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6月19日(金)マーケット情報〜協調問われる欧州議会と英FTA〜

おはようございます。

昨日のNY市場は、経済再開への期待感とコロナ感染拡大の鬩ぎ合いが続きレンジ相場となった。金利の低下により、IT株が買われる形となりナスダックは小幅に続伸した。

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為替と金利です。

米長期金利は連日で低下し-3.0bpsの0.71%で推移。DXYは3日続伸し97.45、ドル円は新規失業保険申請件数の予想値に対する上振れにより、一時106.6円台まで急落したがその後は戻し107円前後で推移。

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フィラデルフィア連銀製造業景気指数
フィラデルフィア連銀製造業景気指数は、フィラデルフィア地区(ペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウエア州)の製造業の景況感や経済活動を示す景気関連の経済指標。米国の製造業関連指標については、毎月15日のニューヨーク連銀製造業景気指数で方向性を予測し、毎月第3木曜日のフィラデルフィア連銀製造業景気指数でコンセンサスを形成、そして翌月第1営業日のISM指数で実際の数値を確認するといわれている。

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景気先行指標総合指数
米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表する景気先行指標総合指数とは、労働、企業業績、株価指数、マネーサプライなど景気に先行して動くと考えられる10項目の指標から算出したもの。

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今夜からEUでは、欧州議会が開催され市場参加者の大きな注目を浴びている。争点はコロナ基金(共同債)の審議と、年末にブレクジットを予定している英国とのFTA協議だろう。

コロナ基金に関しては、腰の重いドイツが前向きに先導役をになっているが、F4とよばれるオランダなどを筆頭とした倹約国の反発が強い、また東欧との足並みを揃えるところにも課題が多い。マーケットには成立が見送られると、折込済みだ。

英国とのFTA協議においては、18日仏マクロン大統領が英ジョンソン首相を訪問し意見交換しており、それを代弁するのではないか。英ジョンソン首相の支持率はコロナ対応で低迷しており、強気の姿勢をとらざるおえないと考えられている。今秋中の成立を念頭に互いの譲歩が必要だ。

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また、英国の中央銀行であるBOEは金融政策を発表し、資産購入額を7,450億ポンドまで増額し、政策金利を過去最低の0.1%を据え置いた。量的緩和を維持した形となる。

Bank Rate maintained at 0.1% - June 2020
Our MPC voted unanimously to maintain Bank Rate at 0.1% and to continue with the existing programme of £200 billion of UK government bond and sterling non-financial investment-grade corporate bond purchases, financed by the issuance of central bank reserves. The Committee voted by a majority of 8-1 to increase the target stock of purchased UK government bonds, financed by the issuance of central bank reserves, by an additional £100 billion, to take the total stock of asset purchases to £745 billion.


それでは、これまであった国内外のニュースを振り返ります。

まずは日経新聞からです。


総合2:中国、「香港国家安全法」審議入り 日米欧の制止応じず G7、試される結束

中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)は18日に常務委員会を開き、香港で反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の審議に入った。主要7カ国(G7)が17日に「重大な懸念」を示す共同声明を発表するなか、習近平(シー・ジンピン)指導部が強行突破する構えをみせた。G7の結束が問われている。

米国ではさらに同日、トランプ大統領が署名し、ウイグル人権法も成立した。中国の新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族への弾圧に関わった中国の当局者への制裁に道を開く内容だ。

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常務委は20日まで3日間の予定だ。中国国営の新華社によると法案は国家分裂や政権の転覆、テロ活動、外国勢力が国家の安全に危害を与える場合など4つの犯罪行為に分類し、刑事責任を問う。通常の法案は常務委での2~3回の審議を経て成立する。香港メディアは9月の立法会(議会)選挙前の7月上旬にも施行される見通しだと報じた。

ウイグル人権法の成立について中国外務省は18日、「乱暴に中国の内政に干渉するものだ」との声明で米国側へ猛反発。声明は通常使用する報道官談話よりも格上の外交メッセージだ。


経済:コロナ補正予算、選別甘く
既存事業の「衣替え」顕著 迅速執行・効果見極め課題

政府は新型コロナウイルス対策として2度編成した2020年度補正予算を順次執行する。1月に成立した19年度補正予算に計上した既存事業をコロナ対策として衣替えした例が目立つ。補正予算の成立を急ぐあまり、事業の選別が甘くなりやすい。

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金融経済:SOMPO、データで稼ぐ 米パランティアに540億円出資 保険・介護分析 収益源に

SOMPOホールディングスはデータ解析大手の米パランティア・テクノロジーズ(カリフォルニア州)に5億ドル(約540億円)出資することを決めた。保険や介護で得たデータを分析し、安全な交通サービスの開発や介護の現場の作業効率向上につなげる。両社はすでに共同出資会社を設立しているが、巨額の出資でデータを生かした事業化を急ぐ。

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ネット空間から生じるバーチャルデータではGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)などの米巨大IT(情報技術)企業が絶大な力を持つ。これに対し、個人の活動や製品の稼働状況などを収集するリアルデータへの注目が近年は高まっている。

SOMPOは自動車の走行情報や企業の工場の様子、健康状態など、リアルデータの主戦場となる分野を得意としている。このデータを燃料に、パランティアの解析技術をエンジンとして動かすことで、外販も可能な知見を取り出し、新たな収益の柱に育てることができるとみている。


国際:ボルトン氏暴露本 「トランプ氏、国益より再選」
習氏に選挙支援要請?「香港デモ関わりたくない」

ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)は近く出版する本でトランプ大統領が中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席らと交わした会話を暴露し、国益より再選を優先していると批判した。米紙によると、中国への選挙支援の要請やトルコの問題を巡って司法介入を示唆する発言をしており、11月の大統領選の火種になりかねない。

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マーケット総合1:石油株に迫る減損の波 ESG対応遅れも逆風

株式相場全体がコロナショックから回復局面をたどってきたなか、石油関連株の値動きがさえない。欧米メジャーがエネルギー需要の長期的な減少見込みから大型の減損損失の計上に動いており、市場では日本勢にも近く同様の波が訪れるとの警戒感が強い。ESG(環境・社会・企業統治)の観点から投資マネーの流出リスクも付きまとう。

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業種別日経平均の「石油」「鉱業」を構成する17社の減損額をみると、20年3月期が約1300億円で「チャイナ・ショック」による原油急落があった16年3月期の3割にとどまる。国際石開帝石などは今後の減損の可能性をアナウンスしているが、具体的な金額には踏み込んでいない。一方で欧米メジャー株は「あく抜け」もあり戻り歩調だ。

コロナ禍によるESG投資への注目の高まりも日本の石油関連株に逆風だ。1.1兆ドルの運用資産を誇る米大手金融サービスのTIAA系ファンドは、日本の石油資源開発株を売却したとみられる。全米の教職員年金を運用し、ESGへの関心もひときわ高い。

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マーケット総合2:新興株堅調、個人けん引 マザーズ指数、年初来高値に迫る

新興企業の株価が底堅さをみせ、東証マザーズ指数は年初来高値に迫っている。4月以降の相場の回復局面で買った個人投資家はなお意欲的だ。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の「第2波」が警戒されるなか、輸出企業が多い大型株より国内事業が中心のITサービスなどの新興株に物色の矛先が向かっている。

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5月末と比べればマザーズ指数は5%上昇した。日経平均の2.2%高よりも上昇幅が大きい。ジャスダック平均は1.8%高と日経平均にやや及ばなかったが、一定の買いは入っている。

背景にあるのは個人投資家の旺盛な投資余力だ。

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松井証券の信用取引で買った株式の含み損益の度合いを示す信用評価損益率は18日時点でマイナス7%と、3月中旬のマイナス30%超から大きく改善している。一般的にマイナス幅が5%より小さくなると相場に過熱感があるとされ、足元はその水準に近づいている。

これと辻つまがあうように東京証券取引所が18日発表した6月第2週の投資部門別売買動向によると、マザーズ市場での個人による信用取引の買越額は156億円に拡大。2019年12月以来、約6カ月ぶりの規模だ。

マザーズ市場の5月末に対する18日終値の上昇率ランキングをみると、国内事業が中心のITサービス企業が目立っている。

ネット証券大手5社で5月に日本株を取引した人数は138万人とコロナ禍前の1月に比べて13%増えた。5月の新規口座開設数も前月比8%増の約20万口座と好調で、個人投資家の厚みが増している。

もっとも新興株については「高値警戒感から気迷いが生じ、買いの手が鈍っている投資家もいる」(auカブコム証券の小松圭一リテール営業部長)との声も聞かれる。信用評価損益率のマイナス幅が一段と狭まり意識されるようだと、新興株の利益確定売りが進む可能性もある。


マーケット総合2:株主資本主義からESG優先へ

株主資本主義は1980年代、金融自由化、グローバル化を主導した米英で、年金基金、保険会社などの機関投資家が力をつけ、企業利益の株主への還元を強く求めたことに始まる。主な具体策には、株主配当や1株当たりの価値を高め、株価上昇をもたらす自社株買いがある。昨年9月末までの1年間で米主要500社による自社株買いは7700億ドル(約83兆円)にのぼった。国内の個人や機関投資家が売り越す中で、自社株買いが、今年2月に米株を史上最高値に押し上げた。

昨年8月、米主要企業の経営者で構成するビジネス・ラウンドテーブルは、株主資本主義への決別とともに、すべてのステークホルダー(利害関係者)の重視や脱炭素社会を目指す、ESG(環境、社会、統治)主義への歴史的転換を宣言した。

日本では、古くからビジネスは利益のみを追求せず、世のため、人のために奉仕すべきだとするESG主義に近い考え方がある。明治の実業家、渋沢栄一はこれを「士魂商才」と表した。江戸時代の近江商人の商売原理、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」は、現在も多くの経営者が指針としている。ESG主義は、企業の基本理念として、株主資本主義に代わり、世界に広まろう。

投資分野では06年に国連がESGを指針とする責任投資原則を提唱した。日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など世界の2400の年金、運用機関が参加している。18年の世界のESG投資残高は31兆ドル(約3400兆円)に及ぶ。だがESG投資には問題もある。銘柄選定でESGへの貢献度を重視するため、短期的なリターンは小さくなることがあり、短期志向の投資に不向きだ。

コロナ禍で日本はデジタル化の遅れが露呈し、今後は世界の企業の間でデジタル化の競争は激化しよう。だが、業績を大きく変革するデジタル化への対応力は、ESG投資のうえでは反映されない。投資家は今後、投資目的によってはESGと異なる指針が必要となるだろう。


マーケット総合2:国債、2週連続売り越し 海外勢、経済の回復期待で

海外勢の国債売りが続いている。財務省が18日発表した7~13日の対内証券投資の統計によると、国債を中心とする日本の債券(中長期債)の海外勢の売越額は4843億円だった。売り越しは2週連続。世界的な経済活動の再開を受けた景気回復への期待が高まり、安全資産とされる国債が売られやすくなっている。

海外勢による取得額は1兆4777億円、償還や売却などの処分額は1兆9621億円だった。売越額は前の週(7388億円)からは縮小した。

5日に発表された米雇用統計が事前の市場予想を上回ったほか、日米両政府の経済対策への期待も根強く、日米双方で株価が上昇。外国人投資家の間でリスクを取る動きが広まり、国債売りが先行した。一方、米連邦準備理事会(FRB)は10日、新型コロナウイルスからの米経済の本格回復に時間がかかるとの見方を強調した。株価の大幅下落につながり、国債を買う動きも出た。

とはいえ、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは6月に入って上昇(債券価格は下落)し、足元でもプラス圏を確保している。新型コロナの感染が世界的に拡大しマイナス圏が定着していた4月下旬から5月に比べると、投資家の国債需要は乏しい。


続いて、Bloombergからです。

Things You Need to Know

Stocks face a "lost decade." Ray Dalio's Bridgewater warned that a reversal of the strong growth seen over the years in U.S. corporate profit margins, which have provided a big chunk of the excess return of equities over cash, could lead to a shift beyond the current cyclical downturn in earnings. "Globalization, perhaps the largest driver of developed world profitability over the past few decades, has already peaked," the firm's analysts said. They cited U.S.-China conflict and the pandemic as catalysts, and a focus on reliability as opposed to just cost optimization.

Oil rallied as Iraq told OPEC+ that it will fully implement its output cuts this month and agreed on compensation for its missing quote. The country fell short of the target by 573,000 barrels a day in May, but agreed to go 57,000 barrels below its quota in July, and 258,000 lower in August and September, delegates said. All members reaffirmed pledges to implement 100% of their reductions. The Joint Ministerial Monitoring Committee didn't discuss extensions to cuts and will hold its next meeting on July 15.

U.S. Initial jobless claims only narrowly fell last week, coming in at 1.51 million, versus a revised 1.57 million the week before. Consensus was for a decline to 1.29 million. Continuing claims, reflecting longer-term unemployment, were almost unchanged at 20.5 million compared with a revised 20.6 million, also missing estimates for a bigger drop. New applications have exceeded a once-unthinkable 1 million on a weekly basis since mid-March.

The BOE voted 8-1 to raise its bond-buying program by 100 billion pounds, in line with estimates. Officials also kept rates unchanged in a unanimous decision. Second-quarter GDP may fall less than thought and recent data suggest the recovery in the U.K. started in May. The bank said further action may be needed. The BOE didn't discuss negative rates.

Bad cop, good cop. President Trump tweeted the U.S. could pursue a "complete decoupling from China" in response to unspecified conditions, his most forceful statement yet on ties. Trade Representative Robert Lighthizer had said earlier Thursday that a full severing was not "a reasonable policy option." Both of those comments came on the heels of Secretary of State Mike Pompeo saying that Beijing had recommitted to the first-phase trade pact at a meeting in Hawaii on Wednesday.


Chart of the Day

Japanese core CPI probably fell again in May, with consensus for a 0.1% drop from a year earlier, compared with -0.2% in April. Expect a further slide in June, with upward price pressures on hold pending a stronger economic rebound, Bloomberg Economics said. Headline inflation may have picked up to 0.2% last month from 0.1%, according to a survey.

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本日8:30発表予定

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What to Keep an Eye On

The ECB reached another trillion-euro milestone in its fight to bolster economies. Offers for its ultra-cheap, three-year TLTRO loans were taken up by 742 banks for a total of 1.31 trillion euros, in line with consensus. Three-month Euribor's premium over swaps—a proxy for funding stress—stayed 2.5 bps higher at 10 bps. Isabel Schnabel, in charge of ECB market operations, said the operation will add a net 548.5 billion euros in liquidity.


Opinion

Though the BOE has increased its pandemic bond buying, it's reducing the pace of interventions as the economic outlook brightens, Marcus Ashworth writes for Bloomberg Opinion. By cutting weekly buying operations from three to two, it will nearly halve its average weekly bond purchases. The BOE would have increased the QE program if its responses weren't working. It's comforting that it didn't.

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今日発表の注目経済指標

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