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思い出野郎Aチームがめちゃ最高というはなしと、お笑いライブでの差別表現(プチ)炎上について。

はじめまして、まつばらと申します。中華が大好きで、インスタのストーリーで深夜に餃子の写真をあげて顰蹙を買うことがあります。普段はプランナー、ライターなどをしています。個人の文章なのでぐだぐだ書きます。暇な人は、ぜひお付き合いください。

思い出野郎Aチームとは。

突然ですが、思い出野郎Aチームというバンドを知っていますか? 多摩美術大学のジャズ研の先輩後輩で結成されたすてきな8人組のソウルバンドです。なんというか、いろいろなものを包み込む温かさが滲み出ている…。あと普通におしゃれ。デザイナーさんやイラストレーターさんとして活動しているメンバーもいて、グッズとかもかっこいい。とりあえず曲を聞いてください。MVもすてき。

「おっ気になるぞ?」という方、バンドの歩みを記した年表もあります。こちらもメンバーによる手作り。

今回のnoteはこの辺で…と言いたいところですが、これだとただの思い出野郎Aチームおすすめ野郎になってしまうので、もう少々お付き合いください。今日お話ししたかったのは、このすてきなバンドが主催するイベントでの出来事。

温かいイベントで感じた違和感。

いまから書くことを、今さらこのネタかよ…と思う方もいるかもしれませんが、わたしが書きたいから書きます。許して…。

思い出野郎Aチームは、以前から自主企画で「ウルトラソウルピクニック」というライブイベントを開催していて、毎回ゲストが豪華だったり、地方でワイワイしてたり最高なのですが、昨年の9月に入場料無料の「ウルトラ”フリー”ソウルピクニック」というものが開催されたんです。3rd ALBUM 『Share the Light』に収録されている「繋がったミュージック」のMVに出演しているハナコをはじめ、5組のお笑い芸人さんたちのライブも楽しめるというスペシャルなイベント…。まつばらも、「太っ腹すぎるぜ、Aチーム…」と思いながら遊びに行きました。

こちらは「撮影、していいよ〜」というトランペットボーカルである(トランペットボーカルってすごすぎないですか。この話もいつかしたい。)マコイチさんの優しい言葉から、手を伸ばして頑張って撮った写真です。左側の紺色の集団が思い出野郎Aチーム。

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そんなハッピーイベントの中で、お笑い芸人のAマッソさんがテニス選手の大阪なおみ選手の肌の色に言及するネタを披露したんですよね。もしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれません。そのコント自体は、「〇〇に必要なものは〜」という問いにすべて薬局に売っていそうな商品で返すという、ユニークでおもしろいもの。わたしも笑いながら見ていました。

テンポよく掛け合いが進む中で、ほんとうに10秒かそこらだったと思うのですが、「大阪なおみさんに必要なものは!」「漂白剤!」「あの子焼けすぎやねん」というシーンがあったんですよね。その部分だけすこし戸惑いの空気が流れていたような気がします。わたしも「あれ? これって笑っていいんだっけ?」「これは、傷つく人が出てしまう表現かもしれない」など頭の中をいろんな言葉が駆け巡ったけれど、その場では「はは…」という感じの苦笑いで流してしまいました。何事もなかったかのように次のネタがはじまって、次の芸人さんのライブへ。トリの思い出野郎Aチームのライブがはじまる頃には、もやもやした気持ちは心の奥の方に仕舞われていました。

リアルイベントが、ネットで炎上する様子を目の当たりにした。

なんとなく帰りの電車の中でTwitterを開き「Aマッソ 大阪なおみ」「Aマッソ 思い出野郎」などと検索すると、3ツイートほど「こんなすてきなイベントで差別的な発言を目の当たりにするなんて悲しい」といった悲しみの感情を吐露する投稿を目にしました。それがイベント終了から約1時間後のこと。

会場で彼らのコントを見ていたのは、おそらく200人弱。高齢の方も意外と多かったところを見ると(思い出野郎Aチームは老若男女から愛されています。幸。)Twitterのアクティブユーザーは、多くてもそのうち半数程度(たぶん)で、さらにそのコントに違和感を持ったユーザー(かつその感情を投稿するユーザー)はもっと少なくなるだろうけど、なんとなく気になって(あと、暇だったのもあったので)Twitterを開きっぱなしにして1日様子を見ていました。すると、あれよあれよという間にプチ炎上していったのです。(物語みたいな語り口調ですみません。)

最初は、主に思い出野郎Aチームのファンであるイベント参加者の「悲しかった」という3投稿。その後、参加者のそうした投稿を目にした、(イベントには参加していない)思い出野郎Aチームのファンによる「それってどういうことなの?!」という驚嘆(+怒り)と、(イベントには参加していない)Aマッソファンによる「それは本当なの?」「事実ならよくない」という真偽を問うコメントがちらほら。20投稿くらいだったような気がします。ファンであるバンド、芸人を自分ごと化して、「次からはこうしてほしいよね」「謝罪はしたほうがいいかも」など、割と建設的な意見が多め。ここまでは、強い口調でAマッソさんを蔑めるコメントは見受けられずでした。

そして、炎上。

問題はここから。イベント参加者(当事者)の投稿を目にしたそれぞれのファンによる、感想や意見の発信に反応したのは、いままでAマッソさんを知らなかったものの、この出来事をたまたま知った層。前後の脈絡は関係なしに「大阪なおみさんの、肌の色をネタにした」という出来事が一人歩きしだしました。「Aマッソは消えろ!」「Aマッソ最低」など鋭いトゲを刺すような批判コメントが無数に増加。

差別表現がなぜいけないのか、どうして起きてしまったのかについて議論する声は少なく、とにかく断罪してやる!!と息巻くような声。翌日になってもそうした投稿は増え続け、ついにAマッソさんが所属するワタナベエンターテインメントが、謝罪コメントを発表。同日に、思い出野郎Aチーム側からも、「イベントの主催者として差別表現を看過してしまったこと」への謝罪コメントが発表されました。

Aマッソさんの表現は確かに軽率だったけれど、聞くに耐えないような暴言を寄せる過激ユーザーの姿は、差別表現に対する批判というよりは、過ちを犯してしまった芸人の粗探し(&日頃の鬱憤をそれにかこつけてぶつけている)にしか見えませんでした。

その後も「差別という方が差別なのでは?」「ほかにも差別表現を多用している芸人がいるぞ!」といったさまざまな投稿が渦巻いていましたが、徐々にこの話題は薄れていきました。差別表現が生まれてしまう要因や、今後のお笑いにおける表現について、本質的に議論する動きはあまり見られませんでした。そしてまた新たな炎上のタネに人々は食らいついていき、それをただネットで追いかける自分、という不毛な日々が続く…

思い出野郎Aチームは、忘れていなかった。

みんなが(たぶん)忘れかけた頃、思い出野郎Aチームは昨年12月9日に、先ほどもご紹介した、3rdアルバム『Share the Light』のリリースツアーファイナルを迎えました。(ライブ日程が発表されるやいなや、速攻でチケットをゲット、参加しました。)

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そのライブの中盤で、マコイチさんが先の出来事について触れたんですよね。「世界にはまだまだ悲しいことがたくさんあって、それに目を背けずに挑み続けたい。温かい空間をつくり続けたい」のような、一言一句覚えている訳ではないのですが、「差別表現があったことにすぐ反応できなかったこと、バンドとしてそういう場をつくってしまったことが悔しかった」という言葉に続けて、「これからも平和な世界を、音楽の力でつくり続けるぞ!」 という意思表明をしてくれました。

思い出野郎Aチームの楽曲は「アホな友達」や「グダグダパーティ」といったタイトルからしてハッピー全開なものもあれば、シリアスなものもあります。例えば『Share the Light』に収録されている「それはかつてあって」はこんな歌詞。

10:0の加害者にかぎって
話を遮ってなかったことにしたがる
だけど誰もがもう知っている
クラウドは共有されてる
(中略)
目を瞑らずに祈って
耳を塞がずに声を聞く
路上に花を飾って
足を止めずに歩き続けろ

「アホな曲ばっかりつくっていたいけど、いまはたくさんある悲しいことに対して、カウンターを食らわせ続けなければいけない状況。なにも気にせずに、アホな曲ばっかりのアルバムをつくれる社会に、早くしていきたいぞ!」というコメントがひしひしと心に刺さる…。

悲しい現実に対して、自分ごと化せずにTwitterでやいのやいの言っている、顔の見えない人たちに対して、「僕らはこうあるべきだと思うし、そんな思いを行動の指針にしていく」ことを宣言できるアーティストってすごいと思う。思い出野郎Aチームのそんなかっこいい姿勢を目の当たりにして、わたしも小さいけれど行動しよう(noteを書こう)と思ったわけです。

まとめ(っぽいもの)

この(記念すべき第一回目の)noteでは、リアルイベントでの差別的な表現がデジタル上で(Twitterで)炎上したことについて、まとめようと思って書き始めたのですが、思い出野郎Aチーム最高! って話と、差別に対してどう向かっていくのか??? って話も混ざってしまい、当初の目的がぼやけてしまいました。思い出野郎Aチーム最高。

今回お話ししたかったこととしては、ある事象が炎上することで、その事象に対する視座が全体的に上がるかと言われればそうではないということ。今後もきっと今回のような炎上ってたくさん起こっていくけれど、うわべだけすくって吐き出すような投稿があふれていく、そこに対して具体的な行動を起こす人はきっと少ない。SNSって、自分の意見を発信できるツールに見えて、こと炎上事象においては投稿量は多くても、「自分の立場を明かした上で」建設的な考えを発信している人って少ない気がする。自分ごと化、自分ごと化って言い過ぎるのはあまり好きではないけれど、自分の発言に責任を持てる人が少ないからこそ、逆にそれをできる人の価値ってとても高いのではないでしょうか。

まとまりなく終わりそうですが、今後のnoteでも、自分の意見だったり考え方を大切にしながらも、他者に伝えていく努力をし続けている人や、社会課題に対して(さまざまな手段で)真剣に解決しようとしている人や取り組みについて言及していきたいです。で、いつかわたしもそんなすてきな行動を起こせるようになりたい。

長くなりましたが、今回はこの辺で。カバー画像は記事内容と特に関係ありません。最近のベストショット。それでは。

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