見出し画像

選手引退後の3つの仕事 1.調達

コーチはどんな仕事をしてる? 教え子から2番目に多い質問です。

スポーツをやってた学生のほとんどが、ふとしたタイミングで、スポーツ以外で、自分に合う仕事って?と考えることがあると思います。そんなタイミングで、このブログに目を通した時に、一つでも一人でも役に立てれば良いなと思います。

今回は、私の思う結論から言います。自分に合う仕事とは、自分の情熱と強みを活かせる仕事だと思います。

そうなると、次の疑問は、長年、野球(スポーツ)の技術や知識、スキルを磨き続けてきたんですよね?野球(スポーツ)を辞めて、私(自分)に何が残るの?です。私も野球を辞めた時に全て失ったと思いました。

2004年秋、大阪ドームで行われた社会人野球日本選手権大会。野球選手として最期の打席で、初球のボールになるフォークボールをセカンドゴロ。一塁ベースに走っている間、大学時代の監督に同じようなシーンで怒られた記憶が走馬灯のように思い出し、一つの(野球)人生が終わったと思いました。

でも、みんな、スポーツを続けてきたことで、スポーツの技術や知識、スキルだけでなく、他にも色んなことを学び、身につけています。

社会人野球選手も私のキャリア(仕事)の1つですが、今回はアスリートのセカンドキャリア視点のブログなので、野球以外のキャリアを、なるべく分かりやすく説明し、その時に感じたスポーツを通じて身につけていた自分の強みについて話したいと思います。

調達・購買の仕事

私の最初のキャリアは、工場の調達、もしくは、購買と呼ばれる部門での仕事でした。分かりやすく言うと、商品を作るために材料や部品を購入する仕事です。

仕事の内容を大きく3つに分解すると、
 ・購入先を選び、購入価格を決める契約担当
 ・購入した材料の運ぶ方法を決める調達担当
 ・購入した材料の在庫を管理して製造に渡す管理担当

があり、私は契約担当でした。契約担当は、購入先営業部門との価格交渉が主な仕事で、対人折衝力が必要とされる仕事です。基本取引契約や売買契約を扱い、それらの契約に関する法律を勉強しました。

加えて、当時は、イタコナという、部品を板と粉レベルにまで分解してコストがいくらまで掛かっているのかと、理想原価を調べることもしていました。

また、開発購買という仕事も担当。開発技術者と一緒に新しい部品や材料、新規購入先まで開発をしました。生産技術者とは、いかにスムーズに購入先から当社の製造へ繋ぐのかの検討や、備品・消耗材の管理や効率化などを議論、工場や部門を超えて意見交換をし、MRO(Maintainance, Repair and Operation)調達システムを導入しました。

この環境は、パナソニックのイロハを知りたい私にとってスタートする最適な場所だったように思います。工場はモノづくりの会社の縮図であり、開発・製造・販売の原点

技術が開発して、調達がサプライヤーの営業から購入、製造が商品を作り、マーケティング・営業が販売するビジネスの一連の流れを学ぶことが出来ました。


仕事への不安とスポーツ選手の強み

冒頭で話した通り、野球を辞めた時に全てを失ったと思っていました。

なので、まず、一緒に働く上司、先輩、同僚が、スポーツではなく学力で有名名門大学出身者ばかりで、こんな皆さんとの仕事ついていけるのか?と不安になりました。

次に、同じ野球部はもちろん、バレーボール部、バスケットボール部などの体育会系メンバーと過ごしてきた日々(寮)から離れ、違う場所に足を踏み出すことによる不安と期待でした。

大阪・門真にあるデバイス工場の調達担当だったので、本社調達本部の調達スペシャリストはもちろん、日頃やりとりするのは、超優秀な技術のお兄ちゃんと、製造現場叩き上げの大阪のおっちゃん、経理・人事のお姉さん。
また、契約担当だった私の交渉相手は社外の営業部門など。一流部品メーカーの優秀営業マンや大阪下町にある町工場の社長さんでした。


この不安から脱出できた理由の一つは、門真工場の調達責任者、当時の上司でした。上司は、ガンバ大阪の前身 元松下電器サッカー部出身でした。

優しい上司で、仕事を一から教えて貰いました。上司が社内外で、状況や相手に合わせたコミュニケーションを立ち振る舞う姿を見て勉強しました。
スポーツ選手の強みを活かしていること、スポーツ選手出身社員が結果を出していること、全てが励みになりました。

自分なりに周りとの関係を構築していく中で、色んな職能や社外関係先をまとめるために役立つスキルが欲しいと思い、システム部門向けの社内研修にあったプロジェクトマネジメント研修を、上司にお願いをして受講させて貰いました。
(私が受講したのはeラーニングではなかったですが下記リンクご参照)

結果的に、プロジェクトマネジメント・スペシャリストの資格を取得する事が出来ました。

私にとっては、企業スポーツ部出身の先輩が上司であるという最高の環境でパナソニック 社員として仕事を始めることが出来ました。


以前のブログで少し紹介しましたが、当社の野球部を引退した選手が就く仕事の上位が、人事・総務、営業・セールス、調達・購買だったと記憶しています。

私が、スポーツ選手がこれらの職能に向いていると思う理由は、スポーツ選手には、目標達成推進力、チームワーク、リーダーシップ、対人関係構築力、フェアプレー精神、忍耐力などのソフトスキルが叩き込まれているからです。これらのソフトスキルはスポーツ選手の強みです。

そして、先に挙げた仕事は人と人との繋がりが重要な仕事で、いわゆるコミュニケーション力が必要とされるからです。


話を戻しますと、色んな職能が集まる工場だから、自分の存在価値を見いだすことが出来ました。これが職能スペシャリストの中でスタートしていたら、もしかしたら違う意思決定をして、違う人生だったかも知れません。

こんな色んな職能からバラエティー溢れる皆さんと共に働く場所では、特にソフトスキルが重要だったのだと思います。


私なりの結論と次のステージへの想い

調達職能の契約担当として、契約交渉、イタコナや開発購買をする中で、私は1つの結論を出しました。調達職能の究極の姿は、技術者が調達をすること。これは今となっては半分正解、半分不正解かも知れませんが、当時の私の結論でした。

私は、調達・購買の仕事を購入先との対人折衝、技術や製造とのコミュニケーションなど、やりがいがある仕事だと思っていました。

一方、この職能での自分の将来性について疑問を持つようになりました。というのも、技術者・開発者と同じレベルにまで到達は困難だと思いました。突き詰めるまで掘り下げて勉強する情熱が持てなかったのだと思います。


元サッカー部の上司には、スポーツビジネスへの情熱は事あるごとに相談していましたが、この結論にたどり着いてからは、より一層強く想うようになりました。

野球部時代から調べていたシステム部門の米国スポーツビジネスの他に、オリンピックパートナーシップを担当する部署をオープンチャレンジという社内募集制度で知りました。

友達のツテで、担当部署の方に会って頂き、話を聞き、より一層、そのチームで働きたいと思うようになりました。続きは次回、Part 2で。

まとめ
・スポーツ選手の強みはソフトスキル
・次の強み(武器)を身につける
・第2の人生の情熱を見つける

みんなも、自分の情熱と強みを活かせる仕事を見つけて欲しいと思います。

スポーツが大好きな次世代のために



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?