見出し画像

ケガしがちなランナーに取り組んでほしい2つのムーブメントテスト

はじめに

今回はランナー向けです。コロナ騒動で、計画していた大会がなくなって残念な気持ちの方も多いともいます。ですが、すでに先を見据えて準備をされている方もおられます。

練習を積んだ分だけ成績が向上しやすい長距離種目では、ケガをしないカラダづくりが競技力向上に直結します。今回は私の大学院時代の研究をもとに、2つのムーブメントテストを紹介します!せっかくできたこの機会を、自分のカラダを見直す機会にしてください!

━━━━━━━━━━━━━━

ムーブメントテストとは


カラダの使い方をチェックするテストです。カラダの使い方は、その人の持つ柔軟性や筋力、体幹の安定性やバランスなど、様々な要素が反映されています。そのため、ムーブメントテストは、ケガリスクの判定や、トレーニングの基礎作りに用いられています。私は大学院時代にムーブメントテストに着目し、ランニング障害リスクを予測できないかと考えました。実際に行った研究はこちらです。

画像1

画像2

Functional Movement Screen (FMS)は、スクワットやランジなど7種目で構成されます。採点基準のもと、各種目3点満点、合計21点満点のスコアとして用います。結論を伝えると、大学陸上競技部に所属する中長距離選手において、FMSはケガリスクの予測に有効であることがわかりました。さらに、7種目の合計点よりも、2つのテストの合計点の方が効果的であることがわかりました。その2つとは、Active Straight Leg RaiseとDeep Squatです。

画像3

これらの基準点をクリアできない場合、ランナー膝や足底腱膜炎といったケガリスクが半年間の間で約5倍になることがわかったのです。今回は、この2つのムーブメントテストのチェック方法をお伝えします!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Active Straight Leg Raise のチェック方法

方法は簡単です。

①仰向けに寝転ぶ。
②両足をつけて、つま先を天井に向ける
③膝を伸ばしたまま片足を挙げる

※この時に、挙上側の膝が曲がらないこと、床についている足の膝が浮かないことを注意してください。

そして、足を挙げた側のくるぶしが、床側の膝よりも、頭に近づいていれば、基準クリアです!以下の写真が良い例になります。

画像5

反対に、以下の写真のように、くるぶしが床側の膝のラインを越えてこない場合は、基準クリアならずです。

画像4



さて、皆さんはいかがでしたか?


このテストには、挙上側のハムストリングスの柔軟性だけでなく、
・床側の股関節前面の柔軟性
・挙上側の股関節屈筋の筋出力
・体幹の安定性
も関係しています。

ランニングで言うと、「良い姿勢を保ったまま、足を前に出す能力」に関係します。このテストができない人はケガリスクが高く、できる人はケガリスクが低い、というのは想像しやすいですよね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Deep Squatのチェック方法


次のテストは、Deep Squat(動画の一つ目)です。

①5cmほどの高さの台に両踵を乗せ、足は肩幅、つま先は正面に向ける
②バーを両手でもち、頭上に伸ばす
③バーを頭上に保ったまま、お尻が膝よりも下がるまでしゃがむ
④その姿勢を保ったまま立ち上がる

※この時、両膝が足部の上に位置させる。膝が内にはいったり、外に向かないように注意。

画像7

そして、横から見た時に、両手をつま先よりも手前に保てていれば、基準クリアです!下の写真の右側の選手は、かなり上手にできています。

画像6


さて、できましたか?


Deep Squatは、全身の協調性を確認するテストです。
主には
・姿勢コントロール
・胸椎・肩甲骨の可動性
・股関節の可動性
・足関節の可動性
・左右の対称性
といった要素をチェックできます。

ランニングも足の動きのみならず、姿勢や腕振り、左右の対称性が必要な全身運動です。こちらも、ランニング障害との関係性が見られても不思議ではありません。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

改善方法は?


基準をクリアできなかった方は、どうすればよいのでしょうか?
今回は、Active Straight Leg Raiseの改善方法を3つ紹介します!

①ストラップストレッチ

ハムストリングスのストレッチで僕が一番オススメのものです。腹筋にも効果のある応用版もあるので、ぜひチェックしてください!


②股関節前面ストレッチ


腸腰筋などの動的ストレッチです。実施前にバランスチェックを行うことで、ストレッチ効果が上がります。腹筋を引き締めながら行うことが、一番のポイントです。


③クックヒップリフト

片膝を抱えてのお尻上げです。支持脚のお尻を鍛えながら、支持脚の股関節前面や、抱えている脚のおしりのストレッチにもなっています。膝を伸ばして行うと、ランニングフォーム修正にもつながります。


以上、3種類を紹介しました。
・①は片足30秒
・②③は片足15回
を1セットとして、左右各3セットずつ、毎日3週間も頑張れば、あなたの足はきれいに上がるはずです。

ただ、「そもそも立位体前屈で床に手が届かない」という方向けにスペシャルメニューもあります。こちらは、Deep Squatの改善方法と合わせて、次回お伝えします!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最後に

今回は、FMSをもとに自宅で簡便にできるチェック方法をお伝えしました。

私が理学療法士を目指したきっかけも、ランニング障害に悩まされたからでした。中学生で陸上部に所属していた時のお話です。しゃがむこともできない腰痛になり、走れない日々にただただ焦りが募るばかりでした。

こういった思いは、ケガをした時はみんな同じだと思います。

そして、残念ながら長距離走を頑張っているランナーほど、地面から衝撃を受ける回数が多く、カラダがかたくなります。今回のCircuit Breakerを良い機会と捉え、自宅で、少しでもケガをしないカラダ作りに取り組んでいただけたら幸いです。お子さんがおられる方は、ぜひお子さんのカラダチェックもしてあげてください!

では、時々外の空気を吸いつつ、できるかぎり外出を控えて、みんなでこの危機を乗り越えましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?