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留萌で乗客がどっと降り列車のなかは4~5人となった。 白波がたつ日本海沿いの停車場ごとにひとり、ふたりと客が消える。 夕暮れどき、雪がはげしく舞いあがる無人の終着駅・増毛にたどりつく。 降りたのは、おばあちゃんと僕のふたりであった。 今から10年まえであった。 氷点下12度。 2月の町は雪に埋もれていた。 いつもの倍も積もったという。 昭和8年築の観光案内所は閉まっていたが、 雑貨、寿司屋の明かりがぽつりぽつり。 雪道に足をとられ歩きつづけると、 凍えた手先と足の指
「8月16日、開陽台で満月を見よう」 バイク仲間がたむろする喫茶店に張り紙があった 「東の空に月が浮かんでいた 全くの真円 満月だった 約束の夜の、フルムーンだった 満月の照り輝く空の下に、根釧台地がひろがっていた・・・ 息をひそめた大平原があった・・・ フェリーで知り合った男2人と女1人が 北海道をツーリングする青春バイク小説 『振り返れば地平線』 作者は舞台となった道東の中標津に仕事場をかまえる 直木賞作家・佐々木譲 10年ほどまえの晩秋 小高い丘にたつ中標津・