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補足説明を忘れないで
誰かと話すとき、「自分がもっている知識・情報」を「相手も知っているはずの知識・情報」として捉え、とくに説明を加えることなしに会話を進めていってしまった、という経験は、私を含めて誰もがもっているだろう。
逆に、ある情報を知っている前提で話が進み、「今さら〇〇ってどういう意味ですか?とは聞きにくい…」という経験もあるはずだ。
とくに、同じコミュニティに属していると「言わなくてもわかる」あるいは「その情報は、コミュニティに属するものなら必ず知っている『常識である』」状態が生まれる。
そこでは、とくに補足説明が必要ないばかりか、むしろ会話のリズムを乱すものとして補足説明が嫌厭されることだろう。
この「常識」を、私たちは誰彼かまわず適用してしまう、というのもまた事実である。
「自分の知識・情報は、必ずしも相手の情報ではない」ということを、どうすれば意識できるのか。
このように感じたのは、先日、学生TAの業務でうまくいかないことがあったからだ。
具体的には、後輩への説明不足が原因で、業者に印刷発注をかけなくてもよいものが発注されてしまった、というものである。
私は、大学内にある、さまざまな国籍・専攻・言語をもつ学生同士の交流スペースを運営しているスタッフの1人である。
既に2年間継続して業務を行っており、今雇用されているメンバーの中ではもっとも歴が長い。
交流スペースの運営、あるいは祭事業務としてのイベントの企画・実施にあたって、飾り付けやポスターなどの印刷物が必要になることがある。
そして、その印刷は原則として学生TAが、「交流スペース内に、学生TA業務用として購入されたプリンターを用いて行う」こと、また「A3サイズ以上のものは、プリンターが対応していないため所属先である国際センター事務室に依頼する」ことが定められている。
また、予算などとの兼ね合いから、大学内に入っている印刷業者に発注が許可されているのは、スタッフのTシャツやオリジナルグッズなど、一定以上のクオリティが求められるものに限られている。
今回必要だったのは、イベントで使用するA2サイズの印刷物。
私は「今回必要なのはA2サイズだから、センターに依頼をお願いします」と後輩に伝えたのだが、その裏に存在する「基本的に、業者に依頼することはない」という前提条件を共有しているか、きちんと確認しないまま話していたのだ。
今回は、たまたま事務室の方がすぐ対応してくださり、また1〜2日で納品されたのだが、運が悪ければ、予算をオーバーするばかりか、イベント当日に間に合わない、という事態が発生しかねなかった。
所属先の国際センターの方はもちろん、業務を行ってくれた後輩にも申し訳ないと感じている。
このように、業務などに関わる情報はもちろん、略語や専門知識など、常に「これは相手にも、自分が意図した通りに伝わっているのか?」と自問自答することが必要不可欠であると感じた瞬間である。
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