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レ・タントゥン(ベトナム)の跳馬/2019年世界選手権予選の跳躍

ベトナムの跳馬スペシャリスト、レ・タン・トゥンです。
彼は2019年世界選手権で種目別決勝に進んだことで東京オリンピック出場を決めた選手。

ベトナム代表は、レ・タン・トゥンと、以前紹介したディン・フォン・タンの2人です。
国際体操連盟の選手名簿を見ると、ベトナム男子体操に登録されているのはこの2人しかいません。
FIG - Athletes (gymnastics.sport)
(以前はもっといたはずですが…。ファム・フォク・フンやナム・ダン、グエン・ハ・タンは引退したのでしょうか…?)
ごく少数にもかかわらず、2人ともにオリンピック出場を決めました。

そんなレ・タン・トゥンの跳馬は、ひねり技で勝負します。
これまではグループⅡ:側転とびから入る技を紹介してきました。
今回はグループⅠ:前転とびから入るひねり技の紹介です。
前転とびとは、【ローチェ】や【ドラグレスク】のように、進行方向に向かって踏み切り、ひねりを加えずにハンドスプリングの要領で着手すること。
この着手でもって、あとはひねりの回数が多い程難度が上がっていきます。

今回紹介するのは【ヨー2】という技。
韓国のヨー・ホンチュルという選手の名前が取られた技です。
彼の娘が韓国で現役の選手として活躍しています。
【ヨー2】「前転とび前方伸身宙返り2回半ひねり」という技。
【ロペス】と区別がつきづらいのが難点です。
【ヨー2】と【ロペス】は価値点も同じで、着地の向きも同じなことで、かつてはこの2本をそろえる選手が多くいました。
しかし、リオ五輪後のルール改正により、種目別でこの2本を揃えることができなくなったのです。

【ロペス】のおさらいです。
【ロペス】は側転とびで着手して3回ひねる技でしたね。

ロペス

そして【ヨ―2】はこちら。

ヨー2

こちらは前転とびで着手して2回半ひねります。

【ロペス】と【ヨー2】はひねる回数が半分違います。
なのに着地の向きが同じなのは、【ロペス】が後方系であるのに対し、【ヨー2】が前方系の技だからです。
【ロペス】は「側転とびの後方3回ひねり」【ヨー2】は「前転とびの前方2回半ひねり」ということです。

彼の【ヨー2】は、宙返りの高さがあることでひねりに余裕があります。そして着地も見事に止めています。
この着地が彼を東京オリンピックに導きました。

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レ・タントゥンは8歳の時に中国に体操留学をして、16歳の時にベトナムに戻ったということです。こうしてオリンピックの代表を掴み取ったのも、中国での基礎作りの成果なのでしょうか。

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