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日本初のイエナプラン校・大日向小学校に入学できなかった私がその魅力を伝えます

日本初のイエナプランスクール・大日向(おおひなた)小学校。新しい時代の教育を切り開く存在として今静かに注目を集めている、長野県佐久穂町にある私立学校です。https://www.jenaplanschool.ac.jp/

この素敵な学校に長女と次女を入学させたくて、この数か月準備をしてきましたが、審査の結果、入学が認められませんでした。本当に残念でなりません。でも気持ちを切り替えました。このnoteでは、私から見た大日向小学校の魅力のご紹介と、ここに至るまでの経緯を書き残します。大日向小学校に興味のある方の参考になれば幸いです。

大日向小学校の魅力は、未来への可能性

大日向小学校の魅力の核はなんといってもイエナプランなのですが、その考え方などは学校のサイトを見ていただき、設立までの経緯は中川綾さんの著書「あたらしいがっこうのつくりかた」をお読みください。魅力的な人たちが力を合わせて学校設立に邁進してきたことがわかります。私は私なりの視点でその魅力を語ってみたいと思います。

魅力:コンセプトと行動が徹底して一致していること

イエナプランといえば、一人一人の存在をかけがえのない存在として認め合い、お互いを尊重し合う、そうしたことを大切にしています。

どんな人も、世界にたった一人しかいない人です。つまり、どの子どももどの大人も一人一人がほかの人や物によっては取り換えることのできない、かけがえのない価値を持っています。-イエナプラン20の原則より

この考えは意外なところでも行動に現れています。それは入学審査。選考ではなく抽選だというのです。そして面談ではこんなことを確認するというのです。

お子さまがイエナプランスクールに通うことが、ご本人やご家族にとって良い選択となるかどうかについて、みなさまと私たちとで十分に対話する時間を持ちたいと思っています。-大日向小学校・児童募集要項より

コロナによってリアル開催は中止になっていますが、学校見学プログラムや学校体験のプログラムでは、一方通行の説明会ではなく、参加する大人も子どもも、大日向小の特徴であるサークル対話やワールドオリエンテーションに参加するものとなっていました。これも、一人一人を大切にし、対話を重ねるというコンセプトから来ているのだとわかります。

魅力:公共的な存在としての学校であろうとすること

イエナプランという考え方はまだ日本ではなじみがなく、いわゆるオルタナティブ教育と呼ばれます。そのなかにあって大日向小学校はいわゆる「一条校」として日本の学習指導要領に則って教育活動が行われる学校です。フリースクールではありません(それを否定するものでもありませんが)。つまり公教育のなかで当たり前に存在しうるものだ、と証明して見せようとしているのです。

そして地元の佐久穂町とは、さまざまな面で良い関係づくりの努力をされているようです。高校の魅力化などが話題ですが、学校が地域の課題解決に向けて協働するということは、この大日向小学校でもまさに挑戦中のテーマなのだと思います。閉校した公立小学校の校舎を使っていることは象徴的ですが、それだけではありません。子どもたちと保護者有志が地元農家さんと一緒に作ったプルーンの販売などはぜひ応援したくなります。

大日向小学校に入学希望するまでの話

私がその存在を知ったのは映画「Most Likely to Succeed」上映会を企画した渡辺双葉さんにインタビューしたとき。そこでイエナプランを知りリヒテルズ直子さんの本も読み、すっかりその魅力にはまりました。

ただこの時点でわが子を入学させようと具体的に考えるには至っていませんでした。今かよっている学校から出て、東京から長野に移り住むという選択肢に現実感はありませんでした。

ところが、学校が止まりました

ところが、学校が止まりました。そう新型コロナとその混乱のために。一斉休校やそのあとの学校再開には賛否両論ありましたが、このときの対応で学校や自治体ごとのいわば実力や底力が明らかになったのではないでしょうか。

コロナ禍の各学校や教育「業界」の混乱を見るにつけ、改めて、自分の頭で考えることの大切さ小さいころからくりかえし実践していくことの大切さを、身にしみて感じるようになりました。そして、先の見えない変化の時代に、世界への感度を持つことや、新しいリテラシーを身につけることの重要性を感じたのは、私だけではないと思います。

今の学校教育の先に、わが子たちの育ってほしい姿があるのか。そうした疑問は日を追うごとに大きくなり、違う選択肢を求めるようにして、大日向小学校への入学を準備することになったわけです。

入学はできなかったけれど…大切なことは、家族との対話

入学が叶わないと知った日。実は、私たち家族の話し合いは色々な課題があり、まとまっていなかったので、それは率直に伝えていました。なので、ある程度予想はしていました。それでも実際に通知が来てみて…。大きく落胆するかと思った自分は、意外と落ち着いていましたフォーカスすることを切り替えることができたのです

希望する学校に入れなかったことは本当に残念ですが、それより大切なものは何だろうと考えたのです。それは家族との対話なのかもしれません。

イエナプランが教えてくれること。このnoteを書くために中川綾さんの本を手元に用意したら、帯のうしろにこんなことが書いてありました。

学校は、ひとりでつくることはできません。あなたの隣には誰がいて、あなたはその人を大切にしているでしょうか。分かり合おうとしているでしょうか。諦めずに対話をしようとしているでしょうか。そうずっと問いかけ続けてくれるのが、イエナプランのコンセプトなのだと私は思います。


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