こころのこえ

今日も一日が終わった。

対して大きな代わり映えのしない一日ではあったが、後付けの言い訳かの様に溜まっていた洗濯物を干した自分へのご褒美として冷蔵庫でキンキンに冷えたビールをすきっ腹に流し込む。「くぅー」意識はなくとも勝手に声が出る。自分がまだ子どものころ親がお酒を飲むときにこういった声を出しているところを何度も見たことがあったが、ずっと故意的に声を出している思っていたし普段無口な親父がいきなり大きな声を出すこの儀式が嫌いだったが、今になってようやくこの行為の意味が少しわかったような気がする。とはいえ親とはもう、かれこれ一年は連絡を取っていない。喧嘩してついカッとなった俺はもう実家には帰らないと言ってしまったのだ。原因は俺が芸術系の仕事に就くといったことからだった。確かに今考えてみれば、高い学費を出して大学に通わせていた親からしてみたらたまったもんじゃない。しかも法学部。優柔不断な性格の俺はいつか芸術系の大学に、と考えていたらいつの間にか就活の時期になっていた。四年なんて長いようですごく短い。そう何度も自分に言い聞かせはしたものの恋愛に関しては違う。大学一年の頃から付き合っていた理沙とはつい一週間前に別れた。これに関してはこれからもずっと続くものだと思っていたし去年から同棲もしていたし結婚のことまで少しは視野に入れていた。理沙のいなくなった一人には広すぎる部屋の窓から理沙が育てていたミントの葉っぱがちらりと見える。また明日にでも処分するか。と思っていたら、インターフォンが鳴った。今は夜中の12:00を少し過ぎたところだ。理沙がミントを取りに戻ってきたのかもと淡い期待を抱きながら玄関を開けるとそこにはだれもおらず、なんだいたずら?と思いながら周りを見渡そうと戸を大きく開けると足元に置かれた小さめの段ボール。今の配達員は不親切だなと思いながらも頼んだ覚えはないと思いながら理沙が頼んだものだろうと思い一昨日買ったロープの空き箱の上に重ねる。しかしよく見ると宛先は自分になっている。すこし不思議に思いながらも無料でもらえるものならもらっておこうと思いキッチンにあったハサミで段ボールを開けてゆく

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