越えた」と警鐘を鳴らした。

シン氏によると、中央銀行が市場機能を守るために大胆な措置をとることは排除すべきではない。ただ、金融政策が財政に振り回される「財政支配」に陥らないように線引きすることが重要で、異例の措置はあくまで「一時的でなければならない」と強調した。

国債の発行額に占める中央銀行の保有割合は、日本が約5割。米国やユーロ圏も3割に近づく。中央銀行の資産の国内総生産(GDP)比も上昇に歯止めが掛からず、財政赤字の穴埋めにつながるとの懸念がくすぶる。

シン氏は世界全体のGDPが19年末の水準に回復するのは21年末以降とした。コロナ危機で需要が落ち込めば物価も上がりにくくなり「低インフレの継続」(同氏)に陥るリスクが高いという。世界中が低成長・低インフレの「日本化」に陥る恐れも消えない。シン氏は「生産性次第。我々が直面しているリスクの一つだ」と語った。


マーケット総合2:マネー、原油・米国株に
4~6月、経済再開でリスク志向 感染再拡大「逆回転」も

2020年4~6月期は、世界の金融市場の中でも原油や米国株などに資金が集まった。各国の大規模な政策出動に加え、各地域で経済活動が再開したため、投資家がリスクを取る姿勢を強めた。新型コロナウイルスの流行を警戒して春先に流出した投資マネーが徐々に戻った。

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米連邦準備理事会(FRB)は3月以降、利下げや社債市場への流動性供給などを打ち出した。日銀も上場投資信託(ETF)の買い入れを増やした。こうした動きは「今後しばらく続く」(国内運用会社)との見方が多く、投資家の「リスクオン」の動きにつながっている。

すでに海外投資家には現金を金融資産に戻す動きが出ている。3月に相場が乱高下した際には、手元に現金を確保しようと幅広い資産が売られた。資金の退避先となる米MMF(マネー・マーケット・ファンド)は5月末に約4兆8000億ドルまで積み上がったが、直近では減少に転じている。

一方で安全資産とされる金も買われている。東京商品取引所の先物価格は30日、およそ1カ月半ぶりに最高値を更新した。商品情報会社マーケットエッジの小菅努代表は「株高の持続力を疑う投資家が多く、株価急落に備えた保険として金のニーズが高まっている」と話す。

もっとも、投資家は新型コロナの感染が再び広がることに警戒を続けている。米国では再び経済活動を一時停止する州も出ている。リスクマネーが再度、逆回転する場面もありそうだ。










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