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【考察メモ】村上春樹 新作短編『夏帆』

村上春樹さんの新作短編『夏帆』が新潮創刊120周年記念号に掲載された。 この作品は雑誌掲載に先んじて早稲田大学で行われた「春のみみずく朗読会」で村上春樹さん本人の朗読によって初披露された。私も朗読会で本作を耳で味わった。 雑誌掲載版を改めて読むと、多少の差異が朗読版との間にあるように思う。いずれもディティールの違い程度であり、さらに(朗読会は録音禁止だったので)私の記憶が正しければ、だが。 活字に起こされた『夏帆』を読み、村上主義者として気になった点や考えておきたい点がい

    • 映画『NOPE』感想・小ネタ(ネタバレあり)

      40分前に劇場で見てきて、興奮冷めやらぬ中書いています。ネットの情報を一切入れない状態で書いているので見当違いな解釈や思い込み多めかも。気づいた人はコメントください。必要に応じて修正・追記予定です。 ネタバレされたくない方は鑑賞後にお読みください。 現代人は視線の持つ力を軽んじすぎないか?古来、視線とは重要な意味を持っていた。「邪視」という言葉に表されるように、視線にはなんらか呪術的な力がこもり、見られるだけで呪われることを恐れていた時代もあった。また、眼球の仕組みが解剖

    【考察メモ】村上春樹 新作短編『夏帆』