見出し画像

読書レビュー『平凡な革命家の死』

はじめに

こんにちは、Takaです。
今回は、樋口有介の『平凡な革命家の死』を紹介します。
樋口有介作品は3つ目になりますね。この人の考える物語や文章は、本当に私にマッチしているんだと思います。どのシリーズを読んでも楽しめるので、安心して購入することが出来ます。

概要

タイトル|平凡な革命家の死
作者  |樋口有介
出版社 |祥伝社
発売日 |2021/4/16

感想

市議が自宅でひっそりと死んだ。現場に不審な形跡はなく、医師の診断も「急性心不全」。しかし卯月警部補は本庁栄転の足掛かりにするため、何とか殺人事件に格上げできないか、単独捜査に乗り出します。火のないところに煙を立てる女性刑事のミステリー。

すごく奇抜な設定ですね。一般的な警察ミステリーではありえない設定だと思います。過去から、警察をヒーローとして扱う作品や、本庁と所轄の葛藤を表現するリアリティのある作品など、様々な警察ミステリーはありますが、ここまで私情を全開にした作品はなかなか珍しいと思います。こんな奇抜な設定で物語が成立するんですから、本当によく考えられたストーリーだと思います。

また妙なところでリアリティを出してくるところが、滑稽で面白さを感じます。火葬を延期させるために根回しをしたり、なんとか司法解剖を行うための理由を付けたり。登場人物は真剣に動いているのに、その動機が「わがまま」であるため、どこかコメディ風に見えてくるところが、この作品が娯楽小説として素晴らしいと感じるポイントです。

あと出版社は異なりますが、以前紹介した<柚木草平>シリーズに登場するキャラクターも一部登場します。既に警視庁を辞めた柚木草平本人は出ませんが、その同僚は登場するので、シリーズファンにとってはテンションの上がる描写がしばしば登場します。

おわりに

今回は『平凡な革命家の死』を紹介しました。
本当に樋口有介の作品は、娯楽小説としての出来がずば抜けています。私も色々な作者の本を読んできましたが、ここまで自分にマッチした作者は初めてです。昨年に亡くなられたのが、本当に悔やまれます。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?