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「映像」と「動画」の違いとは?

みなさんは「映像」と「動画」の違いがわかるでしょうか?

以前Twitterでこんなことをツイートしました。

すると、いろんなリプが返って来て、それが興味深い意見が多くて!

非常に面白い視点に触れられ、結果、なんとボクはこの2つの違いの真理に辿り着くことができた。

現代になってこの2つの言葉には違った価値観が付与されているけど、元々はどういう意味合いでできた言葉なんだろうか。

これはぜひみんなにも知ってもらいたい!ということで解説していく!

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プロローグ

まず、この動画のサムネイルの表を見て欲しい。(時間がある方は、再生すると詳しい解説が聞けます)


みなさんもこの表を見て、ある程度は納得でしょうか?

ボクは少し前にこの動画を見て、「あーまあ確かにそんな感じだな」と思った。

でもボクはなんか、完全には腑に落ちなくて、モヤモヤという気持ちが少し残ってたのは事実。

それが今回、みなさんのリプによって、ボクはこれとは異なる視点で本来の「違い」に気づいていくことになります。

では、その軌跡をたどっていくとしよう!

——

レンズの有無?

「レンズを通して」というのが、興味深いですよね。レンズの有無ですか、なるほどー!


「映像」には、写真が含まれる

ボクはここで重要なことを教えてもらう。

映像には写真が含まれる…だと?

まず、ここで1段目の衝撃が来た。

ボクはかれこれもう13年くらい映像制作をやってるが、そんなことは一切知らなかった。

またYukikakeさんは、こういう理由で、「動画クリエイター」ではなく「映像クリエイター」と名乗っているそうで。実は一つ前のリプの辞書内容にも、それがきちんと書かれていた!

【映像】
映画・テレビ・写真などの画像のように、レンズを通して映し出された像。

やはり、レンズを通すものが「映像」なのか…?では顕微鏡も?


どっちでもいい?

こういう意見も。これも確かに。まあ実務的にはどっちでもいいんですよねw ただこういうのに、不思議と人間は興味を持っちゃうんですよね。

そして、もっとも驚いたのは、このリプでした。


「画」か「像」か

プログレッシブ?インターレース?

映像業界以外の人も読んでると思うので、簡単に説明すると、それらはTVやモニターなどの表現方式の違い。

■プログレッシブとインターレースの違い

プログレッシブ・・・静止したときに、1枚の画になっている。フィルムの1コマのような感じ。映画やYouTubeなど。

インターレース
・・・静止したときに、1枚の画になっていない。→2種類の走査線で1枚の画になる仕組み。TVなど。

イラストで説明すると、こうなる。

画像1


なぜこんなことをTVがしているかというと、少ないデータ量で滑らかに見せるためと、思ってもらって良い。(詳しく知りたい人はこのサイトがわかりやすい!)

映画やYouTubeはプログレッシブ(画)、TVはインターレース(像)で表現されている。

そして、このリプをくれた、ふさひささんはこう続けた。

これを見て、ボクは雷に打たれたような衝撃を受けた。

まだピンと来てない人もいるかもしれないので、ボクの言葉で歴史を交えて簡単に解説する。

「映像」という言葉が生まれた理由

これらの起源は「映画」

1890年代
フランスのリュミエール兄弟が映画を発明

1枚1枚の写真を連続して見せることによって、動いて見えた
なので当時、映画は「活動写真」とも呼ばれた
動く写真、すなわち動く画、だから「動画」
もちろん1枚の絵で表現できるのでプログレッシブ

その後、TVが発明される

でもTVはインターレース方式なので
1コマは1枚の画になっていない
「画」「動」いているわけではないので
これは「動画」ではない

だから、別の表現が必要

TVはインターレースだけど
人の目にはちゃんと「像」として見える
それで、「像」「映す」ものという
「映像」という言葉が生まれた

その後、テレビやビデオが身近になり
「映像」という言葉を人々がよく使うようになった

いかがでしょう?

ボクはこれが本来の「映像」と「動画」の違いだと思う。

つまり…

「動画」とは
映画の誕生によって生まれた。
画が動いて表現されるもの。

「映像」とは
TVの誕生によって生まれた。
映し出される「像」そのもの。

と言っていいのではないか。

ちなみに、2018年現在、カメラや編集環境の技術的視点においても、プログレッシブの方が主流になってきていて、ボク自身もインターレースはほとんど使わなくなった。

時代の流れ的には下記のようになる。

「映画(プログレッシブ≒動画)」
  ↓ ↓ ↓
「TV(インターレース≒映像)」
  ↓ ↓ ↓
「YouTube(プログレッシブ≒動画)」

この図式からも、これからは「映像」ではなく、今後「動画」という表現が多くなっていくのは必然と思える。

また、確証はないが、「映画」=「活動写真」という言葉が「動画」という言葉に結びついたんだと思う。

というのもWikipediaの映画史にはこう書かれている。(ちなみに映画の元となる機構はエジソンが発明した)

エジソンが開発したのは箱を覗き込むと、
その中に動画をみることができるというもの。

リュミエール兄弟が開発したのは、その仕組みを箱から、
スクリーンへと投射するものへと改良し、
一度により多くの人が動画を観賞することが
できるようにしたもの。

現在の映画の形態を考慮すると、
リュミエール兄弟の最初の映画の公開をもって
映画の起源とする方が有力な説となる。

出典:Wikipedia「映画史」

これを読んでも、「動画」という表現の方がしっくりくる。この「動画」の部分を「映像」に差し替えると、ちょっと違和感がありますよね。

こうやって歴史や言葉そのものの由来に深く踏み込んでみると、新たな視点で見ることができる。

僕としては、「動画」って有機質で温かみのあるアナログなイメージがするのに対して、「映像」は無機質で冷たくてデジタルなイメージがします。

面白い発見

「映像」というのは、映し出される像そのもの。テレビやモニター、プロジェクターなどで見れるもの。

だからスターウォーズなどで出てくるホログラムというのは「映像」という印象が強い。例えあれが動いてる像であっても、「動画」と呼ぶ人は少ないはず。

逆に「動画」は、画が動いて表現されるもの。わかりやすく考えるとパラパラ漫画は「動画」という印象が強い。むしろ、生であれを見て「映像」と呼ぶ人はいないはず。像に映し出してないから。

また、「頭の中に映像が浮かぶ」とは言うが、「頭の中に動画が浮かぶ」とは言わない。

なぜなら、「頭の中に映像が浮かぶ」というのは、自分の頭の中にプロジェクターのようなもので投影しているイメージだから。像を映し出しているが、動画そのものは頭の中には存在しない。

そして、こういうことを深く考えていくと、面白い発見があった。

次のことを想像してみて欲しい。

1. あなたは昨日、ノートの端っこにパラパラ漫画を書き、視聴してみた。
2. 「それ」を今、頭の中で思い出す。

さて、「それ」って動画?映像?どっちでしょうか?

僕の見解だと、どちらでもある!

両者は共存することもあるということ。

それ自体の内容は同じであっても、パラパラ漫画を生で今見ているときは「動画」であって、頭の中で思い出してるときは「映像」になっている。と思いませんか?

この視点で考えるのが、僕は一番スッキリします。

例えば、YouTubeは動画だけど、モニターで見てる段階で映像になっている、とも言える。その表現は動画であっても、視聴するときは映像になってることは、現代ではむしろ多いのではないでしょうか。

現代のメディアでは基本的にレンズや何かしらのデジタル機器で像を映し出している。その映像を介して、ボクらは動画を視聴している。

そういう意味では、最初にリプをもらったときに、辞書に記載されていた映像の意味「レンズを通して映し出される像」という表現にはかなり納得がいく。

めちゃくちゃ変な例えになるが、インターレースで映し出されるテレビも動画になり得る。テレビ番組を写真で連写で撮って、パラパラ漫画のようにその写真を動かして見たら、それは動画だ。

内容は同じだけど、映像を動画に変換できた。ちょっと笑ってしまう例えだけど。

だから、結局は、動画も映像も視点が違うだけで、内容は同じ。

ただ今は、その視点よりも、なんとなくYouTube的なのは動画、テレビなどプロっぽいのは映像、みたいなイメージに強く引っ張られてしまったため、なんかゴチャゴチャになってしまったんだと思う。


まとめ

●動画
映画の誕生によって生まれた
「画」が動いて表現されるもの

●映像
TVの誕生によって生まれた
映し出される「像」そのもの

あくまで、橘式の解釈ですが、なんとなくわかってもらえたんじゃないかと思います。

そして両者は共存できるし、変換もできる。

もちろん、現代は現代の意味合いに合わせていった方がいいです。ここまで深掘りしても、伝わらなかったら意味がない。言葉って結局、時代と共に変わるし、生き物みたいなものです。

結局思うのが、意味合いは、そのときの世の中が決めるんだなと。冒頭の動画の中でも述べられていますが、常識は変化していくものなんですよね。

ただ本来の意味を知ると、ちょっとは見方が変わりそうだなと思い、このnoteにまとめました。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

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