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「子どもがいじめられるから」を理由にしていいの? 選択的夫婦別姓について思うこと。

11月18日(水)の朝、Twitterを見ていたら「選択的夫婦別姓」に関するニュースがトレンドに上がっていた。わたしのスタンスは、「選択的夫婦別姓」には賛成で、なぜならまだ結婚について考えたことがないけれど、もしすることになったときに、相談しながらどちらかを選べたら、すごくいいな…と思っているから。

現段階で同姓にしたいか、別姓にしたいかは定まっていないけれど、選択肢があったら嬉しい。そういうわけで「選択的夫婦別姓」に賛成です。(あと、現段階で別姓を選択したいと考えている人をシンプルに応援したい。)

選択的夫婦別姓に関する全国調査

話題に上がっていたのは、早稲田大学の棚村政行教授と市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」が共同で行った調査結果がまとめられている記事。「選択的夫婦別姓」について、「他の夫婦が同姓でも別姓でもかまわない」として賛成と答えた人は、合わせて71%になるとのこと。

ちなみに元調査はこちら。

詳しく見てみると、選択肢は4つ。

①自分は夫婦別姓が選べるとよい。他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない。
②自分は夫婦同姓がよい。他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない。
③自分は夫婦同姓がよい。他の夫婦も同姓であるべきだ。
④その他、わからない

調査対象は、20代〜50代の男女で、いずれの年代・性別においても「他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない。」とする①または②の回答が最も高い回答となっていた。

ちなみに、いずれの年代においても、男性の方が反対派(③と回答する人)が多くなっていた。特に50〜59歳の男性に、最も反対派が多かった。(23.41%)

「わたしは同姓がいいけど、他の夫婦が別姓でも構わない」

この調査、およびこれまで「選択的夫婦別姓」について話題に上がる度に、Twitterではさまざまな立場の意見が投稿されていた。

反対意見も多くて、「わたしは同姓がいいと思うから反対!」「日本の伝統が崩される」「日本が壊れる」みたいなものも。「何を言っているのだ……」と思うのだけど、やばい暴論(および偏りすぎた思想)はさておき、「わたしは同姓がいいと思うから反対!」について冷静に紐解くことが、今後のこの課題の進歩にもつながるのでは……と個人的には思っている。

上の調査の選択肢②「自分は夫婦同姓がよい。他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない。」と③「自分は夫婦同姓がよい。他の夫婦も同姓であるべきだ。」にはものすごい乖離がある。②は「選択的」であるならば、夫婦別姓は問題ない、③は「選択的」だろうが夫婦別姓には反対という立場。

③の思想を強く持つ人たちを説得するのは難しいことだろうけれど、いままで特に意識していなかった人や、なんとなく「わたしは同姓がいいと思うから反対!」と考えている人に対して、「選択的」の意味や、そもそもなぜ夫婦別姓がいいと考えている人がいるのか説明して(同姓であることでもたらされる不便さや、結婚時の改姓に伴う面倒な手続きについて語られた記事や、経験談はググれば山ほど出てくる。)いま現在同姓であることで悲しい思いをしている(加えて、これから悲しい思いをすることになってしまう)人が、笑顔になるだけの制度であることが理解されれば、選択的夫婦別姓制度の導入の後押しになるはず。

法務省のHPでは、選択的夫婦別姓についてこんなふうに説明されている。

選択的夫婦別氏制度(※)とは,夫婦が望む場合には,結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度です。
※選択的夫婦別姓制度と同義
法務省

何も変わらない日常がやってくる。

そもそも自分が同姓がいいからと言って、他者にもその選択肢を強要するのって恐ろしくないだろうか……自分に物理的な不都合が生じないにも関わらず(なんか嫌だ、みたいな)相手にも自分と同じであってほしい、と思う心理ってなんだろう……。

これは同性婚にも同様にいえることで、これは2017年に公開された記事。ニュージーランドで同性婚を認める法律ができた2013年(!)に、ある議員さんがスピーチで語った内容が紹介されている。

スピーチの終盤の言葉が以下(抜粋)。

明日も太陽は昇るでしょうし、あなたのティーンエイジャーの娘はすべてを知ったような顔で反抗してくるでしょう。明日、住宅ローンが増えることはありませんし、皮膚病になったり、湿疹ができたりもしません。布団の中からカエルが現れたりもしません。明日も世界はいつものように回り続けます。だから、大騒ぎするのはやめましょう。この法案は関係がある人には素晴らしいものですが、関係ない人にはただ、今までどおりの人生が続くだけです。

そう、繰り返しでうざいかもしれないけれど、あくまで選択肢が増えるだけであって、関係ない人にはただ、今までどおりの人生が続くだけ。それ以上でもそれ以下でもない。これほどわかりやすいストレートなメッセージに、同じレベルで反論している投稿(記事)を見たことが、わたしはない。

「子どもがいじめられる」に対する反論として

最後に、反対意見(理由)について取り上げたい。かなり多く見られた「子どもの姓はどうするのか」という意見。

確かに、夫婦別姓が導入されることになったとして、初期に懸念される事象のひとつに「親子で姓が違うこと」によるいじめ(からかいなど)が挙げられるかもしれない。でも、それはあくまでいじめが悪いのであって、決して「親子で姓が違うこと」ではない。

例えば「離婚してひとり親である家庭」をいじめる人がいて、いじめる人を咎める人はいても、「離婚してひとり親である家庭」が悪いわけではない。当たり前のことだけど(笑)。

いじめが発生してしまうリスクがあるならば、その対策を考えたらいい。いじめが起きるからと言って、選択肢を減らしてしまうのは、まだ見ぬいじめ野郎に屈しているということだし、そうした理由で選択的夫婦別姓に反対するよりも、導入してから起こりうる課題について解決策を練る方がとてもスマートだと思うんだけどな……。

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