(小説)笈の花かご #22
7章 ザワザワ病院⑴
スイデンは意外に早くモクレン館の暮らしに順応した。
まず、彼は、4階食堂の西側にある花壇に注目した。
花々が咲き乱れている。バラの木が2鉢もある。
バラの手入れは、4階の誉田吉郎が専用の鋏を持って花壇に出ている。
腰は曲がっているが杖なしでバラの手入れをしている。
水遣りは、元気印の5階の林田隼夫である。彼は、スポーツクラブに週3回通っている。
どうしてもモクレン館の園芸に携わりたいスイデンは、
「花壇の草むしりをしたい」と申し出た。
片口施設長は、ス