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6月17日(水)マーケット情報〜株価牽引役の金融・財政政策と下押し懸念〜

おはようございます。

昨日のNY市場は、前日の市場取引後トランプ大統領による1兆ドル規模のインフラ投資(1)の発言から大幅高となった。市場の寄り付き後、5月米小売売上高の予想を大きく上回る17.7%(前月比)の発表(2)から上昇となったが、一転新型コロナ感染拡大の悪材料(3)から大きく下げた、そのあとは株価は底堅く堅調に推移した。

マーケットに大きに影響を与えなかったが、地政学リスク(4)も昨日は顕在化した。

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(1)1兆ドル規模のインフラ投資

The Trump administration is preparing a nearly $1 trillion infrastructure proposal as part of its push to spur the world’s largest economy back to life, according to people familiar with the plan.

+Fedの社債買い入れ増額も好材料

Federal Reserve Board announces updates to Secondary Market Corporate Credit Facility (SMCCF), which will begin buying a broad and diversified portfolio of corporate bonds to support market liquidity and the availability of credit for large employers


(2)小売売上高

百貨店やスーパー等の小売・サービス業の月間売上高について、サンプル調査をベースにした景気関連の経済指標。PPPや失業保険継続受給件数など家計に対する財政政策により4月の貯蓄率が消費に流れたと形だ。

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(3)米中のコロナ感染拡大

輸入サーモン、北京の新型コロナ再流行で市民敬遠

北京では新たに100人以上の感染が確認された。この感染源となった市内最大の野菜卸売市場である新発地卸売市場の責任者は、輸入サーモンの販売業者が使用していたまな板からウイルスが検出され、今回の感染が始まったと主張した。

米フロリダ感染者増加率上昇


(4)地政学リスクの顕在化

北朝鮮-韓国(北側が批判ビラに報復措置)

インド-中国


為替と債券です。

ドル円はレンジ相場が続いているが、米金利は株の続伸から国債からマネーが流れ、利回りが上昇している。昨日NY時間では、コロナ感染拡大の悪材料などから一時下げたが、6:45現在再度戻し、76.bpsで推移している。

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IMFさらに下方修正


それでは、これまであった国内外のニュースを振り返ります。

まずは日経新聞からです。


総合2:日米欧、安保にきしみ 地上イージス計画停止 日本、ミサイル防衛に穴

日米欧の安全保障体制にきしみが生じている。日本は米国から調達する地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」計画の停止を決め、秋には在日米軍の駐留経費の交渉が本格化する。韓国やドイツでも駐留米軍をめぐる摩擦がある。北朝鮮や中国、ロシアに隙を与えかねない。

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日本のミサイル防衛は海上のイージス艦、地上の地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の2段階で迎撃する体制だ。北朝鮮の核・ミサイル開発などを受け2017年にはイージス・アショアを2基導入して3段構えにすると決めた。

計画の停止で3段構えに穴があく。河野太郎防衛相が代替策としてイージス艦で防衛すると説明したことについて、小野寺五典元防衛相は「北朝鮮にイージス艦が対応すれば南西諸島に穴があく。どういう体制をとるか説明しないと日本の防衛は不安だ」と強調した。


総合2:東京の抗体保有0.1% 欧米より低く 第2波へ警戒

厚生労働省による新型コロナウイルスの初の大規模な抗体検査の結果が16日、公表された。過去に感染したことを示す抗体保有率は東京0.1%、大阪0.17%、宮城0.03%で、欧米の報告より低い。多くの人が免疫を獲得し感染が終息に向かう「集団免疫」まで時間がかかると見込まれ、感染が再び広がる「第2波」への警戒が必要だ。

一方、大規模流行が起きた海外では高い数字が出ている。スウェーデンのストックホルムは7.3%、英ロンドンは17.5%、米ニューヨーク市は19.9%だった。検査手法が異なり単純比較はできないが、日本は欧米の都市ほど感染が広がらなかったと考えられる。

抗体保有率が低いと、第2波も大きい恐れがある。集団免疫では感染し免疫をつけた人が人口の6割になることが目安とされるが、それからはほど遠い。飛沫や接触などの対策を怠らないことが大切だ。国際医療福祉大学の和田耕治教授は「取るべき対策は変わらない」と話す。


経済:日銀、コロナ長期化へ警戒
緩和策維持、効果見極め 資金繰り支援拡充も

日銀は16日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和政策の維持を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大への追加策はいったん温存し、5月までに決めた政策の効果を見極める。黒田東彦総裁は「景気は極めて厳しい状態にある」とし、必要に応じ資金繰り支援を拡充する意向を示した。長期戦に備え「次の一手」を慎重に探る。

「感触から言うと相当効果がある。貸し出しが増えている」。黒田総裁は会合後に開いた記者会見で、企業の資金繰り支援策に自信を示した。

日銀によると、全国の銀行と信用金庫の5月の貸出平均残高は前年同月比4.8%増と過去最高の伸びを記録。資金繰り支援の一環で購入枠を計20兆円に拡充したコマーシャルペーパー(CP)と社債も一時の金利上昇は一服した。

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日銀は3月以降、臨時会合を含めて3会合連続で対策を打ち出した。今回、現状維持を決めたのは最重要と位置づける資金繰り支援や市場の安定策が効いているとの判断からだ。

日銀は(1)企業の資金繰り支援(2)市場安定のための円・外貨供給(3)上場投資信託(ETF)買い入れ――を新型コロナに対応する3本柱とする。企業の資金繰り支援策は日銀が金融機関にゼロ金利で貸し出し原資を供給する。実際に貸し出した分は金融機関の日銀当座預金に0.1%の利息を付ける「奨励金」も導入し、融資を後押しする。

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追加緩和の基本線は3本柱である資金繰り支援やETF買い入れなどの増額だ。加えて、黒田総裁は「新しい方策が必要になる可能性もある」とも述べた。

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市場で取り沙汰されるのが、米国で実施されているような政府と中銀の連携によるリスク資産への投融資だ。FRBが15日にはじめた中堅・中小企業向け融資は最大6千億ドルの資金枠を設け、民間銀行が融資した債権の95%を政府とFRBが設立するSPV(特別目的事業体)が買い取る。損失リスクをFRBが抱えかねない仕組みだ。

日銀は今のところ、こうしたリスクを取ることに消極的だ。中銀の財務が毀損すれば、通貨の信認にも響く恐れがあるためだ。日本は政府系金融機関が手厚く、中小企業支援や資本性資金の注入などで政府と中銀の役割分担がなされている面もある。ただコロナ禍の影響がどこまで深刻になるかは読み切れず、新たな政策手段の準備を怠れない状況は続く。


金融経済:自治体取引、採算で選別 三菱UFJ銀、窓口の収納代行料上げ

金融インフラの維持を担う銀行はこれまで、公的サービスである自治体向けの取引を通常業務と切り離して考えてきた。このため赤字構造でも、収納代行業務は「地域で商売するためのエントリーチケット」(銀行関係者)と受け止めてきた。

超低金利の長期化に伴う収益環境の悪化で状況は一変した。過去からの慣例として残る「丼勘定」を許容できなくなっている。各行はコストや需要に応じて手数料体系の見直しを進めてきた。すでに両替や海外送金など個人や企業向けの手数料を引き上げており、自治体にも対象を広げる。

全国銀行協会が事務局を務める勉強会のアンケート調査では、税公金の収納代行が窓口業務に占める事務量の割合を1割以上と答えた金融機関が64%にのぼった。各行とも税公金など各種手続きを担う従来型店舗を減らす方針を掲げており、三菱UFJ銀に追随する動きは増える見通しだ。


マーケット総合1:株乱高下、解けぬ警戒感 「下げ耐性」強い銘柄物色

16日の東京株式市場で日経平均株価は前日とは一転し、大幅反発で終えた。米当局が打ち出した金融・財政政策を好感。中長期の投資家の買いも相場を押し上げた。もっとも市場では変動率の大きさへの懸念も根強い。方向感が目まぐるしく変わるだけに、新型コロナウイルスの感染拡大などを端緒とする急落に備える動きも活発化している。

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買いを入れる半面、オプション市場をみると多くの投資家は警戒感を強めているのが分かる。米シカゴ・オプション取引所が算出するスキュー指数。ブラックスワン指数とも呼ばれ、極端な株安に対する「保険」を買うなどすると上昇するが、この指数が137と、コロナ禍で相場が乱高下する前の2月中旬の水準まで高まっている。指数はダウが1800ドル下げた11日から上昇基調を強める。

日本でも日経平均で2万円や1万9000円のプット(売る権利)の未決済残高が積み上がっている。日経平均の先々の予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は大小を判断する目安とされる30を3日連続で上回った。国内運用会社のトレーダーは「相場が大きく動きやすく、売り買いを手掛けにくい」とこぼす。


マーケット総合2:経済回復遅く高値望めず どうなる年内の日本株 座談会

「経済回復がV字かL字かという議論があるが、VとLの間だろう。コロナ前の経済活動の水準に戻るには、22年度いっぱいはかかる。家計や企業の意識は守りに入っており、なかなか解消されない」

「民主党の大統領が誕生する可能性は十分にある。一方、トランプ大統領には減税を基に金融・経済をサポートした実績があり、市場参加者にはトランプ氏が金融市場にポジティブとの直観的な感覚がある。政権が代わるとまずネガティブな反応が出てくるだろう」

年内の日本の株価見通しは。

池田氏「日本株は日銀の上場投資信託(ETF)買いが支えてきたが、2万2000円台は出来過ぎだ。コロナ・ショックがなかったレベルに戻るのは簡単ではなく、年内の高値は2万4000円を大きく超えることはないだろう」

「20年4~6月期の決算が視野に入ると(業績悪化が再び意識され)株価が下がる可能性はある。ただし良い材料があれば買いたい人は多く、下値の目安はPBR(株価純資産倍率)で1.0倍付近の1万9000円を念頭に置いている。年末にかけては2万1000円程度まで戻るだろう」

新原氏「2万3000円を大きく超えるのは難しい。2年後の企業業績が重要だが、21年の収益ベースのPER(株価収益率)に換算するとコロナ禍以前の水準近くまで戻っている。今の株価は割高でも割安でもない」

「企業業績への影響を考えると(輸出銘柄などの収益を押し下げかねない)円高リスクが以前より高い。国内金融機関の外債投資減少や原油安を受けての貿易収支の黒字化などで海外に出るお金の流れが細くなる」


続いてBloombergからです。

Things You Need to Know

Beijing municipality shut its schools and canceled 40% of outbound flights today on concern about new infections. The capital lifted its emergency response to level two, saying that people will have to be tested for the virus before being allowed to leave the city. China also started testing all shipments of imported meat after a fresh outbreak was linked to a wholesale seafood and meat market in the city.

China and India blamed each other for their worst border clash in more than four decades. New Delhi said the Chinese side had unilaterally changed the status quo, while Beijing asserted that the Indian military had crossed the actual border control line. Both countries also called for a return to dialogue to resolve the dispute. The violence on Monday caused casualties for both, including the deaths of at least 20 Indian soldiers.

As expected, Jerome Powell was restrained in his assessment of recent positive economic data, saying there's still "significant uncertainty" about the timing and strength of the recovery. The Fed chairman told a Senate committee that the U.S. economy might be starting to see a period of improvement in employment, but it'll likely leave the labor market "well short" of the robust levels seen just before the pandemic.

HSBC defended its backing of China's proposed security law in Hong Kong. Seeking to reassure clients and staff, co-head of global banking and markets Greg Guyett said in an internal memo that he has addressed concerns by pointing to the bank's role as a bridge. "China and the West will continue to have deep economic and trade relationships—and Hong Kong will remain an important conduit given its robust markets and business framework," he said.


Chart of the Day

Hong Kong's unemployment rate rose for an eighth straight month to the highest level in 15 years. The city's jobless rate climbed to 5.9% for the March-to-May period, worse than the 5.5% median forecast among economists surveyed by Bloomberg. This comes despite recent indicators hinting at signs of a brighter economic outlook for the city, albeit while still showing a contraction.

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What to Keep an Eye On

North Korea doesn't have to go to war to add pressure on the South after blowing up a liaison office. Pyongyang could destroy Hyundai-built resort facilities, move soldiers back into the DMZ, refuse a joint march at the Olympics, deploy missiles, or even stage an armed attack. Seoul expressed regret over Tuesday's demolition, saying it will respond forcefully to future provocations.

Global oil demand will take at least until 2022 to fully recover after contracting this year and next, the IEA said, and added the market will slip into deficit next year and stockpiles will diminish rapidly in the second half. The U.S. may suffer the deepest supply losses over 2020-21, with output expected to fall by 900,000 barrels a day this year and another 280,000 a day in 2021.

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Apple faces two EU antitrust investigations. One will look at terms and conditions for Apple Pay and how it curbs access to NFC for tap and go payments. The App store probe will examine mandatory use of the in-app purchase system and curbs on info about cheaper alternatives. Spotify and an e-book distributor have complained about the impact on music streaming and e-books.

Virus update: A cheap and widely available anti-inflammatory drug called dexamethasone can help save the lives of patients who are seriously ill, a trial led by a team from Oxford University showed. The outbreak appeared to worsen in some U.S. states, with Florida reporting that new cases rose to the highest level since the pandemic began and Texas experiencing a surge in hospitalizations. Still, Apple is reopening 75 more stores across the U.S., including those in New York City.


終わりに、

今日発表の注目経済指標

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