見出し画像

故郷とは何か?

「故郷は遠きにありて思うもの」室生犀星

今日アートスペースについてのイベントに参加した。とても刺激的だった。
「アーティストはお金がなくても、ここだったら受け入れてくれる場所や関係性があればそれでいいと思える」なるほどと思った。
そして、そういう温かき故郷のような古本屋メインの場所を作りたいと茫漠とながら思った。

私には故郷がない。もちろん生まれた場所は有る。が、帰りたくなるような故郷と呼べる場所はない。
死の間際に人々が最期に故郷を思い浮かべるという思いが昔から私にあった。温かき故郷の情景。私には何の情景も思い浮かばない。
危急に迫った死が、故郷を思い求めさせ色々な場所に住んだ。が、全ては徒労だった。

今日のイベントに参加し、私にとって必要なのは故郷ではなく、故郷を必要とする人々に故郷を思わせるような場所を作ることだと気がついた。そして、私が最期に思い浮かべたいのは私の死後、数年後、数十年後にその人々が笑っているその姿だということも。

「故郷は遠きにありて思うもの。/そして悲しくうたうもの」冬の寒風はどこからか幻の故郷を運んでくる。幻影を現実に変えるために今日から一歩一歩歩みを進めよう。遠きにある故郷を思い浮かべながら。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?