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算定基礎届での年間平均の報酬で算定する特例

おはようございます☀
暑い日が続きますね。室内でも熱中症には気を付けてくださいね。
そして気温が高くなるにつれて、提出期限が迫ってくるのが
「労働保険の年度更新」
「社会保険の算定基礎届」
ですよね

今回は、その内の「社会保険の算定基礎届」
健康保険・厚生年金保険の保険料や保険給付の額の基礎となる標準報酬月額の定時決定についてです。

まずは原則的な所から___
7月1日現在の被保険者に、その年の4月、5月、6月に支給した報酬(給与)について、事業主からの届出により行われるのが、算定基礎届です___

ですが、この方法では、季節的な業務の繁閑で、4月~6月の平均の報酬が他の月の水準よりも高い場合、不都合が生じる可能性があります。

原則通り、通常の方法で平均の報酬で算出すると
・4月~6月の給与が繁忙期の場合・・・残業代等が多く支払われることによって通常よりも報酬が高くなり、それが保険料にも反映されることになってしまいます。高い保険料を1年間払わなければいけなくなるわけです。
・4月~6月の給与が閑散期の場合・・・日給者や時給者の場合、この時期だけ報酬が少なく、それが保険料に反映されます。一見すると前者と比べて保険料が安くなるから良さそうに見えますが、デメリットもあります。
仕事以外の理由でケガや病気をした時に受けられる可能性のある「傷病手当金」これは適用されている標準報酬月額を基に受給額を計算します。つまり、安い金額でしか受給できない可能性があるということです。
他には将来的に受ける老齢厚生年金の受給額も少なくなる可能性があります。

このように不都合が生じる可能性があるので、次のような特例を設けています。

申し立てをすることによって、1年平均の報酬をもとに算定する「年間平均」の特例

次の要件をいずれも満たす場合は、年間平均による算定の申出ができる可能性があります。

①「4,5,6月の給与の平均額から算出した標準報酬月額」と「前年の7月から当年の6月までの給与の平均額から算出した標準報酬月額」に2等級以上の差が生じたこと(算出した平均額が標準報酬月額の上・下限にかかる範囲の場合は1等級でも対象となる場合があります)

②その差が業務の性質上例年発生することが見込まれること

③(年間平均による算定を申し出ることに)被保険者が同意していること

年間平均で算定することの申し立てに被保険者の同意が必要なのは、適用された標準報酬月額が、保険料だけではなく将来の年金の額に反映されるためでもあります。

今回、上記のような事例があったので、特例を適用しようと考えていた事業所があったのですが、特例を適用できない事例がありましたので、併せてご紹介します。

・繁忙期は例年2月~5月
・給与は当月払い

このような事業所で、該当すると考えていた従業員さんは次のような方でした。

・事業所の繁閑に影響する職種
・今年の3月に資格取得
・日給者

この場合、今年の3月に資格取得をしているので、1年間の平均で報酬を算定することができません。
繁忙期に入ってから資格を取得しているので、原則通り算定すると資格取得時の報酬よりも2等級以上上がってしまいます。

そこで、年金事務所に確認をしたところ、次のような回答でした。

・特例は、あくまで1年間の平均で算定される方に限っている
・上記以外の特例はない
・よって、特例を適用する場合は、給与支払い実績のある月で平均をとる他ない
・特例を適用する場合と原則通り算定する場合、どちらが1年間の報酬の平均に近くなるか鑑みて届出をすることは可能
・算定で決定した標準報酬月額から3ヵ月の報酬の平均が2等級以上下回る場合は、月額変更の届出が可能


というわけで、これも従業員さんの将来の年金や傷病手当金の受給額にかかわってくる事なので、きちんと説明して従業員さんに判断してもらう事も考えた方が良いことかもしれませんね。

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