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サプリメントって効果あるの?な話

「サプリメントって効果あるの?」

競技者なら誰しも一度は考えたことあるんじゃないだろうか。
過去の自分より強くなりたい、誰かに勝ちたい、表彰台に乗りたいetc
みんなそんな目標を持って日々厳しいトレーニングに打ち込んでいると思う。
かく言う自分もその一人。

特に今年に入ってからは仕事環境や家庭環境の変化によってトレーニング時間が減ってしまい、去年までみたいにがむしゃらにZwiftレースやりまくることが出来なくなってしまい、競技者としては辛い時期に入っている。

そうなるとより効率の良い、密度の高いトレーニングを求めるようになるけど、次第に生活そのものの質向上を考えるようになると思う。そして行き着く先は「金で速さを買えないか?」と考える。
今の自分は過去に摂取して来たもので出来ていると考えると、より栄養バランスの良い食事で成長出来ないかと考えるのは必然でしょう。「お金で買える速さ≒サプリメント」もその延長線の一つだと思う。

でもそもそもサプリメントって効果あるの?って思うよね。自分も思う。(もちろんドーピングに引っ掛かるようなものはダメ)
だから今回は日頃のトレーニングで「あるサプリメント」を使って効果を確かめてみた。
なお科学的な検証ではなく、あくまでも個人で出来るレベルの数値的&主観的レビューですので悪しからず。
ちなみに、特定のサプリメントのレビューになりますが、案件ではなく完全に自腹で興味本位だ。

グリコ パワープロダクション エキストラオキシアップ

今回試してみたのは「グリコ パワープロダクション エキストラオキシアップ」(以下EOU)。

Amazonだと120粒入りで3,600円くらい。
効果をザックリと説明すると、運動の前に飲んでおくと効率よく酸素を運動エネルギーに変換出来るようになる、らしい。
キツい運動をより長く、もしくはもう一段階上の領域で運動出来るようになる。かもしれない。
本当かいな。

運動持久力は様々な要素が絡み合って成り立っており、サプリメントによってそのどこにアプローチするかは違うけど、EOUはヘム鉄やビタミンB群、コエンザイムQ10、アスタキサンチンを配合し、「酸素の運搬」、「エネルギー変換」をサポートする(ネット情報)、だそう。

サプリメントの中には継続摂取によって効果が出てくるものも多い中、EOUは運動前に飲むと即効性があるとか。
パッケージには推奨の飲むタイミングは「運動前」と書かれている。規定量は4~6粒/日。仮に4粒摂取で30日分となる。

ネットで「エキストラオキシアップ 効果」と調べるとレビューはたくさん出てくるけど、どれも主観的強度の話(楽になったとか)で数値的なところまで踏み込んでいるものは見つからなかった。
しかし、気になるのはどちらかと言うと数値的にどう変化するのか、だと思う。

ということで、ここ数週間継続しているトレーニングメニューの前に摂取してみて、数値(心拍数、パワー値)や主観的なキツさ、疲労度が摂取していない時と変わるのか試してみた。

検証条件

行うメニューはvo2maxインターバル。
ワークはvo2maxパワー(FTP111~115%)を4分、3分レスト(パッシブレスト)を3セット。5分のレストを挟んでこれをもう一回。
ワークをこなす毎に心拍数の滞在領域が押し上がっていくメニュー。

▼メニュー詳細
10m ウォームアップ
4m vo2max
3m レスト
4m vo2max
3m レスト
4m vo2max
5m レスト
4m vo2max
3m レスト
4m vo2max
3m レスト
4m vo2max
9m クールダウン
Total 60m

現在伸び悩んでいる競技力向上を図って、vo2max向上を目的としたメニューを遂行中。
このメニューはvo2max滞在時間(vo2max90%運動強度心拍数かつvo2maxパワー)が10分程度確保出来る反面、5〜6ワーク目はとてもキツい。体調によっては完遂出来ないこともある。
そんなワークアウトの45分前に、EOUを規定量の4粒飲んで臨んでみた。

粒は大きめだが4粒なら一気に飲める。

比較データ

摂取有無による心拍数の違いをまとめたデータがこちら。
斜線箇所はターゲットラップ平均パワー(355~365w)を維持できなかったワークとそれ以降のワークを、比較データにならないため除外。
一番右端6月26日がEOUを摂取した回、それ以外は直近の摂取してない回のデータ。

見比べてみると、明らかに摂取した回はワーク中の心拍数の上がり方が鈍化していることが分かる。
ワーク開始から167bpm(vo2max90%運動強度心拍数)到達までの時間は長く、ワーク中の最高心拍数は低くなっている。
つまり、少ない心拍数(≒酸素摂取量)で同じ運動強度を行えていることになる。

さらに面白いのが、主観的運動強度(キツさ)も明らかに違うということ。
摂取していない時は最終セットに向けて漸増的にキツくなっていくけど、摂取した回はキツくなった最大値が摂取していないときの80〜90%くらいのキツさで頭打ちしてそのまま維持出来る感じだった。簡単に言うと「調子が良い」感覚。
そして6ワーク目が終わった時、摂取していない場合であればほぼオールアウトしているのに対し、摂取した場合は「もう1セットいけるかも?」と思えるような余裕すらある。

考察

この違いの要因として以下が考えられる。

1.ワークアウトへの適応
単純にワークアウトの数をこなすことによって、そのメニューに体が適応した、という可能性。
これについては、無いことはないと思うけど直前の6/24回では完遂出来ないどころか5ワーク目でギブアップしたことを考えると、ここまでの変化は考えづらい。

2.体調
ワークアウトへの適応(身体的成長)よりも圧倒的にアウトプットへの影響が大きいのが当日の体調だろう。ここで言う体調というのは、日常的な生活には支障がないがトレーニングには影響が出るような類のもの。

そもそもこのvo2maxインターバルメニューはかなりキツいもので、本調子と思えなければ実施していない。
また、当日朝の自転車通勤データやその主観的運動強度を考慮しても、特段この日が絶好調だったという感覚は持っていない。

3.EOUの効果
EOUの効果は主に「酸素の運搬とエネルギー変換をサポートする」ことらしい。
もしこれが事実であれば、呼吸により取り入れた酸素をより効率よくエネルギーに変換し、同じ心拍数でもより高いパワーをアウトプット出来る≒同じパワーであればより少ない心拍数で維持できる、と考えられそうである。

ワークアウト中、間違いなく生理的にvo2max領域に入っていて、かつ全ての回で比較できる3ワーク目(データ1-3)で見比べてみる。
各回/各ワークにおけるターゲットラップ平均パワーは355~365Wで多少ブレるにしても心拍数に大きな差がでるようなものではないはずだが、EOUを摂取した回はワーク開始心拍が著しく低く、167bpm到達までの時間が長く、最大心拍数が低い。
ちなみにワーク開始心拍数はワーク間レストの過ごし方で変わるが、EOU摂取回のみ強度を落としたりということはない。

数字で見てもEOUの効果らしきものはあり、主観的強度もEOUを摂取していない時と比べると明らかに楽に感じた(キツいけど)。

結論

データが少ないため、この比較検証のみで結論を出すのはいささか乱暴な気もすが、データ比較と主観的感覚からEOUに効果があるのかを判断するならば「効果はありそう」と思う。

120粒3,600円、1回あたり4粒120円でもし効果があるならば、私は安いと思う。また、もしプラシーボだとしても120円ならまぁ許せる。

さらに検証データを積むのであれば、EOU未接種データ、摂取データを増やすとともに、EOU摂取時のMMP(特に5分を超えるような時間の)がどのように変化するのかを見ると良いかもしれない。
やる気があったらやろうと思う。(キツいからあまりやりたくはない)
さらに欲を言えば、正確にvo2maxを測定しながらやってみたい。

新たな疑問

この比較データを取ってみて新たな疑問が生まれた。
そもそもこのvo2maxインターバルメニューは、vo2max滞在時間を長く取るために考えたもの。
※ここでいうvo2max滞在時間の定義は、vo2max90%運動強度心拍数(167bpm)以上かつvo2maxパワーを達成している時間の合計

もしEOUの効果によって心拍数が下がってしまうならば、必然的にvo2max滞在時間も短くなってしまう。
例えば6/19回では13分40秒のvo2max滞在時間だが、EOUを摂取した6/26回では半分以下のたった6分に減ってしまった。
これではトレーニング効果が半減してしまうではないか。

EOUによって酸素処理能力が向上するのであれば、実際の身体的なvo2max到達タイミングも変わってくる気がする。
もしそうであれば、EOU摂取状態でのランプテストによるFTP推定と最大心拍数を再測定し、ワーク中のターゲットパワーとvo2max90%運動強度心拍数を再設定しなければならないだろう。
・・・気が遠くなってきた。

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