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Twitter Notes の衝撃と疑問 - クリエイタープラットフォームへの道のりはまだ遠い?

Twitter Notes という機能が 2022 年の 6/23 に発表された。

なにができるようになるのか

公式の GIF 画像や報道によれば、

  • 2,500 文字まで書ける

  • 画像、ツイートを挿入できる

  • 投稿した Note はタイムラインにシェアされる

Twiter から note やその他プラットフォームに遷移することなく、Twitter で長文が直接シェアできるようになれば、特に読み手にとってはひと手間が減って便利だろう。

これまで 1,000 文字 〜 2,000 文字程度の note をコンスタントに書くようなクリエイターなどにはかなり刺さる機能ではないかと思う。

ちなみにこの記事は2800文字程度だ。少し削れば十分 Twitter Notes に書ける内容である。

日本では使えなさそう(投稿日時点)

今日時点では日本では使えないようだ。少なくとも筆者もリンクをクリックしても正常に機能しない。

「ライターのための Twitter」

140 文字の制限を(日本語は対象外だが) 280 文字に緩和する時点でも驚きをもって迎えられたのがかつての Twitter だった。いま調べたがそれは 2017 年のことらしい。

そんな Twitter だから長文記事の投稿、という方針転換は驚くべきことだと思う。しかし、振り返って考えればその経緯はそこまで突飛なものでもない。

Twitter とニュースレター

Twitter はかつて、ニュースレターサービス Revue (オランダの会社)を買収した。筆者も 1 年近く使っていたことがある

Revue と Twitter の連携としては、ニュースレターのリンクを貼ればタイムラインのツイートからニュースレターの購読ができる、Twitter のプロフィールに購読ボタンを配置できる、Revue のニュースレターに自分のツイートなどを貼るのが簡単といった連携がある。

しかし、それらはニュースレターサービスの競合 Substack を打ち負かすほどの強さはなく、結局ニュースレターは Substack で始める人が多い印象だ。

ニュースレターをやる理由

ところでなぜニュースレターを発展させたいのかといえば、身も蓋もないことを言うと儲ける道筋のひとつになると思っているからではないかと思う。

ニュースレターのサブスクリプションは、人によるがざっくり月1,000~2,000 円のサブスクリプションを契約するような形になる。もしひとりのクリエイターに 100 人の購読者がつけば、売上は月10万になる、という肌感だ。もし 1,000 人つけばニュースレターだけで暮らせるだろう。

普通に考えれば 10 人にサポートしてもらえるニュースレターを作るのでさえ大変だと思うけれど。

で、ニュースレターサービス提供者側は手数料ビジネス(Revue の場合は 5%)なので、1,000 円のニュースレター購読者がひとり増えると 50 円が Twitter に入る計算になる。

Substack の全ライターが年間 3,000 万ドルという推定があるので(下記記事参考)、1ヶ月にすると 250 万ドルの収入があると考えればプラットフォーム側の収入はその手数料。Substack は 10 %(+ α) の手数料なので年間月間 25 万ドル(1ドル 125 円で考えて約 3,000 万円)の売り上げとなる。もし仮に Revue で同じ額を動かすことができたら、手数料 5% であっても半分の 12.5 万ドルが毎月の収入になる。

この記事ではこれ以上深追いしないが、ニュースレター関連の詳細な計算を知りたければぜひこちらを。

Twitter Write

さて、この Notes 機能は Revue が担当するもののようだ。今回で Revue もリブランドし、Twitter Wrirte という概念の一部になるらしい。Twitter Write そのものは公式アカウントの bio に

Building a new home for writers on Twitter.

Revue + Notes, now a part of @TwitterWrite.
https://twitter.com/TwitterWrite

とあるので、Revue (ニュースレター)と Notes 機能を含んだ Twitter のライター向け機能を重点的に担っていくことになるのだろう。

Twitter がライター向けの施策を増やし、ライター向けのプラットフォームになり、そして Twitter がそれで稼ぐことができる未来を目指す。この Notes 機能はその施策の一環なのではと思う。

Twitter の利益になるのか?

一方で、Twitter の利益に本当になるのか?という疑念もまた拭えない。おそらく 2,500 文字という文字数は有料のサブスクリプションへの呼水だろう。

結局その呼水と Revue を連携できなければ Twitter に手数料は入らないわけだし、別に Substack でニュースレターをやっている人が Notes を使って Substack に集客してもいいわけで。

ここ数年、Twitter はクリエイターエコノミーとして機能追加や買収を熱心にやってきた。ニュースレターはもちろん、有料の Twitter Space の開催機能や Tip Jar などの投げ銭機能などもそうだ。

しかし、全体的にまだ Twitter がクリエイターのための空間になっている感じがしない。今後もなるのかどうか、さっぱりわからない。

まとめ

  • 今まで短文しか投稿できなかったTwitterに長文(2,500文字以内)が投稿できるようになる

    • ニュースレターサービスを含めたライターのための機能のひとつ

  • ニュースレターサービスを開発していた Revue の開発によるもの

  • Twitter はライターに限らず、クリエイターのための機能を拡充していてその一環だと思われる

Elon Musk の買収騒動もあって話題になっているので知っている人も多いと思うが、Twitter ははっきり言って儲かっていない。ユーザー数が少なすぎて話にならないと広告出稿者から見離されているレベルだ。

昨年には TikTok も MAU 10 億人を達成したのに Twitter は MAU 4 億程度であると推計がある。TikTok の半分以下のユーザー数しかいない。

ちなみに Instagram がユーザー数 10 億を達成したのが 2018 年、Facebook は 2012 年だ。

果たして Elon や Twitter Notes などの新施策は Twitter の救世主になるのか?それともこのまま現状維持という緩やかな衰退を続けるのか?

まだまだ道のりは長い。


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