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伝えたいメッセージを映像に落とし込む方法 【映像表現の脚本Tips :01】


映像制作で最も重要な工程の1つ。脚本。

映画をはじめ、物語性のある映像表現の脚本づくりに関しては、下記の4点が最も重要な要素(テクニック)だ。

・メッセージの落とし込み
・主人公の変化
・葛藤
・行動で表現する

僕は映画学校で脚本を学んだこともあり、これらは基本的には長編映画の脚本術がベースになっている。

このシリーズでは、そこからその他の映像作品にも活かせるような脚本Tipsを紹介!

他にもいろんなテクニックがあるが、まずは4回に分けてこれらを解説していく。

このTipsを意識すると、あなたのストーリーがもっと魅力的になるはずだ。


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メッセージの落とし込み方

まずは「メッセージの落とし込み方」について。

映像つくるとき、きっとあなた or クライアントには伝えたいメッセージがあるはずだ。

もしそこが不明瞭なら、まず下記のnoteを参考に明確化して、続きを読んで欲しい。


さて、映像をつくるにあたって、伝えたいメッセージを落とし込まないといけない。メッセージなんてなんとなくほんわり乗せるもの?ではなく、実は論理的なテクニックがある。

一言でいえば、こうである。

終盤での主人公の行動 = メッセージ

あなたの好きな映画を思い浮かべて欲しい。そして主人公(または重要なキャラ)が終盤で何をするか?

それが映画のメッセージ的なものになってませんか?

なってない?

いや名画ならきっとそういう風になっているはずだ。

もっと具体的に、そして簡単に説明するために、TV-CMで考えてみよう。とある商品がある。そしてこんな感じに展開する。

1. その商品を使う前。人生に悩みがある
2. その商品と出会う。状況が改善する。
3. その商品と出会えてよかった!人生が良くなった!

化粧品でもビールでもゴキブリ退治用品でも、CMは大体こんな感じだ。

実は映画もこのような構成をしており、三幕構成と呼ぶ。(本格的な物語を書きたい人は、ぜひまず三幕構成を学ぶことをおすすめ。全ての基本)

CMはそれをぎゅっと濃縮しているような形だ。

そして注目すべきなのは、主人公が変化をし、最後の方で「この商品と出会って人生が良くなった」状態になる。

それが伝えたいメッセージである。商品というのは、商品そのものを売ってるのではなく、その先のさらにより良い人生を売っている。

その商品で、さらに綺麗になってモテる、元気になる、スッキリする、快適になる、そういうより良い人生になりますよぉってことを、主人公に重ねて表現し伝えようとしているのだ。

さきほど、サラッと「主人公が変化をし」と書いたが、ここも非常に重要なポイントなので、これはまた次回以降解説したい。


参考までに、映画学校で習ったこの脚本術の言葉を、そのまま引用してみる。

What a character dose (particularly at the end of the story) is what usually spells out the meaning of the story.
The action in the 'obligatory scene' is the THEME.
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登場人物は(特にストーリーの終盤で)何を行うか?
それが大抵、ストーリーの意味を物語っています。
「なくてはならないシーン」で行われるアクションこそが、テーマです。

Tipsとしては、「なくてはならないシーン」=「終盤の行動」と考えてもらっても差し支えない。

ある意味逆説的だが、「テーマ」=「メッセージ」をそこに重ねることで、物語に筋が通り、観客へ力強く伝えることができるようになる。

これは物語性があるものには大抵使えるテクニックだ。

また、「メッセージは何か?」と考えながら映画を見ることはあまりないと思うが、そういう目線で映画を見るのも勉強になるし、一味違った見方ができる。


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最後に、僕の大好きな映画「BACK TO THR FUTURE」をこの目線で解説してみよう。(多くの人はみたことがあると思うので、ストーリーの解説は省く...)

この映画は脚本の参考書に出てくるくらい、脚本の面においても優れた映画だ。他の映画の脚本とちょっと違うのは、変化するのが主人公のマーティではなく、サブキャラクターの父・ジョージという点。

ただ、メッセージの描き方は今回解説した通りだ。この映画では「為せば成る」というメッセージが込められており、父ジョージは下記のように変化する

1. 勇気がなくて女性をデートに誘えない。困難からいつも逃げてる。
2. 主人公のマーティのアドバイスで、次第に勇気を出して行動し始める。
3. 不良を倒し女性と結婚。「為せば成る」がモットーな自信ある人生に。

何を伝えたいのかは終盤に注目することが多いが、実はこのように、物語を描く上では「変化」というも非常に重要なポイントになる。



4つのTips

このシリーズで解説する4つのTipsは、単独だけではあまり機能しない。

前述のように、次回解説する「主人公の変化」は、メッセージを落とし込むためにはもちろん、物語を魅力的にしていくには欠かせない要素だ。

これら4つのTipsは互いに影響しあっており、うまく重なり合うことで初めて力強い脚本をつくり出すことができる。

ということで、ぜひ次回の解説をお待ちください!


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▼脚本を含めた、映像制作の参考書でよかったものをまとめています。こちらもよかったらぜひ。


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Taka Tachibana
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