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読書レビュー『ルビンのツボが割れた』

はじめに

こんにちは、Takaです。
今回は『ルビンのツボが割れた』を紹介します。

本屋さんに行くと、この書籍が平積みされ、特集されているのをよく目にしていたので、以前から気になっていた作品でした。帯にも「日本一の大どんでん返し(と断言したい)」と大々的に謳われていたので、いつか読んでみようと思っていました。

概要

タイトル|ルビンのツボが割れた
作者  |宿野 かほる
出版社 |新潮社
発売日 |2020/1/27

感想

まず初めに、この本はミステリー小説ではありませんでした。
私自身、勘違いして読んでいたため、どこで謎解き要素が出るのかなと思い読み進めていたら、そのまま幕引きとなって、そこが一番びっくりした点でした。

かつての恋人同士が30年ぶりにフェイスブックで再開し、メールのやり取りの中で過去を振り返るという物語です。この書籍の最も特徴的なのは文書構成であり、地の文が一切存在しません。ひたすら互いのメールが繰り返されるのみで物語を構成しています。まずこの構成が、初めての読書体験を与えてくれます。

またタイトルにもなっている『ルビンの壺』ですが、これは見方によって、向き合った2人の顔にも大型の壺にも見える多義図形のことです。書籍の表紙の絵が、正にそれですね。
物語自体も、正に多義図形のごとく、見え方がどんどん変わっていきます。メールのたびに新しい事実が与えられるため、登場人物の印象がコロコロ変わります。例えば主人公は、ストーカー気質を感じると思えば、劇団の天才演出家に変わり、時には色男な一面も見えたりして、最終的には・・・。(さすがに最後はネタバレが過ぎますね)

後半になるにつれて、新しい事実が核心に迫るため、キャラクターのイメージが目まぐるしく変わっていきます。おそらくこの部分を「日本一の大どんでん返し(と断言したい)」と謳っているのでしょう。ミステリー小説ではないので、伏線回収などではなく、どんどん新しい事実を提示し、読者の印象を変化させます。もともと170ページ程度の短い小説ですが、後半のクライマックスは読む速度がどんどん上がっていくほど、次の展開が気になる物語でした。

おわりに

今回は『ルビンのツボが割れた』を紹介しました。
すごく変わった作品であったものの、帯の煽りが強すぎて、それほど高評価には感じませんでした。これは明らかに期待値が高すぎたことが原因だと思います。もう少しフラットな目線で読めたら良かったのですが、こればっかりは仕方がないですね。

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