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キャンペーン戦略の落とし穴、販売価格は職場の価値に影響する


こんにちは。隆之です。

キャンペーンはビジネスにおいて一般的な戦略の一つです。新製品のプロモーションや季節のイベントに合わせて、広く活用されています。
これらのキャンペーンは製品の良さを認知してもらい、リピートを狙って行う事が多いでしょう。しかし、売り上げを伸ばすためにキャンペーンを行う場合は注意が必要です。

私は、産業用機械メーカーの工場長をしています。今日は実際に私の職場での失敗エピソードと教訓をお届けします。

短期的な売上と長期的な成果


キャンペーン期間中は商品やサービスが多く売れることは確かです。多くの場合、お得な価格や特典が提供されるため、消費者も購入に動きやすくなります。しかし、キャンペーンが終了すると売上は元の水準に戻る場合が多いです。

キャンペーンの真の成果を測る際には注意が必要です。売上が一時的に伸びただけであれば、キャンペーン自体の効果は限定的と言えるでしょう。

売り上げより利益を見る

キャンペーンを行う際には、その実施コストとリターンをしっかりと計算することが大切です。

例えば原価が1000円の商品を通常は1500円で販売しているとします。キャンペーンでこの価格を1200円に下げた場合、一個当たりの利益は大幅に減少します。広告費もかかるし、スタッフも大忙しで増員したり大変です。

このような状況でキャンペーン後に売上が元に戻ると、どうなるでしょうか?

キャンペーンの前、期間中、後の売り上げと利益

例えば通常月に1000個、キャンペーン期間中に2000個売れたとします。

売り上げは?

平常時 1000個×1500円で150万円
期間中 2000個×1500円で300万円
ダブルスコアになりますね。

利益は?

平常時 1000個×500円で50万円
期間中 2000個×200円で40万円
キャンペーン期間中は減ってしまいます。

キャンペーン終了後、売り上げが元に戻る場合、全体として損失が出る可能性が高くなります。

キャンペーン後の売り上げ予測が重要です。

しかし、実際は専門家でもない限り、正確に予測することは難しいのです。

デジタル商品と物理的商品

デジタル商品であれば別です。例えばNetflixやダウンロードのソフトウェアなど、多くの顧客に販売しても、その製造コストは一定です。ですから、キャンペーンで大量に販売したとしても、追加で発生するコストはほぼゼロです。この場合、キャンペーンによる一時的な利益減少も起きにくく、新規顧客の獲得や知名度の向上につながる可能性が高くなります。

物理商品とデジタル商品では、このようにキャンペーンの進め方や期待するリターンに大きな違いが出てきます。よって、それぞれのビジネスモデルに合わせて、キャンペーン戦略を考える必要があるのです。

キャンペーンの悲劇

私の働いている会社では昔にキャンペーンで痛い思いをしました。
私の工場では数百万円から数千万円の産業用機械を製造から販売までしています。

私たちは新作のとある機械を製造しました。能力もかなり高くなった自信作です。
しかし、中々認知されず注文がもらえない状況だったので、営業で新型機械の販売促進キャンペーンをすることにしました。

期間中はキャンペーン価格で販売する事になります。

この機械を製作するのに必要な期間は部品の調達含めて3ヶ月。実際に部品作り組み立てる作業期間は2週間程度かかります。
そもそもたくさん作れるわけでもありません。

キャンペーン期間中には注文を複数いただました。製作も大忙しです。納期を縮めるべく協力して短納期で納められました。お客さんにも喜んで頂き、大変ながらも現場は活気にあふれています。

そして悲劇は起こります

産業用機械は、特定のニーズに合わせた製品が多くあります。誰もが使うわけではなく、限られた市場で販売されています。

キャンペーン中には多くの予約をいただきましたが、キャンペーンが終わると注文はピタリと止まります。

新規顧客を増やして知名度を上げることを目指しましたが、実際のところ、キャンペーンで買ったのは元々検討中だったお客さんがほとんどでした。

通常の価格で販売したり、他の製品を販売していれば同じ利益を出すのに半分の売り上げで良かったと言う結果になってしまいました。

値上げが最強

私達はこの教訓から、よそにはできない難しい処理ができる装置開発や、手間のかからない機械を製造して高価な機械を作ることにしています。

営業利益(売り上げから原価、費用、経費を引いた残り)が10%あれば優秀と呼ばれます。

営業利益10%の会社が

全ての商品を5%値引きすると営業利益は半分になります。利益は50%ダウン。忙しいのに利益が出ない。よりハードに働かないといけません。

全ての商品を5%値上げすると営業利益は1.5倍になります。利益は50%アップ。半分の仕事量で同じ利益が出せるようになります。

従業員にゆとりが生まれます。

仕事やサービスの質が変わります。
製品の品質も変わります。
リピートも増えます。
信頼も増えます。

値下げしないための数字の管理

値下げはドラッグやアルコールと一緒。
一度使い始めるとやめられなくなります。
組織に蔓延します。

値引きは販管費に計上

売るために値引きをしているんですよね。
販売に必要な経費でしたら、販管費に計上してデータに残しましょう。

経費削減なんて言うのは常々ですが、ここに販管費として年商の一割以上の額が記載されたら交通費や光熱費より圧倒的な存在感になります。今まで見えていなかったものが見えるようになります。

販売グループを虐めるわけではありません。これを乗り越えていけば、みんなの慌しさもなくなり、製品も良くなり、クレームも減り、仕事の質が変わるからです。

みんな同じ意識で取り組んで行く事が大切です。もしかしたら反発もありますが、ストレス無く、長時間労働にならず健全に働ける職場に変わっていきます。

この記事がお役に立てれば幸いです。
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