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【実務経験がなくても受験可能】CIA受験資格の仕組みを解説


こんにちは!餃子バイキングです。

初めて内部監査の部署に配属することになり、せっかくだからと一念発起しCIA(公認内部監査人)の受験を考えている方多いと思います。

調べている中で、このような情報見たことはありませんか?

CIA資格認定条件
実務経験:内部監査またはこれに相当する業務
院卒の場合1年、学部卒の場合2年

えっ・・・学部卒は2年の実務経験がいるってこと?まだ配属されたばかりだし、あと2年待ってからじゃないと資格取れないってこと・・・?

と困っている方も多いのではないかと思います。

私も資格を取る前はよくわからず、またネットでも思うような情報が出てこないので困っていました。でも大丈夫です。

内部監査の実務経験がその時点でない方でも、CIA資格の受験をすることができますし、問題なく取得することができます。

むしろ「実務経験が今はないから、2年経ってから目指すことにしよう。」という人は、モチベーションも今より低下しますし、受験料高騰のリスク、試験範囲改訂のリスクも考えられるので、色々ともったいないですよ。

また監査業務に配属されてすぐCIAの勉強をし始めることは他にもメリットがあります。

以下でCIA受験の仕組み、現時点で実務経験がなくても問題ない理由、並行することのメリットを具体的に説明していきますね。






CIAを勉強しながら、実務経験を積んでいこう!


CIAの受験要項に「実務経験:院卒1年、学部卒2年」と書かれているのを見ると、まだ監査業務に就いたばかりの私はCIAは受ける資格すらないのでは・・・?と思う方もいるかもしれません。

でも違います。

CIAの実務経験はCIA資格「認定条件」であって、「受験条件」ではありません。

資格取得までのざっくりとした流れは以下の通りです。

①CIAの試験プログラムに申し込み、受験手続きをする。
「受験条件」をクリアした者に受験資格が与えられる。)

②試験合格後、CIAの資格認定手続きをする。
「認定条件」をクリアした者にIIAから、資格が認定される。)

③CIA(公認内部監査人)資格の取得

CIA取得までの概略

実務経験2年以上というのは、上記②の認定条件の手続の際に必要になる条件のため、実務経験がなくても①の受験手続は行える、というわけですね。

ちなみに①の「受験条件」は「4年制大学の卒業」のみです。

(※もし4年制大学を卒業していない場合は、受験手続前に既に5年間の実務経験があることが追加の条件となっています。)

したがって、内部監査業務を始めたばかりの方でも、CIA資格を受験することができますし、CIAの勉強と並行して実務経験を積んでいけば、2年経つ頃に合格していれば問題なく資格認定を受けることができます。

以下でCIAの受験の仕組みを詳しく見ていきましょう。


実務経験より試験プログラム期間の方が長い


CIAには「試験プログラム期間」というものがあります。

これはCIAの初期登録完了後、全パートの合格及び認定に必要な実務経験の承認手続きまでを終えなければならない有効期限のことであり、CIAの場合、この試験プログラム期間は3年です。

(追加で30,800円を支払うことで、もう1年延長することも可能。)

一方で実務経験は、先述の通り学部卒でも2年です。
つまり実務経験より試験プログラム期間の方が長いんですね。
そのため、

CIAの初期登録 →  実務経験開始 → 受験勉強 →  試験合格 →  実務経験が2年経ったところで認定手続 →  CIA資格取得

という流れが可能になります。
試験プログラム期間の3年の間に、試験合格も実務経験もどちらも一気に済ませてしまおう、ということですね。

では、続いてこの流れについて一つ一つ詳しく見ていきます。



CIA資格の認定はどのようにされるのか


①初期登録

まずはCCMSのアカウントを作成します。
CCMSは(Certification Candidate Management System)の略で、CIA資格の受験者管理システムです。
IIA(内部監査人協会)のHP内にCCMSのマニュアルがあるので、それに沿ってアカウントを作成します。

次に、CIA登録料(受験申請料)を支払います。
料金は個人会員:13,000円、個人会員以外:27,000円です。
この時、CCMSの管理画面からは支払えず、IIAのHPから支払うことに注意しましょう。

余談ですが、CIA試験は個人会員になることがコスト的には必須になります。

個人会員になってから、全ての試験関連費用を支払い、不要であれば合格後に退会することも可能ですので、必ず入会するようにしましょう。※

※CIA資格は「継続教育制度」があり、毎年資格更新をしなければならないのですが、その更新費用も個人会員限定価格が安価である関係上、合格後も必要になるケースがほとんどです。

その後、各種書類をアップロードし、プロフィールを埋めていきます。
こちらもCCMSのマニュアルを参照しながら簡単に行えます。

・必要な手続き
倫理に関する適格性、英訳、学歴、顔写真付き身分証明書、特別な設備

当然ながら、ここではまだ実務経験は出てきません。
以上で初期登録が完了です。

②受験手続

まず受けたいパートの受験料をIIAのHPから支払います。

その後支払情報がシステムに反映され、予約可能な状態になったことがIIAからメールで通知されるので、確認次第CCMSで受験予約をします。

この支払情報の通知ですが、時期によっては7日から10日程かかることがありますので、受験したい日付から逆算して支払は早めに済ませておきましょう。

一般的には2週間〜1ヶ月程度先のテストセンターを予約して押さえ、受験日までに最後のスパートをかけることが多いと思いますので、
受験したい日の3週間〜5週間程度前に、「そろそろ支払は済ませておこうかな〜」と動き出せばOKです。

この受験手続にもまだ実務経験は出てきません。
したがって、2年の実務を経ていなくても、受験することが可能です。


③認定手続


3パート後合格後、認定手続きを行います。

資格認定=3パート分の試験に合格する+実務経験の証明資料がIIAに承認される

です。

上記を満たしていればCCMSのステータスが「合格」となり、認定状が発行できるようになります。

実務経験を示す手続きは、①の初期登録の時点から出来ますので、最初から実務経験が足りている人はその時点で済ませてしまっても大丈夫です。
もちろん試験合格後、最後に行っても問題なく認定されます。

ただし、先述の試験プログラムの有効期間(初期登録後3年間)中に確実に行うようにしてください。


実務経験登録のやり方と注意点


実務経験の登録も、同様にCCMS上で行います。
CCMSの「実務経験の証明」ページでは、以下の内容を記入します。

・開始年月
・終了年月
・雇用主
・職位
・主な業務(「内部監査、品質のアシュアランス、リスクマネジメント、監査、評価、コンプライアンス、外部監査、内部統制」の中から選択

開始年月と終了年月から、実務経験の合計期間が自動計算されます。
必要な期間(院卒1年、学部卒2年)を満たすと次の上司の証明依頼ページに進むことができます。

そして証明依頼ページを記入すると上司に証明依頼のメールを送ることができます。

尚、ここで言う「上司」は現職の「上司」です。
転職して複数社にまたがる場合は、前職の経験を含め、現在の上司に承認を依頼することになります。

メールが届いた上司が案内にしたがって進み、最後に「提出」ボタンを押下すると、「実務経験の証明」ステータスが「承認済」に変わります。これで手続きはOKです。


続いて、これらの手続きの際の注意事項を見ていきましょう。




注意点① どのような業務が認められるのか。

個別の業務が認められるかの判断については、IIAに問い合わせても答えてもらえません。実務経験業務に該当するかどうかは、あくまで自身、および上司の申告ベースになります。

正直、「実務経験がある」として申し込んだものが、手続の不備以外で本部から覆ることはほとんどありませんので、内部監査ど真ん中の業務に従事していなくても問題ないと思います。

ただ嘘はやめましょう。私たちは「倫理に関する適格性」に同意してCIAを目指しているわけですからね。


注意点② 2年間監査業務をしなければならないことに変わりはない。

実務経験がなくてもCIAは受験できますが、例えば学部卒の場合、2年は内部監査業務をしないと資格認定条件を満たさないことに変わりはありません。

CIAを目指すか検討する中で、2年間監査業務をする見込みがそもそもない方はやめておきましょう。

注意点③  有効期限を守ろう

・初期登録の有効期限

IIAからのメールを受信してから180日以内に登録手続きを開始しなかった場合、または手続きを開始していても90日以内に初期登録が完了していない場合、試験プログラムは「失効」扱いとなり、登録料が没収されてしまいます。

登録料を支払ったら、後回しにせず速やか、に初期登録は済ませるようにしましょう。


・試験プログラムの有効期限

試験プログラムは3年間で、30,800円を支払えば追加でもう1年間延長できます。
試験プログラムは初期登録完了後スタートします。この間に試験に合格し、実務経験の証明をしなければなりません。

・受験申込の有効期限
受験料の支払が完了すると、IIAから支払受付完了のメールが届きます。このメールの受信後、180日以内にCCMS「プログラム管理」の中の該当するパートの「登録」ボタンを押下してください。

「登録」ボタン押下後、新たに180日の受験可能期間が設定されますので、その間に受験予約を行いましょう。

有効期限をまとめると、以下の表の通りになります。
無駄な出費を防ぐために、手続きは迅速に済ませましょう。



監査業務に携わってすぐCIA資格を取ることのメリット

さて、ここまで実務経験がなくてもCIAは目指せるよという話をしてきました。

簡単にまとめると、
CIAの実務経験は「資格認定条件」に必要だが、「受験条件」には必要ないということ
また、実務経験2年より試験プログラム期間3年の方が長いため、先に試験を合格しておき、実務経験を満たしたところで認定手続きをすれば問題ない、
ということですね。

加えて、この方法は、単に受験が可能ということだけでなく、他にもメリットがあります。

以下で詳しくみていきましょう。


①Part2で自社のやり方にとらわれずに済む

CIA試験のPart2は「内部監査の実務」です。
一見、実務経験の豊富な受験生に有利なパートに見えますが、そんなことはないと私は思います。

アメリカの製造メーカーをモデルに作られたIIAの国際基準を、日本の会社が全て的確に満たしているとは限りません。
CIAでない人が監査の業務フローを構築した可能性もありますし、自社の業態に落とし込んだオリジナルの監査手法をとっている可能性もあります。

ことCIA試験に関してだけで言えば、自社のやり方は基本的に疑ってかかるべきなのです。

その点、自社の監査業務の経験が少ない受験生はフラットの立場で考えられます。

迷ったときに自社はこうだからという観点で安易に選択肢を選ぶのではなく、最後まで学習した内容に、何か少しでも手がかりはなかったか、集中して考えることができます。

変な先入観を持たない分、かえって試験には強いのです。

②内部監査の国際基準を学びながら、実際の監査業務も覚えられる

今回ご紹介するやり方では、内部監査人として実務を少しずつ覚えながら、同時に内部監査のスタンダードとなっている「内部監査の専門職的実施の国際基準」をCIAで勉強することになります。

CIAを勉強することで得られる内部監査の体系的知識は、実務の習得の際に手助けとなるはずです。

業務を覚えて機械的にこなすのではなく、どのような背景でなぜこういった監査になっているのか、理解しながら業務を進められるようになるのは、新人監査人にとってとても大きなメリットです。




まとめ:CIAは実務経験を積みながら、並行して目指すのが最も有益!


長くなったのでまとめます。
今回のテーマは「CIAの実務経験と受験の仕組み」でした。


CIA試験は

・実務経験より試験プログラム期間の方が長い
(学部卒の場合、実務経験2年、試験プログラム期間3年)
・実務経験は「資格認定条件」に必要だが、「受験条件」には不要

以上から、「CIAは監査業務に就いたばかりの人でも受験することが出来る」資格になります。

また、監査職に就いてすぐCIA資格を目指すことは、

・自社のやり方に捉われずに問題が解ける
・内部監査の体系的知識を勉強しながら実務を覚えるので、理解が深まる

というメリットもあるということをお伝えしました。

CIA試験は情報も少なく、試験も独特です。
こちらの勉強法も併せて読めば、理解が深まるので是非チェックしてください。


中でも特殊なPart3に関しての勉強法は個別に詳しく解説しています。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

これからも初学者の皆様の疑問がすぐ解消できるように、解説記事を増やしてまいります。

それでは!

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