游朝偉(台湾)の平行棒/2019年世界選手権予選の演技
台湾の団体メンバー2人目の紹介は游朝偉選手。
2019年の世界選手権で東京オリンピック団体出場の権利を勝ち取ったメンバーの1人。
一度は引退したそうですが、東京オリンピックに出場するため競技を続けているそう。
台湾チームのつり輪担当ですが、今回紹介するのは平行棒です。
彼の平行棒は頻出技の宝庫。この演技を覚えれば平行棒の基本となる技が判ります。
そんな演技の中、今回は3つの技を覚えましょう。
まずグループⅠ:両棒での支持技から【ツイスト倒立】【ヒーリー】
次に、グループⅡ:腕支持振動技から【前振り上がり】
【ツイスト倒立】とは、倒立から肩の位置をそのままにしながら脚を前に振りだして半分ひねり、倒立で収める技。
この技はC難度で、平行棒では誰もが使う基本的な技です。
ジュニアの選手も、まずはツイスト倒立を覚えてからほかの技に挑戦する、というくらい誰もが使う技です。
同じくらい多くの選手に使われている技が【ヒーリー】という技。
【ヒーリー】は正式名を「後ろ振り片腕支持1回ひねり支持」といいます。
「後ろ振り」の局面が無い選手もいますが、細かいことは気にせず。
倒立から肩腕でバーを握りながら体を1回ひねらせて、もう片方の腕でもう一度バーを掴むという技です。
地味な技ですが、これがD難度と高難度なんですね。
一度手を放すと、掴む方のバーに背中を向けてしまいます。掴む場所が見えない状態で掴まなければならない難しさがあるのです。この技を腰をまっすぐ伸ばした状態で実施できる選手は漏れなく好きです。
そしてグループⅡのすべての基礎となる動きが【前振り上がり】です。
この技はA難度なのですが、ツイスト倒立のように肩の位置を変えずに純粋に前方向に足を振り上げても難度は得られません。
一度腕支持という状態を経過することでA難度が認定されます。
腕支持とはこのように、両腕をバーに密着させ、肩と脇をバーに乗せることで体を支えている状態のことです。
これを経過して前方向に下半身を振り上げる技が【前振り上がり】です。
この技はA難度なので、よほど平行棒が苦手な選手でなければDスコアに反映させる技ではありません。しかし、数ある平行棒の演技を見ると必ずと言っていい程多くの選手がやっている技です。
なぜなら、腕支持で受ける宙返り技などの技の後処理として使われることが多いからです。
動画の游の演技では受け技ではなく【前振り上がり】単体で行っているのでわかりやすいと思います。
游は終盤1:00~⑦【ヒーリー】⇒⑧【ツイスト倒立】⇒⑨【前振り上がり】の順で実施しています。
おり技の【屈身2回宙返り】も超頻出の技です。今ではもっと高難度の技も見られるようになりましたが、少し前にはほぼ全員がこのおり技を使っていました。今でもほとんどの選手が使っている超頻出技です。
すべての種目において「2回宙返り」は「ダブル」とも呼ばれます。
平行棒では「屈身ダブル」と言えばこのおり技を指します。
「腕支持」の瞬間は上腕部分にかなりの衝撃、摩擦が生じます。
だから平行棒の演技では上腕にサポーターを着けてる選手が多いのです。
動画の游は付けていませんが、かつての内村選手もそうでした。痛くないように演技してるように見えますが、痛くないわけがないですよね。ハハッ
追記:台湾団体メンバーは、游朝偉の負傷により、洪源禧という19歳の選手に変更されました。
下記記事の写真で唐嘉鴻が持っている黒いTシャツは、游朝偉のつり輪の姿が描かれたもの。
游も一緒に東京に来ていました。
決勝には進めませんでしたが、万全ではない中でよく頑張ったと思います。
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