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昔の教え子が医学部に合格したと聞いて

私は、ロースクール修了後、司法試験に合格し司法修習生となるまでの間、東京・町田の個別指導塾で働いていました。

最初は、単なる講師でしたが、いつの間にか(もちろんねんきん定期便等を見れば正確な時期は特定できますが)正社員になり、副校長として校舎運営や講師の育成に従事していました。

とはいえ、私も、直接、生徒を指導することがありました。

東大の英語対策をしてほしい。2か月後の中学入試に間に合わせるために社会を徹底的に教え込んでほしい。早慶付属校など難関私立高校の英語や国語を合格水準にするため、残り3か月の間でどうにかしてほしい。

私に出番が回ってくるのは、こういう、学生のアルバイト講師では対応の難しい案件でした。

今年は、2015年に中学受験に挑戦した人たちが大学受験をする年でした。

先日、そのときの元教え子のうちの1人が、有名私大医学部に合格したと知りました。

受験の数か月前の秋に入塾した生徒でしたが、難関校受験に間に合わせたいという要望を受け、特別にチームをつくって対応した案件でした。社会は、私が教えました。

2015年は、いわゆるサンデーショックの年で、どのように受験校を選定するのかが悩ましい年でした。

通常、東京・神奈川の難関私立校の試験は2月1日に行われるのですが、2015年は、2月1日が日曜日のため、一部のキリスト教系の学校の試験日が2月2日に変更となりました。そのため、通常では併願できない難関校を併願でき、2番手、3番手の学校の倍率も例年と変わるので、受験生に有利にも不利にも働くこととなります。

これを、業界では、サンデーショックといいます。

彼女は、そのような例年と異なるイレギュラーな状況でも、自分が行きたいと思った学校に合格しました。そして、この度、コロナ禍というさらにイレギュラーな受験環境の中でも、有名私大医学部の合格を決め、入学したとのことです。

彼女の受ける学校は、全て私が応援に行きました。2月の初旬、雪が舞い散る中、応援に行ったこともありました。それだけ深く関わっていただけに、今回の知らせは大変うれしいものです。

環境の変化に適応しつつ、限られた時間の中で結果を出すには、自分ではコントロールすることができないところを明らかにし、それを前提に、結果を出すための準備をするしかありません。

自分ではコントロールすることのできないことを前提条件として、その中で、自分でコントロールできるところに注力し、入念に準備をし、最善の結果を出す。

彼女はそれができたのでしょう。

6年ほど前、彼女を含め多くの生徒たちが目標に向けて懸命に頑張る姿を見て、自分も司法試験で結果を出さなければ、と感じました。

元ラグビー日本代表のヘッドコーチのエディ・ジョーンズ氏は、かつて、成功は準備がすべてであり、勝つためには、準備をしなければならないと言っていました。

そして、欠点を欠点ととらえるか、ただの条件と考えるかが、勝利や成功への大きな分かれ目になる、とも言っています。

司法試験や受験指導を通じて、私はこのことを痛感しました。

自分で制御することのできないことは前提条件として受け入れ、その前提条件や制約の中で、自分でコントロールできるところに注力し、入念な準備をし、最善の結果を出す。

受験でもビジネスでも大事なことです。

元教え子が医学部に合格したとの知らせは、大変嬉しいものです。今後、彼女が研鑽を重ね、第一線で活躍する医師となってくれることを願ってやみません。

ちなみに、冒頭の写真は、とある年の受験生へのメッセージです。 Il faut cultiver notre jardin.


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