父とボーリングに行き、爪が割れる。
母を病院に迎えに行くまでの間、父に誘われてボーリングに行った。父は最近ボーリングにハマっており、マイボールやマイシューズを揃えて職場の人たちとよく行っているらしい。以前帰省した時は登山に人生観を変えられたと語っていたが、地面でボールを転がすことに方向転換したらしい。多趣味だが長続きはせず、形から入るところは自分と似たものを感じる。
ボーリングなんていつ以来かわからない。ティーンエイジャーが友達同士で来てストライクを出すとハイタッチを交わす様子が目に浮かぶが、自分の人生にそのシーンは無かった気がする。多分15年ぶりくらいに来た地元のボーリング場は、ティーンエイジャーというよりシニアの社交場になっていた。マイボールを引っ提げたやたらと本格的な装いの熟年層がストライクを連発している。
15年ぶりのボーリング。フォームなんて概念がないほど適当に投げ、ボールはレーンに鈍い音を立ててぶつかりあらぬ方に転がっていった。予想通りだ。球技に限らず運動神経は壊滅的で、歩くとか走るとか黙々と徹するスポーツ以外は好きじゃない。しばらく投げているうちに親指に鈍い痛みを感じたので見てみると、爪が割れて血が滲んでいた。父が言うには腕に余計な力が入り真っ直ぐ振り下ろせていないせいで、ボールが手からスムーズに離れず爪が割れるそうだ。そんな痛みを味わいながらするもんなんだろうかと思いながら投げ続けたが、指の痛みを庇って中途半端なタイミングで手を離してしまいコントロールはどんどん悪くなっていく。自分の運動神経の悪さを痛感させられる。腕の痛みも増すばかりで後半はほとんどガーターだった。さぞかし張り合いの無いゲームだったであろう。
15年ぶりのボーリングは鈍い痛みと気まずさを残したが、さほど悪い気はしなかった。父の同僚たちが良き対戦相手であるのはせめてもの救いだった。
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