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OLYMPUS PEN‐FT(フィルムカメラ)入手しました

OLYMPUS PEN‐FT という約60年前のフィルムカメラ(サムネの画像)を入手しました。

例によって外装ボロボロのジャンク品っぽいものですが、カメラもレンズもしっかり動作します。

このカメラは極めて特殊な構造を持ったハーフフレームの一眼レフカメラで今でも人気が高く程度の良いものは結構な高値で取引されています。

これから手を入れてピカピカにしていこうと思ってヤフオクで落札しました。


外観

外装は錆だらけ

塗装の下から錆が浮いてきていて、ストロボのシューが取り付けてあったところが変色しておりますが再塗装しますので問題ありません。

ファインダー接眼部が割れている

ファインダー接眼部のプラスチックが欠けています。こうなった理由は明らかでシューがここに取り付いてシューを支えていたからです。

シューを取り付けた状態
シューを横から見たところ

シューを横から見るとL字型をしており、画像右の部分の内側の突起がファインダー接眼部の溝にはまるようになっています。ストロボをシューに取り付けた状態でストロボがカメラ後方(画像右方向)へ押された場合、ファインダー接眼部に大きな力が加わりますので簡単に溝の外側が欠けてしまいます。

ヤフオクで物色しているとここが割れている個体を数多く発見するのですが、それもそのはず設計が悪いのです。これだけ素晴らしいカメラなのに、なぜここだけこんな杜撰な設計になっているのか理解に苦しみますが、もともとは接眼部を硬めの金属で作る予定だったのが、コストダウンでこうなってしまったのかもしれません。

この部分はUV硬化性液体プラスチックで補修する予定です。

付いていたレンズ G.Zuiko Auto-S 1:1,4 f=40㎜

このカメラの標準レンズと思われるレンズが付いていました。よく付いているのがF1.8のレンズなのですが、このカメラには明るい方のF1.4のレンズ( G.Zuiko Auto-S 1:1,4 f=40㎜)が付いていました。このレンズは大変人気があり、程度の良いものはカメラ本体より価値があります。細かいチリがたくさん入り込んでいますが傷やカビ、クモリはなくそのままでも使用できそうな感じです。オークションサイトではこのあたりのことが分かりませんでしたのでラッキーです。

OLYMPUS純正のSKYLIGHTフィルター

オリンパス純正のフィルターが付いていました。これも使えそうです。

ケース

ケースはかなり傷んでいますが使えなくはないレベルです。内側の布を張り替えて外側の革を補修すれば結構よい感じになるかもしれません。

ストラップはビニール製で経年劣化により硬化しておりべたつきもあってちょっと使いものになりません。

動作

電池と電池室

購入した電池(625G)を入れて露出計が正常に動作することを確認しました。

セルフタイマーのレバー(画像右上)

ざっとチェックした限りでは不具合は見つかりませんでした。シャッター全速正常ですしセルフタイマーも機能します。レンズのフォーカスリングが若干がたつきますが、ねじを締め直せば改善されるでしょう。

OLYMPUS PEN とハーフフレーム

OLYMPUS PEN の歴史は長く初代は1959年に発売されたハーフフレームのフィルムカメラで、今も OLYMPUS PEN という名前のミラーレスデジタルカメラが製造販売されています。

オリンパス ペン - Wikipedia

ハーフフレームというのは小型カメラで当時主流だった35㎜フィルムの1枚分である24㎜×36㎜をフルフレームとし、これを縦に2分割した17㎜×24㎜のフィルムサイズのことです。

ハーフサイズという呼ばれ方が日本では一般的ですが、ハーフサイズというとカメラのサイズと混同しがちですのでハーフフレームで統一したいと思います。

フィルムサイズを面積で約半分にすることで36枚撮りフィルムであれば72枚撮影することができますので、フィルム代や現像代が安く済むというメリットがあり、またフィルムサイズが小さくなることでカメラ全体もコンパクトになります。

当時はこのフィルムサイズが流行したようで、私の子供の頃に父が使っていたカメラも Canon Demi というハーフフレームカメラでした。

今も私が大切に防湿庫に保管しておりフィルムを入れればいつでも撮影可能な状態です。

家にある Canon Demi 1963年2月発売

デミ - キヤノンカメラミュージアム (global.canon)

最近になってこのハーフフレームのフィルムカメラに人気が集まっているようで、なんとリコーから PENTAX 17 というハーフフレームのフィルムカメラが新登場しました。

PENTAX(ペンタックス) 17 実写レビュー | フォトヨドバシ (yodobashi.com)

フォトヨドバシに実写レビューがあるくらいですので物珍しさも手伝って結構売れているのかもしれません。

ただ、機能的には OLYMPUS PEN シリーズの後期型と大差なく、それで9万円近いこのカメラが売れるのでしょうか?

私だったら程度の良い中古の Olympus Pen EE-3 あたりをヤフオクかフリマで1万円台で手に入れます。

File:Olympus pen ee3.jpg - Wikipedia

とはいえ、世の中デジタル化が進み過ぎたためか、フィルムカメラが若い人に新鮮でお洒落なものとして受け入れられている面があるのは確かなようです。

そこへ来てフィルム価格高騰です。

なるべくフィルムを節約したいと言う思いから倍の枚数が撮れるハーフフレームカメラが人気なのでしょう。

昔ハーフフレームが流行った理由の一つにフィルムが高かったことがあるらしいのですが、今はその状況に似ているように思います。

レンズ交換可能な PEN

今回入手したカメラは PEN シリーズの中でも異彩を放っている PEN-F シリーズの2代目 OLYMPUS PEN-FT です。

PEN-Fシリーズの特徴は何といってもレンズ交換が可能なハーフフレーム一眼レフであることで、レンズ交換のできないレンジファインダー方式の他の
PEN シリーズとは異なったコンセプトで作られています。

今回入手した2代目の FT は初代とほぼ同じ外観を保ちながら内臓露出計やセルフタイマーが追加されてるのが特徴です。

OLYMPUS PEN-FT

当時は PENTAX SP など35㎜フィルム(フルフレーム)一眼レフが良く売れていました。

PENTAX SP はそこそこ小さくて手になじむサイズだと私は感じますし、Nikon F、F2Canon F1 と比べたらすごく軽くてコンパクトだと思います。

ASAHI PENTAX SP

しかしそれでもフルフレーム一眼レフですのでペンタプリズムやミラーボックスの出っ張りのせいでそれなりに大きく重くなり、そこそこ大きなフィルムサイズに合わせてレンズも大きく重くなりがちで、家族旅行や散歩に持ち出すにはちょっと億劫と感じる方が多かったことでしょう。

「でもやっぱり旅行先でレンズ交換がしたい!」
「一眼レフを気軽に肩や首にかけて近所をぶらぶらしたい!」

そんな声を受けて開発されたのが PEN‐F シリーズということなのでしょう。

知らんけど

確かに一眼レフとしてはあり得ない小ささで、しかもプリズムやミラーボックスの出っ張りがありません。

どうなっているのかレンズを外してみてみると、小さいミラーが縦向きに入っていました。

ミラーボックス

この小さいミラーがパコパコ動く分にはそれほどボディの厚みを必要とせず
、そのためボディの出っ張りがないのですねぇ。

スクリーンとプリズムは画像右側にあり、プリズムで曲げられた光が後ろのファインダーに届く仕組みになっています。

その他、チタン製のロータリーシャッターが採用されるなど画期的な技術が詰め込まれた夢のような製品です。

そしてここが一番重要な点ですが、カッコいいです。

これがないと写欲が湧きませんし、家に置いて行きがちになります。

デジタルの PEN‐F との比較

ちょっとややこしいのですがデジタル化後の PEN シリーズにも PEN-F という機種が存在します。

デジタルの PEN-F は先代のフィルム PEN-F 発売50周年を記念して2013年発売されたもので、中身は電子ファインダー付きのミラーレスデジタルカメラなのですが、形や大きさが先代とよく似ています。

デジタル PEN-F(左) とフィルム PEN-F(右)

どちらもカッコいいですね。

レンズキャップは必携

F の花文字を配ったレンズキャップ

デジタル PEN-F の方のレンズに被せてあるキャップはフィルム PEN-F 用レンズのもので、単なるファッションです。

レンズ保護と言う意味合いはありますが、私はレンズ保護フィルターを常用しますので、機能的には別になくても構わないと思っております。

一方フィルム PEN-F の方はそうはいきません。

実はこれが露出計のスイッチになっており、キャップをしておかないとレンズから入る光に反応して露出計に電気が流れっぱなしになってしまいます。

始めに電池を入れて露出計のスイッチを探しても見当たらず、そこで初めてそのことに氣づきました。

ですのでこのカメラにはレンズに光が入りにくい被せ式のキャップが必須なのです。

画角の違い

デジタル PEN-F はマイクロフォーサーズのセンサーですので35㎜フィルム(フルフレーム)との対角線の長さの比は1:2です。

一方、フィルム PEN‐F はハーフフレームですので35㎜フィルム(フルフレーム)との対角線の長さの比は 1:1.44 です。

たまたまですがデジタルの方には焦点距離30㎜のマクロレンズが付いておりまして、先ほどの比率1:2で計算すると35㎜フルフレーム機用の焦点距離60㎜のレンズの画角と同じになります。

一方、フィルムの方は40㎜の焦点距離のレンズが付いておりまして、先ほどの比率1:1.44で計算すると35㎜フルフレーム機の焦点距離57.6㎜のレンズの画角と同じになります。

偶然にも今付いているレンズとカメラの組み合わせで2台のカメラはほぼ同じ画角になっていることが分かりました。

確かに両方のファインダーを覗いて比べてみると構図の縦横の違いはありますが同じ景色が見えました。

それにしてもフィルム PEN‐Fの方の「換算60㎜」というのは昔の基準で考えても標準レンズとしてはちょっと長い氣がします。

今後の予定

とりあえずモルトを交換してフィルムを詰めて試写したいのですが、短期間で72枚撮り切るのは大変ですので先にクリーニングと再塗装をしてしまおうと思います。

おしまい

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