バンコク – 気分は引っ越しだー(その5)
諸行は無常である。
今のアパートは、来タイして6年間も住んだ。
5年間も良いハウスキーパーに恵まれて気持ちよく暮らせた。
今頃気づいた。
1日も手を抜いた掃除をしたことのないビルマ人夫婦だった。いらないお節介も一切ない。感謝。
その夫婦もコロナでミャンマーに帰国した。
そして、7ヶ月前、流れ者、犯罪者のような風体のハウスキーパーがやってきた。
はじめの2ヶ月はちゃんと仕事をしていたが、大家はアパートにはほとんどいない。家賃集金の月末と月初だけいる。なので、だんだん手を抜くようになった。
それからしばらくたつと、今度は、自分の気に入らないことがあると怒鳴るようになり、ヤクザの本性をあらわした。
流石に7ヶ月たって、たまりかねて大家に一部始終を報告したら、ヤクザは次の日からガラッと変わった。
・通りすがりにニコッと笑い、サワディーカーと元気に挨拶
・廊下の掃除がいきなり丁寧になった
・仕事なんかしなくても良い朝早くに(音を立てて、仕事しているぞとデモンストレーションしながら)清掃作業を始めてみせる
ちょっと無視してみた。すると、
・通りすがりに睨むつけるようになった
・また掃除の手抜きを始めた
・ぼくに作業をしているかしていないか様子がわからないように、ぼくの部屋の前を掃除するときは、音を立てないようにひっそりとなった。(でも以前のハウスキーパーが作業が丁寧だったので、掃除後をみたらすぐに手抜き具合がわかるようになってしまった!)
案の定だ。陰険なヤクザ。相手にしないほうが良い。数ヶ月前に思った通りの人間だった。関わらない方が良い。本性をあらわし始めていろいろなことが起こったが、あまりイラつかせると、次は何をされるかわからない。用心に越したことはない。
あと23日でアパート撤退。
それまでヤクザには十分に気をつけて、ここでの生活をフィニッシュしたい。
飛ぶ鳥跡を濁さず。
諸行は無常である。そのことを胸に秘めて。
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