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港町・函館 今と昔

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天然の良港をいだく函館。 高田屋嘉兵衛の千石船が出入りし、ペリー提督が水と薪をもとめて開港をせまり、戊辰戦争では榎本武揚の艦隊が官軍と交戦するなど歴史を刻んできた。 開港160年…
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#土方歳三

今宵最後、中島三郎助の宴 

幕末、ペリー提督が 上陸した沖之口番所跡を背に、 弥生坂の急な坂を登りつめた坂上で 振りかえると、 眼下に港がひろがる。 ここが幕末箱館随一の名園 といわれた咬菜園の跡。 旧幕府軍が本陣をおいた 基坂上の旧箱館奉行所からほど近い この名園は、榎本武揚政権が生まれ、 官軍が攻めのぼるまでは、 戦闘もなく平穏な日々で、 つかの間の清遊の場であった。 箱館市中取締役の土方歳三も 句会に参じている。 1869(明治2)年3月4日。 新政府による旧幕府軍への追討令が下って 官

幻の岩海苔

一口食べると磯の香がひろがる。 さらに二段重ねて口にいれると美味い! 箸がすすむ、すすむ。 弁当ひとつ、一気に食べてしまった。 松前「海苔だんだん弁当」。 函館から車で西へ 2 時間ほどの津軽海峡の町・松前。 冬、寒風の下、漁師のおかみさんたちが、荒波に洗われた岩場で岩海苔をひとつひとつ手で摘み、すだれで天日干しに。 量が少なく、地元で食べられてしまうので、“幻の岩海苔”といわれる。 そのなかでも 1~2 月に採れる海苔は味がよく、“寒海苔”として珍重される。 老舗