見出し画像

三重県|公立高校入試統計問題2023

《1》 下の図はP中学校の3年生25人が投げた紙飛行機の滞空時間について調べ,その度数分布表からヒストグラムをつくったものである。たとえば,滞空時間が2秒以上4秒未満の人は3人いたことがわかる。
 このとき,紙飛行機の滞空時間について,最頻値を求めなさい。

《2》 ひびきさんは,A班8人,B班8人,C班10人が受けた,20点満点の数学のテスト結果について,図1のように箱ひげ図にまとめた。図2は,ひびきさんが図1の箱ひげ図をつくるのにもとにしたB班の数学のテスト結果のデータである。
 このとき,あとの各問いに答えなさい。
 ただし,得点は整数とする。

(1)A班の数学のテスト結果の第1四分位数を求めなさい。

(2)B班の数学のテスト結果について,$${m}$$,$${n}$$の値をそれぞれ求めなさい。ただし,$${m<n}$$とする。

(3)C班の数学のテスト結果について,データの値を小さい順に並べると,小さい方から6番目のデータとしてありえる数をすべて答えなさい。

(4)図1,図2から読みとれることとして,次の①,②は,「正しい」,「正しくない」,「図1,図2からはわからない」のどれか,下のア~ウから最も適切なものをそれぞれ1つ選び,その記号を書きなさい。
①A班の数学のテスト結果の範囲(はんい)と,B班の数学のテスト結果の範囲は,同じである。
〔ア.正しい イ.正しくない ウ.図1,図2からはわからない〕
②A班,B班,C班のすべてに14点の人がいる。
〔ア.正しい イ.正しくない ウ.図1,図2からはわからない〕

《1》ヒストグラムから最頻値

 最頻値とは,データの中で最も多く出てくる値で,度数分布表やヒストグラムでは,度数の最も多い階級の階級値(階級の真ん中の値)を指します。
 度数の最も多い階級はヒストグラムから4秒以上6秒未満と読み取れますので,その階級値は5秒,ということになります。

《2》(1)箱ひげ図から第1四分位数

 箱ひげ図において,第1四分位数は箱(長方形)の左側の辺で示されます。

 この目盛りを読み取ると6点。

《2》(2)パズル?

 まず答えを書いてしまいます。$${m}$$=3、$${n}$$ =17。これをどう求めるか。

 まず箱ひげ図から5つのデータを直接読み取れます。
   最小値 3
   第1四分位数 13
   中央値 16
   第3四分位数 17
   最大値 19

 最小値と最大値はちょうどその値が含まれていなければなりませんが,最小値の3はないので、$${m}$$,$${n}$$のうち小さい方の$${m}$$の値が3,ということになります。

 次に$${n}$$が,中央値よりも大きいか小さいか、場合に分けて絞っていくことにします。
 中央値よりも大きいとすると,このデータを小さい順に【5】番目まで並べると
   3,12,14,15,17
となり,第1四分位数や中央値はあっています。
 ですから、$${n}$$は中央値よりも大きいと考えられます。次に,【5】番目以降となる
   17,17,19
のどこに入るかを考えると、第3四分位数が17ですから,【6】番目と【7】番目のデータの値の平均値が17,・・・ということは【6】番目と【7】番目のデータでなければなりません。ですから,$${n}$$=17であるということがわかります。

 念のため,求めた$${m}$$,$${n}$$を含めて,もう一度小さい値から順にデータを並べてみると,
   3,12,14,15,17,17,17,19
 最小値・最大値や四分位数が、箱ひげ図にから読み取れる値と等しいデータになることがわかります。

《2》(3)パズル? その2

 C班で小さい方から【6】番目のデータとは,どういう位置づけにあるのかをまずは確認しましょう。
 C班には10人いますので,【5】番と【6】番のデータの平均値が中央値で,箱ひげ図から6点であることが変わります。
 いちばんわかりやすいのは【5】番と【6】番ともに6点。これも可能性の一つです。
 あと平均が6点になればいいのと,得点の値は整数だ,というところに気をつければ,5点と7点,4点と8点,3点と9点,2点と10点,1点と11点,0点と12点も考えられます。さらに整数としか書いていないので,マイナスの得点も考えられます‥ と,ちょっと待った。第1四分位数が4点で,【3】番目のデータに当たりますから,【5】番のデータが3点以下になることはありません。
 というわけで【5】番と【6】番の可能性として残るのは、6点と6点,5点と7点,4点と8点の3つです。
 答えは6点,7点,8点となります。

《2》(4)箱ひげ図から読み取れること

 ①・②順番に確認していきましょう。

①箱ひげ図と範囲

 範囲とは,最大値から最大値をひいた値です。箱ひげ図では,最小値から最大値までの全体の長さで表されます。

 確かに同じですね。

②ちょうどその値のデータがあるか

 図2から,B班には14点の人がいます。
 A班とC班の箱ひげ図のちょうど14点のところはどうなっているでしょうか。

 A班とC班はちょうど第3四分位数のところにあります。なので「正しい」・・・というひっかけ問題。A班とC班の第3四分位数は,どう求めるのでしょう?
 A班は8人いますから,第3四分位数は,小さい方からデータを並べたときの【6】番目と【7】番目の平均値。

 たとえば13点と15点の可能性もあります。そしてその時はちょうど14点の人はいません。
 でも,【6】番目と【7】番目はどちらも14点の可能性もあります。
 ですから「正しい」とは言えませんし,かといって「正しくない」とも言い切れません。ということで「図1,図2からはわからない」を選択します。

《1》 
《2》 (1) 点  (2) $${m}$$=3、$${n}$$ =17
   (3) 6,7,8  (4) ①   ② 

問題を解いた後に

 正直、8とか10のデータ数どうしで,箱ひげ図で分布を比較って,どういうことさ。《2》の(2)や(3)は,本質的な統計グラフの使い方ではありません。だいたい,タイトルでも書きましたが,数学的な遊び,パズルです。
 箱庭の中で独自の遊びを作れば,それは自己目的化するのであって,統計そのものの理解とは異なる,というのは押さえた上で出題しなければなりません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?