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よさこい:人生の半分を費やす価値のある趣味⑪ ~原点~

地方車が完成し、いよいよ空~Qou~の高知での演舞が始まりました。

いよいよ始まるんだ!

体の疲れが取れないまま、10日の朝、豊橋からくるバス組を迎えるために、宿へと向かいました。
高知の場合は、長距離移動のため、到着してからの着替えや、メイクといった準備が必要で、そのために宿泊先の宿に頼んで、朝から場所をお借りしました。
8時過ぎについたバス組のメンバーも、長距離の移動で、疲労が感じられました。
宿を出るのは11時ごろなので、少しゆっくりしてもらい、その間に僕は、段取りを確認しました。
この年、右も左もわからない空~Qou~の高知デビューを助けてくれたのは、高知でも演舞経験のある
元「よさこい炎舞連神陽~sin~」の代表・レオ君
でした。
彼とは古い付き合いで、もうかれこれ16年近くになります。

この年、彼がナビゲーターを引き受けてくれたおかげで、空~Qou~は非常にスムーズに楽しく高知のよさこいを踊れたのは言うまでもありません。


ナビゲーターの仕事

高知よさこいがほかのイベントと大きく違うところが、いわゆるタイムテーブルがありません。
これが、慣れないうちは大変です。

どういうことかというと、各会場の受付に直接行ってエントリーを行う。
その時点で待ち時間が決まります。
各会場の待ち時間や現在踊っているチームなどはネットのサービスを使って確認できます。
なので、ナビゲーターは、その情報を見ながら、今踊っている会場の場所など考え、次に踊る会場を考え、チームを誘導します。
これが、とてもセンスのいる作業で、ネットの情報と経験でいかにうまく回れるかが決まります。
初出場の空~Qou~は、彼がいなかったら、半分ぐらいしか回れなかったかもしれません。
さらには、知り合いのチームと連絡を取りながら情報を得ることでよりリアルな状況を確認でき、さらには協力して会場を盛り上げることができます。

チームが演舞をしているときは、前のチームとの距離や、後ろが詰まっていないかの確認、前後のチームとのやり取りを行いながら、スムーズな進行をサポートします。
地方車に指示を出しながら音量の調整をしたり、場合によっては踊り子の様子までも見てくれています。
時には、前のチームの地方車まで行って、もう少し進むよう話をしたりもします。
ナビゲーターが優秀か否かによって、高知よさこいの満足度はかなり変わるのではないでしょうか?
レオ君には今でも感謝してます!!


タイムテーブルがないメリット・デメリット

前述にもあるように、高知よさこいはタイムテーブルがありません。
「どこいこサービス」というネットの情報サイトがありますが、これを見ない限り、その会場で次にどのチームが踊るのかが、わからないのです。

どこいこサービス
https://dokoiko.tosanonatsu.com/

メリットは、参加者側のペースで回れることです。
子供が多いチームや、高齢の方が多いチームは、ゆっくりとほどほどに、夜も早めに切り上げることができます。
ガンガン踊りたいチームは、夜の10時まで祭りが開催されているので、めいいっぱい踊ることもできます。
また、自由エントリーなので、好きな会場を何度も踊ることができます。
まあ、高知はどの会場も楽しいので、選べませんが。
すいている会場というのもどうしてもあるので、そこを何度もエントリーすることで、回数をたくさん踊ることもできます。
僕は、このシステムがすごく好きですね!!

デメリットは、自分たちで考えてエントリーしなくてはならないこと。
タイムテーブルがないので

「次は○○に〇〇集合でお願いします。それまで、解散」

みたいなことが、なかなかできないということです。
また、一日どれぐらい踊るかわからないというのもあります。
そのあたりは、エントリーで調整できるんですけどね。
空~Qou~は高知一年目から、できるだけ踊りたいという気持ちで回りましたけどね。
あとは、人気のある会場は待ち時間が長くなるということ。
距離が短くて回転が悪い会場が人気だったりするので、うまく回れないと踊れないこともあります。

このシステム、僕はメリットのほうが大きいと思います。
ただ、普通のイベントでこれをやろうと思うと、難しいですね。
流し踊りがメインであること、地方車を用意することなどの条件がそろわないと、高知ほど回数踊れないし、スムーズにできないと思います。
以前、名古屋でやっていた「よさこい夢まつり」がこの形式をとっていましたね。

実は地元の豊橋祭りでも、3年前から、審査演舞以外は自由エントリーのシステムを取り入れたのですが、会場数の少なさ、時間の短さで、なかなかうまくいってない感じがします。すべてステージ形式でしたしね。
また、チームによってはタイムテーブルがあったほうが楽という意見はよく聞きます。


地元商店街を踊る

高知よさこいは、ほとんどが流し踊り(パレード形式の演舞)です。
15~16ある会場の中で、ステージ形式の会場は2か所だけです。
また、流し踊りの多くが商店街などです。
なので、道幅は2車線分、両サイドの歩道も広くない会場が多く、そこに観客の方が、ぎっしりといて、踊り子と観客の距離はすごく近いです。
その臨場感がたまらなく楽しいんです。
観客の皆さんは、暑い中、自分ではなく、踊り子に向けてうちわを仰いでくれたり、時にはビールを差し出してくれたりと、ほんとに温かく演舞を見てくれています。
「あ~、これが祭りの原点だなぁ」
と感じることのできるお祭りですね。

会場ごとに、踊り子に個人賞のメダルが配られます。
一つの会場で数人ですが、もらうことができ、会場ごとに様々なデザインがあるので、踊り子たちはこれを目指して踊ります。
空~Qou~は人数が少ないので、二日間でだいたい全員が1つはもらえるんですけどね。
その分、会場もたくさん回っています。
中には2個3個ともらえる踊り子もいます。
こういった賞があると、踊り子にとっては励みになりますよね。

この個人賞のメダル、面白いのが、演舞をしている最中に、スタッフの方が、かけてくれたり、呼び止められてもらいに行ったりするんです。
演舞中にですよ(笑)
なかなか普通の祭りでは想像できないですよね。
僕はいつも、地方車の上からその様子をみて
「おっ、今○○がもらったな!よかった、よかった」
なんて思っています。
二日目の終盤、まだもらっていないメンバーがいたりして、ここでもらえるかな?とかずっと気にしてMCしてます。


バスが通るよ!

これは、なかなか見たことがないと想像ができないと思いますが、演舞を流している途中で、会場によっては、バスが通ります。
何言ってるかよくわからないですよね。
流し踊りをする会場は、当たり前ですが、通行止めになってます。
なので、自動車は通りません。
ですが、路線バスは通常通り運航しているので、商店街の中を通ります。
その時、踊り子は片方の車線によってやり過ごします。
これが、慣れてないと、踊りを辞めてしまい、片側によって、バスが通り過ぎたらまた、踊りだすという感じになるのですが、うまいチームですと、まるで、もともとそういう隊列移動かと思うぐらいきれいに踊り子が寄って、きれいに元に戻るんです。
きっと、こういう練習も普段からしているんでしょうね!
空~Qou~は最初に出た年に、これが結構苦戦し、バスが来てるのになかなかよらない踊り子がいたり、通り過ぎた後も戻れなかったりしました。

実際、僕は踊り子としてそれを経験したことがないですが、バス側の人は、すぐ横を走り抜けていくので怖かったのではないかと思います。

楽しすぎた二日間

初めて参加した高知よさこい祭りでしたが、もう楽しすぎましたね。
踊り子もみんな、歓喜にあふれていました。
二日間で踊った回数でいうと
なんと40回!
祭りは夜10時までやっているのですが、空~Qou~は、一日目、夜7時には食事の都合で宿に戻ったので、少し時間が短かったです。
ですが、その中でこれだけの回数演舞できたのはほんとにすごいことだと思います。
メンバーも、こんなに踊った経験はないです。
疲れきって夜の宴席もどうかなと思いましたが、テンションがみんな上がって宴席も盛り上がりました。

僕は、高知よさこいに参加したことで、強く思ったことがあります。
実は、高知に行くまでの数年(8年目~10年目)ぐらいの間、空~Qou~の活動を「よさこい」というのをやめていました。
よくわかってはなかったのですが、なんとなく
自分たちがやっているのはよさこいではない
という思いが芽生えていました。
自分たちのことを「よさこいチーム」というのもやめました。

それは、鳴子をしっかり鳴らしているわけでもないし、前に進む踊りをやっているわけでもないということ、ましてや高知のよさこいで踊ったこともない。
そういうことが重なって、そんな思いになったのではないかと思います。
もちろん、これは勝手な僕の思いなので、高知よさこいに参加したことがなくてもよさこいをやってるチームはたくさんいます。

よさこいってなに?

これを言い出すと、また長くなるので、今はやめますが、僕は高知よさこいに参加してみて

『ああ!これこそがよさこいなんだ!!!』

と実感しました。
2015年以降、空~Qou~の演舞は、やっとよさこいといえると僕は思っています。(他から見たらわかりませんが…)
そういうつもりで演舞を作っています。
それに、僕はやっぱりパレード形式の演舞のほうが好きです。
鳴子の音が好きです。
よさこい節が好きです。

2020年の高知よさこい祭りは新型コロナの影響で中止となってしまいました。
本当に残念です…

今回は高知よさこいの紹介を中心に書かせていただきました。
次回は「空~Qou~・高知よさこい2年目の夏」をお送りします。

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