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デジタル化された未来で「人がやるべきこと」の方向性【読書感想文】働き方5.0: これからの世界をつくる仲間たちへ (小学館新書) 落合 陽一

2016年に出版された書籍「これからの世界をつくる仲間たちへ」に、新型コロナで変わった世界を踏まえて、落合さんによって加筆修正された新書版。

■アップデート新書化

・2016年の書籍と本の内容は変わっていないものの、著者自らの視点で、「コロナ」後の社会で主張の新しさは当たり前に近くなった点、さらにデジタル化が加速している点などが振返りされているのが、落合陽一ファンにとっては、エッセイ的なおまけ要素として面白い部分だと感じる。新書化に伴う加筆・修正でありながら、その区切れ目を感じないほどスムーズな流れになっている。

■印象に残る点: デジタル化された未来で「人がやるべきこと」の方向性

・メディアアーティストで、ヒューマンとコンピュータのインターフェイス等を専門とする大学准教授の落合さんが、デジタル化された未来に「人がやるべきこと」について考察し、適切な課題設定を社会に創造する「クリエイティブ・クラス」を目指すべき姿として提示する。誰も気づかなかった、新しい問題を発見し解決するために「勉強」ではなく「研究」することが重要とする。教科書を読んで勉強するのがホワイトカラーであり、自分で教科書がかけるぐらいの専門性をもっているのがクリエイティブ・クラスであるという。
・クリエイティブクラスとして求められることは、自分だけの「世界観」を持つこと。それはオリジナリティであり、解決すべき新しい問題であるかは、次の5つの問いで落とし込まれる。
①それによって誰が幸せになるのか。
②なぜいま、その問題なのか。なぜ先人たちはそれができなかったのか。
③過去の何を受け継いでそのアイディアに到達したのか。
④どこに行けばそれができるのか。
⑤実現のためのスキルはほかの人が到達しにくいものか。

■お薦めしたい読者像

・自ら実践するという意味では、10代後半(高校生から大学生)から20代前半の若い方にお薦め。コロナ、デジタル化で社会が大きく変わる中、自分の親や先輩の世代の成功談は参考にならない。いい大学を出たからといって将来は見通せない。そんな中で、どういう道に向かって力をかけていけばいいのかが参考になると思う。
・また30代以上でホワイトカラーとして社会を支えている大半の方には、若い方の邪魔をしないための予備知識になる。

■本を手に取った個人的な動機と感想

・2016年に発売された「これからの世界をつくる仲間たちへ」も持っていたのでKindle版で購入。コロナ後に加筆・修正された点が楽しみだった。落合さんの大学教員として専門性のある若者に対する期待やエールといった要素が強い。
・ホワイトカラーのお仕事で社会にどっぷり漬かっている身として、自分だけの「世界観」を持つクリエイティブ・クラスは高いハードルだ。やはり、5~10年学びなおして専門性をつけないといけないということだろうけど、生活をして食べていかなければならない人にとってはリストラ等、強制的に日常ルーチンがリセットされることがないと踏み込めないかも。30代以上のホワイトカラーが、専門性を磨きクリエイティブ・クラスを目指す方向転換やその指針があれば読んでみたかった。そもそも無いのかも しれないけど(爆)

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