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ネストール・アバド(スペイン)の鉄棒/2018年欧州選手権予選の演技

スペインチーム最年長、ネストール・アバド選手。
ゆかが得意なオールラウンダーで、前回のリオ五輪にも出場しています。
スペインは、リオ五輪では団体での出場はできませんでしたが、2019年の世界選手権の結果により、今回、東京五輪での団体出場を決めました。

今夏はアバドの鉄棒から、ひねり技の紹介の続きです。

以前紹介した【シュタルダー】という技は色んな技と組み合わせることができます。
立ちえば【ピアッティ】という技。
【シュタルダー】と【トカチェフ】の動きを組み合わせることで【ピアッティ】になるという事を紹介しましたね。

前回紹介した車輪のひねり技もシュタルダーと組み合わせることで難度を上げることができます。
前回は【クースト】「後方とび車輪1回ひねり」と、【リバルコ】「後方とび車輪1回半ひねり大逆手握り」という技を紹介しました。
今回紹介するのは、《シュタルダーとび1回半ひねり片大逆手握り》です。
まずは「片大逆手」から。
前回は「大逆手」と呼ばれる握り方を説明しましたが、

大逆手

「片大逆手」という握り方もあるんですね。
字の如く、片方の手だけが「大逆手」の状態。もう片方の手は「逆手」の状態のことをいいます。

片大逆手

鉄棒のひねり技は両手、あるいは片手の握り方で難度が変わる技があります。
例えば、前回紹介した【リバルコ】は「大逆手」で握ることで成立する技ですが、これが「片大逆手」になると、「後方とび車輪1回半ひねり片大逆手握り」という、【リバルコ】とは全く別の技になってしまいます。難度もC難度で、車輪1回ひねりの《ホップターン》と変わりません。

車輪1回半

【リバルコ】がD難度なのは、「大逆手」だという事が要因になるわけです。

「後方とび車輪1回半ひねり片大逆手」はC難度ですが、これを【シュタルダー】の動きと組み合わせると、《シュタルダーとび1回半ひねり片大逆手握り》になり、D難度を得ることができます。

シュタルダー1回半

鉄棒は手離し技が演技の華ではありますが、地味なひねり技でも高難度を得ることはできるんですね。

アバドは鉄棒でトカチェフ系の手離し技を実施していますが、【リバルコ】もやっていて、ひねり技でも難度を稼いでいます。

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2019年の世界選手権では、予選の3時間前に第2子となる娘が生まれました。
その予選でスペイン団体の五輪出場が決まり、喜びもひとしおだったでしょう。
2人の子供の応援を受けながら、東京五輪でスペイン団体が決勝に進めるように願っています。



追記:まさかこの記事で取り上げた技が注目を浴びることになるとは思いませんでした。
アバドはあん馬で冒頭の技を失敗し、つり輪でも着地に失敗し、つり輪の演技が終わると、やりきれなさから道具をゆかに叩きつけてしまいます。
その後、平行棒では14.800というスペインチーム全種目最高得点を記録し、納得の投げキッスをお見舞いします。
情緒がぐちゃぐちゃです。

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