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戦争、映画、演劇

映画「オッペンハイマー」が
注目を集めている。
核実験や原爆を題材にした映画だからだ。

被爆国として国内で
上映するか否か慎重な判断をしたという。

被爆国として、
心を痛める人がいる可能性もある。
だから、慎重になったようなことが、
ワイドショーから聞こえてきた。

むしろ、逆ではないか、と思う。
被爆国として、
原爆に関する恐ろしさを、
世界に発信受信し続け、
次世代にも伝え続ける必要がある。

そうでなければ、
また記憶が薄れ、
繰り返してしまう可能性があるからだ。

いま、世界で「戦争」は
進行形の社会課題となった。

そんな時代の中で、
こまつ座では、
戦争を題材にした、
多くの作品を上演し続けている。

明日4月6日より開演する
「夢の泪」もそのひとつだ。

戦後の東京裁判を描いた作品。
「戦争」や「戦後」が、過去のものではなく、
いまの時代に響く言葉にあふれた作品になっている。

混沌とした時代。
何もかも不穏な時代。

「戦争」はもちろん、
「政治」からも「社会」からも、
世の中の嫌な部分から、
逃げ込んでばかりではいられない。

しっかりと知り、
しっかりと伝えていかなければいけない。

そのためにも、
戦争の恐ろしさ、人間の愚かさを、
演劇で心に刻み込むのは、
とても大切なことのように思える。

こまつ座作品で、
「木の上の軍隊」という作品がある。
エンディングは真っ暗闇の中、
戦闘機の爆音で終わりを迎える。

その音があまりにも大きくて、
一度、こまつ座の方と話したことがある。

「最後の音の迫力すごいですね」
「演出家の先生は、
 もっと大きくしたがってました。
 でも、劇場の都合であれが限界でした」
「え?そうなんですか?
 十分、大きかったですよ。
 心が窮屈になるくらい」

「でもね。沖縄で聞いた、
 本当の戦闘機の音は、
 この何倍も大きいんです。
 だから、それを再現したかったんです」

そう言われて、ハッとしたのを覚えてる。

「夢の泪」でも、
いま、この時代を生きる人々にとって、
ハッと気づかされることが、
たくさん泪と共に、
脈々と流れているに違いない。

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