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シリィル・トマソン(フランス)のあん馬/2019年世界選手権予選の演技

フランスのあん馬のスペシャリスト、シリル・トマソンです。
ロンドン・リオに続き3大会連続の出場。
世界選手権には2009年から2019年まで、オリンピックを含めると2009年から2021年ま13年もの間、毎年欠かすことなくフランス代表として出続けています。

2011年には世界選手権種目別あん馬で銀メダル、2014年同大会でも銅メダルを獲得しています。

今や種目別あん馬の常連となったトマソンは終末技でE難度を実施します。

前回、D難度のおり技をさらっと紹介しましたが、今回はその発展技です。
あん馬は大概の選手が倒立から着地に向かうおり技を使いますが、それがD難度なのかE難度なのか。今回はその違いについて紹介します。

先ず、前回さらっと紹介したD難度のおり技について。

Dおり

この技は、ポメル上に両腕が乗った旋回から始まって、旋回の勢いを使って1度倒立に上げます。
倒立に上げたらポメルを除いたの馬体の3部分に手を着きながら体を180°、つまり半分ひねらせ、倒立から着地に下ろす。
着地する際は、あん馬から90°真横を向いた形で演技を終了するのが鉄則です。
つまり、倒立に上げてから着地するまでに180°+90°=270°ひねっていることになります。
これがD難度のおり技です。

これをE難度に発展させるにはどうするか。
ひねりをもう180°増やすのです。

Eおり

1度ポメル上に両手が乗った旋回の勢いを使って倒立をします。ここまでは同じです。
倒立に上げたら同じように3部分に手を着きながら体をひねらせます。
ここで体を360°つまり1回分ひねらせ、最後に90°ひねって着地するのがE難度のおり技です。

これを技名にすると「DSA倒立5/4ひねり3/3部分移動おり」となります。

DSA倒立 / 5/4(450°)ひねり / 3/3部分移動 / おり

あん馬の終末技にはこれらの要素がありますが、これらのどれかが欠けてしまうとE難度は得られなくなってしまいます。

※「DSA倒立」とは、倒立への上げ方のことです。これについては次回。

トマソンは以前紹介した《セア倒立》と《バックセア倒立》の2つを、途中に振動を挟むことなく直接連続させています。
旋回もきれいで勢いがあって良い演技です。

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トマソンはロンドン・リオと出場した2大会とも、種目別あん馬の決勝に残っています。
東京大会では、念願であるオリンピックのメダル獲得を目指し、持てる力を出し切って演技できると良いですね。

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