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2011のバックパッカー(その4)

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2011のバックパッカー(その1)

その2はこちら↓
2011のバックパッカー(その2)

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2011のバックパッカー(その3)

私たちはこの旅に一つのルールを設けていました。それは、インターネットでの下調べの禁止。

2011年はすでに十分便利な世の中で、困った時はネットで調べれば大概の問題を解決することができました。しかし、私たちが求めていたのは快適で安全な旅行ではなく、自分という人間の地力を試す旅でした。

ダーウィンの時代なら船に乗って新大陸を目指したり、未開のジャングルを切り開いて遺跡を探したりすることに人生をかけることができたかもしれません。しかし、現代の地球上に最早未知の場所は残されておらず、我々の遺伝子に刻まれた種を世界に拡散するという本能は行き場を失い、しかしそれは本能ゆえ、旅行という代替行為では慰められない衝動があるのです。

だからこそ、私たちはあえてインターネットを断つことによって、全身で旅を感じようと試みました。何が起こるか分からない不安があるからこそ一つ一つの判断にも慎重になり、旅の解像度が増すと考えました。実際12年経った今でも、このわずか一週間の日々の匂いや手触りさえ思い出せることが、その証左に他ならないと思います。

さて、翌朝私たちが車で連れていかれたところ。そこは・・・。

「Food Science and Technology」
まるで大学のような研究所内を案内される私たち。
開発中のサンプルが展示されていました。その中にはなんと・・・
探していた昆虫食の缶詰がありました!!しかしながらタイ国内で人気がなく、開発は中止されたとのことでした。
そんな缶詰の中身にもなっていたツムギアリが列をなしていた植物。
マオベリー(タイ産のベリー)。
ここの研究所では、マオベリーを用いたワインを開発していました。ちなみにこちらの男性、以前日本は岐阜県の中津川の旅館で働いていたことがあったそうで、英語さえなかなか通じなかったサコンナコンでまさか日本語で話せるとは。奇跡的な偶然でしたが、おかげで詳しく話しを聞くことができました。
ワインを樽で熟成させます。
熟成したワインやジュースはボトルに移されます。試飲させてくれたジュースを「これは美味い」と感激して飲んでいたらめちゃくちゃ笑われました。タイ人的には不味いみたいで、まだまだ改良の余地があると言ってました。
瓶に移され、ラベリングされた「マオワイン」。こちらの研究所で販売されています。
当然購入しました!日本に持ち帰って飲みましたが、すっきりとした飲みごたえで、友人からの評判もよかったです。

そんなわけで、探していた昆虫の食用缶詰は開発こそ中止されてはいましたが辿り着くことができ、さらにはマオワインをゲットすることができました!

もしかすると、新たにどこかの研究所で、来るべき食糧危機の未来に備えて昆虫の食用缶詰の開発が今この瞬間にも進められているかもしれません。そう思うと、ふとまた旅に出たくなったりするのですが、、次はいつになることやら。せめてマオワインだけでも飲みたいものですが・・・(調べたらマオワインはタイでは普及しているようでした)。

・・・。

余談ですが、この後私たちは意気揚々と陸路でカンボジアを目指し、国境の町「ポイペト」でビザの代筆屋を生業にしている詐欺グループにカモにされ、さらにはチンピラに付きまとわれ続けてお金もなくなり、もう日本に帰れないんじゃないかという恐怖と戦うことになるのですが・・・それはまた別の話。

当時の日記。改めて読むと殺伐としています。奈良というのはカンボジアとの国境の町「ポイペト」を進めた諸悪の根源。ぶっ殺すと書かれていますね。帰国してから奈良くんにポイペトでの話をしたら、彼もトラブルに巻き込まれてお金をぼられたりしていたみたいです。やっぱり奈良、ぶっ殺す!!(笑)

あ~、旅にでたい!!!

(終わり)

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